26sy-11
| 坂口 渉(24歳・HONDA)三塁 (興譲館-城西大出身) | |||||||||||||||||
引っ張って放つ豪快な一発だけでなく、逆方向の右中間へも無理なくスタンドインさせられる規格外の長打力を誇る 坂口 渉。まさに圧倒的な飛距離を最大の売りにする大物打ちである。 走塁面:☆☆★(2.5) 右打席からの一塁到達タイムは4.40秒前後を計測する。このタイムを左打者に換算すると4.15秒相当となり、脚力としては中の下クラスと言える。2026年度の公式戦でも24試合で盗塁は僅か1個にとどまっており、足を売りにするタイプではないことが明白である。 守備面:評価保留(?) 2026年度は三塁手として出場し、24試合で3失策を記録した。サードとしての身こなし自体はそこまで悪くなく、地肩の強さも水準以上を備えている。しかし指名球団側は外野での起用を想定しているようで、外野手とアナウンスされた。私自身、彼の外野守備を確認できていないため、守備力に関しては評価保留としたい。極端に足が遅いわけではなく肩も水準以上ありそうだが、あとは外野での打球判断や目測がどこまで追いつくかだろう。 (打撃内容) 2026年度の打撃成績は以下の通りである。放った17安打のうち実に9本が長打であり、そのうち5本が本塁打という脅威の長打率を誇る。一方で、打率.218という低打率と32三振という三振率の高さは明確な課題と言える。「当たれば飛ぶが確実性に課題を残す」という典型的なロマン砲の数字である。城西大時代から圧倒的な飛距離が際立つ一方で、独特の粗さを残していた。
<構え> ☆☆★(2.5) 右打席で両足を揃えたスクエアスタンスを採用。前足のカカトを少し浮かせ、ステップのタイミングを測りながら立ち、グリップを高めに添える強打者スタイルの構え。ややお尻を引きすぎている嫌いがあり、両目で投手を見据えるバランス自体は標準的だが、少し癖のある構えと言える。 <始動> 平均 投手の重心が沈み切った底のあたりで動き出す「平均的な仕掛け」を採用している。この仕掛けは、一定の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られるタイミングである。 <足の運び> ☆☆☆★(3.5) 足をしっかり上げてまっすぐ踏み出してくる。始動から着地までの「間」はそこそこ取れており、速球にも変化球の緩急にもそれなりに対応できている。まっすぐ踏み出すことからも、内外角を幅広くさばこうとする意図が窺える。 踏み込んだ前の足元は、インパクトの際にもブレずにしっかりと我慢できている。そのため、外へ逃げていく球や低めの変化球に対しても粘り強く拾うことができる。彼の打球が右方向へ無理なく伸びていくのも、この足元の粘りが大きく関係している。 <リストワーク> ☆☆☆(3.0) 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、速球に対して差し込まれない工夫が見られる。ただし、バットの入射角がやや外側から遠回りして出てくるため、アプローチの確実性という意味では低くなってしまう。 それでもインパクトの際にはバットのヘッドが下がらず、面を長く保ってボールを捉えられているため、タイミングが合えば強烈な打球がフェアゾーンへ飛んでいく。スイングの弧も大きく、これが圧倒的な破壊力を生み出す原動力となっている。 <軸> ☆☆☆★(3.5) 足の上げ下げが静かなため、目線の上下動は最小限に抑えられている。身体の開きもギリギリまで我慢できており、スイング時にも軸足の形が大きく崩れることはない。軸を中心にしっかりと身体を回転させて振り抜くことができている。 (打撃のまとめ) スイング軌道がやや遠回りする傾向はあるものの、メカニクス自体に致命的な悪癖があるわけではない。そのため、プロの指導のもとでちょっとしたきっかけやコツを掴めば、一気に覚醒・大化けする可能性を秘めている。ただし、社会人時代の成績を見る限り、確実性の面ではかなり苦しい数字と言わざるを得ない。一発の魅力はあるものの、プロの厳しい配球の中でどこまでコンタクト率を高めていけるかが生き残りの鍵となる。 (最後に) 企業チーム所属の選手ゆえに支配下(本会議)での指名となったが、現在の実力値としては限りなく育成枠に近いレベルと言える。ある意味で「飛ばす」という一芸に特化した社会人スラッガーを、支配下指名の最終枠で獲得した格好だ。ただ、これまでこうした極端な一芸タイプのスラッガーの指名を避けてきたベイスターズが、リスクを承知で獲得に踏み切ったという意味では非常に意欲的で興味深い指名であった。メカニクス自体はそこまで破綻していないため、プロの環境で大きく化けることを期待したい。評価としては支配下級の基準(☆)に満たないという評価にはとどめたい。 (2026年 東京都秋季企業大会) |