25ky-37
| 石川 大峨(掛川西3年)一塁&三塁 187/91 右/右 | |||||||||||||||||||
2年生の夏の甲子園では、7番・一塁手として出場していた 石川 大峨 。しかし、3年夏の静岡大会では左手の骨折のため、代打でのわずか一打席のみで終わってしまった。それだけに、最終学年の成長ぶりが確認できず、非常に残念だった。 (守備・走塁面) 新チーム結成後には、背番号3を背負いサードでノックを受けていた。体は大きいため決して俊敏な印象はなかったが、丁寧にプレーしようとする姿勢は強く感じられた。肩は「強い」というほどではないものの、送球は乱れず安定している。最終学年にみっちり鍛えられていれば、それなりの三塁手にはなっていたかもしれない。 一塁までの到達タイムは、昨夏の甲子園時の4.55秒前後。これを左打者に換算しても4.3秒台と、かなり遅い部類に入る。実際の動きを見ても足が速いタイプには見えず、2年春からの公式戦16試合で盗塁はわずか1個。足を売りにする選手ではないのだろう。 最終学年での守備の成長が確認できなかったため、現時点でどのレベルまで守備力が向上しているかは不明だ。ただ、プロの三塁手としてはかなり微妙なラインにあるのではないかと思う。プロでは一塁手か、あるいはレフトあたりが現実的なポジション候補か? ただし、この選手の最大の売りは、やはり打撃にありそうだ。 (打撃内容) 今回は、2年春から3年夏までの公式戦打撃成績と、最後の打席となった3年夏の打撃フォームを分析してみる。
セイバーメトリクス補足(高校生データ59打数という小サンプルなので参考値) IsoP(孤立パワー=長打率-打率):.305 → 高校生としては非常に高い長打生産能力を示す BB/K(四球に対する三振の比率):0.33 → 選球眼はまだ発展途上 BABIP(運による安打率=インプレイ打球時の打率):.327 → 平均的で、打率に極端な運の要素は乗っていない wOBA(加重出塁率=打撃の総合貢献度):推定.430前後 → 高校生トップクラスに近い数字 <構え> ☆☆☆(3.0) 右打席に入り、少し前足を引いて構え、グリップは高めに捕手側へ添えている。腰の据わりは悪くないが、全体のバランスはいま一歩。両目で見据える姿勢も平均的といったところか。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が下がるタイミングで開いていた前足をつま先立ちにするが、その後の動き出しは「遅めの仕掛け」に分類される程度で、極端に遅いわけではない。このタイミングは天性の長距離打者や生粋の2番打者に多く見られるが、初動の影響を受けやすいため、対応力重視の打撃スタイルと言える。 <足の運び> ☆☆★(2.5) 足を小さく上げて回し込み、真っ直ぐ~ややインステップ気味に踏み込む。始動から着地までの「間」が短いため、狙い球を絞って逃さない鋭さが求められる。内角も外角も打てるタイプだが、やや外寄りを意識している印象。 昨夏までは踏み込んだ前足がしっかり止まって我慢できていたが、最後の打席ではブレが見られ、十分に我慢しきれていなかった。引っ張りたい意識が強すぎたのかもしれない。腰も早く開く傾向にあり、逃げる球や低めへの対応が課題となる。 <リストワーク> ☆☆★(2.5) あらかじめバットを引いて構えており、そこから振り出してくる。トップの形を作るのが下手で、タイミングが合っていないのが気になる。腰が早く開く分、外角球に対してバットが波打つことも少なくない。もっとも上手くさばけるのは、インコースを引っ張って巻き込んだ時だろう。スイングの弧は大きいので、タイミングが合えば長打が期待できる。 <軸> ☆☆(2.0) 足の上げ下げが小さい割に目線がブレやすく、足元も踏ん張りが弱いため体の開きが我慢できていない。軸足も崩れがちで、打撃の安定感という点では不安が残る。 (打撃のまとめ) 現状はタイミングが取りづらく、腰の開きが早いために打てるゾーンが限られている印象だ。ただ、IsoP .305という高校生離れした長打力を見ると、一度タイミングが合って巻き込むことができれば、プロでも十分に通用するパワーが秘められている。選球眼(BB/K 0.33)はまだ発展途上だが、コンタクト能力自体は悪くないため、プロの投手に対応する過程で改善の余地は大きいとみた。 (最後に) 2年夏の甲子園以降で最も良かったのは、2年秋の時期だったように思う。最終学年では十分なアピール機会が得られず、成長の度合いが測れずわからない部分も多い。それだけに評価は「未確認」とせざるを得ない。それでも指名した球団は、きっと「良い時の石川」の印象。特にIsoP .305という突出した長打力と、引っ張って巻き込むときの豪快なスイングが強烈に残っていたのだろう。 ちょっと荒い言い方をすれば「良い面構え」をしている選手。打席に入る時の足場の慣らし方なども、高校生にしては打撃に強いこだわりが感じられた。こういった選手が、プロでどのような存在になって行くのか。個人的には、密かに期待して見守りたい。 蔵の評価:未確認 (2025年夏 静岡大会) |