25ky-38
| 大橋 令和(オイスカ浜松国際3年)遊撃 177/75 右/右 | |
この夏、唯一観戦できた試合となった駿河総合戦を見ても、正直なところ 大橋 令和 の売りがどこにあるのか掴みきれなかった。試合途中で足を痛めて以降は明らかに動きが鈍り、精彩を欠いたプレーが続いた。限られた情報しかないが、現時点での印象をレポートとして残しておく。 (守備・走塁面) 一塁到達タイムは足を痛めた後だったこともあり、右打席から4.5秒前後(左打者換算で4.25秒程度)。ドラフト候補としては平均以下と言える。あるスカウトは「セーフティバント時の到達タイムは今まで見た高校生で一番速かった」と話していたようだが、今回の試合を見る限り、走力がどのレベルにあるのかは正直よくわからなかった。 遊撃守備でも捕球してからすぐにベースカバー方向へトスする場面が多く、送球の精度や強肩ぶりをしっかり確認できなかった。ショートゴロをトンネルしたり、深い位置からの送球がゴロになって一塁手が捕り損ねる場面もあった。 ただし全体の動きを見ると、守備範囲・肩の強さともに高校生としては基準を満たしており、想像していた以上に「守れる」印象は受けた。とはいえ、本当の上限や平均値がどの程度なのかは、今回の観戦だけでは判断がつかなかった。 足がどこまで売りにできるのか、守備が「高校生の中でもかなり上手い」部類に入るのかも含め、私自身掴み切れなかった。 (打撃内容) 夏の駿河総合戦では4打数1安打。その1本もショートへの内野安打で、会心の当たりは最後まで見られなかった。フォーム分析もバックネット裏からの観察で、審判の影などで見づらい場面もあったことをご了承いただきたい。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 右打席で前足をやや引いて構え、グリップの高さは平均的。腰はあまり据わっていないが、全体のバランスはそれなり。両目でしっかりボールを見据えており、錯覚を起こしにくい見え方をする。 <仕掛け> 遅すぎ 一度開いた足をつま先立ちでベース側に戻し、本格的な動き出しはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用している。このタイミングではプロレベルの球速・キレに対応するのは難しく、日本人高校生の平均的な筋力・ヘッドスピードでは厳しい印象を受ける。 ただし本人にとってはこれが長年のタイミングであり、壁にぶつかるまではこのタイミングを大切にしてほしいとも思う。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 小さく踏み込んでアウトステップ気味に踏み出すため、始動~着地までの「間」がほとんどない。あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない集中力が求められる。内角への意識が強いタイプではないのだろう。 着地した前足はインパクトの瞬間もブレずに止まっており、逃げるボールや低めにも食らいつける利点はある。ただ引っ張りたい時も足が動かないため、どうしてもボールのさばきが窮屈に見える。打球のほとんどは引っ張り方向だった。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 トップの形は早めに作れるため、始動の遅さをある程度カバーしている。バットの出方はやや遠回りだが、極端ではなく気にするほどではない。バットはしっかり振れる選手である。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが小さいため目線の上下動は少なく、体の開きも我慢できている。軸足の形も大きく崩れることはなかった。ただし体勢を崩されても当てに行く意識が強いため、これを長所と見るか短所と見るかは分かれるところだ。 (打撃のまとめ) タイミングの取り方、打球方向、線の細さなど総合すると、現時点では「これから」の素材という印象が強い。体作りと同時に、いかに打撃を深く追求できるかが今後の鍵になるだろう。今はまだ感覚だけで振っている段階に見える。 (最後に) レベルの高い野球への適応力、体力、意識、技術……学ぶべきことはまだ山ほどありそうだ。それだけ未知の伸びしろも秘めている素材ではある。 ただし観戦機会がこの1試合だけだったため、私自身も全ての能力を正確に測りかねている。仮にしっかり見られていたとしても、現時点で☆(支配下級)の評価を付けることはなかったと思う。 そのため今回は、「未確認」扱いとさせて頂く。こういった選手が、プロの世界でどこまで伸びるのか、今後の参考にしたい選手の一人だった。 蔵の評価:未確認 (2025年夏 静岡大会) |