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杉本 幸基(26歳・KTウィズ) 投手 182/80 右/右 (大垣日大-日大-徳島IS)





 「今が旬」





 
大学卒業後、四国アイランドリーグで3年間プレーするもドラフト指名には届かなかった 杉本 幸基。しかし今季、韓国プロ野球(KBO)のKTウィズに所属し、チームの中継ぎとしてリーグ最多となる25ホールドを挙げる目覚ましい実績を残した。今のスケールと経験値であれば、NPBのドラフトで指名されるだけの実力は十二分に備わっている。


(投球内容)

 今シーズンは 
KBOで73試合に登板し、防御率5.90ながら25ホールドをマーク。71回2/3を投げて69奪三振を記録した。なお、2025年のアイランドリーグでの成績は、58イニングを投げて被安打56、20四死球、53奪三振、防御率3.05(リーグ4位)という内容であった。

ストレート 140キロ台後半〜最速154キロ
☆☆☆☆(4.0)

 ボールの勢いは実に力強く、
外角低めズバッと決めて見逃し三振を奪う場面も目立った。ボール自体の威力がある一方で、球威の割には被安打が多く捉えられやすい傾向が見られる。また、制球力に若干のアバウトさが残る点も気になる部分だ。

横変化 スライダー・カット
☆☆☆★(3.5)

 小さく横滑りするカットボールでカウントを整えるだけでなく、
右打者の外角低めへ鋭く切れ込むスライダーのキレが抜群で、この球で多くの空振りを奪っていた。

縦変化 フォーク
☆☆☆(3.0)

 まだ絶対的な落差こそないものの、チェンジアップのようにストライクゾーンの中で沈ませて打たせて取る球種として機能している。

緩急 カーブ
☆☆☆★(3.5)

 投球の中で時折、緩いカーブを巧みに織り交ぜてくる。これが投球の良いアクセントとなっており、コンビネーションを豊かに彩る有効な球種となっている。

投球以外の技術
☆☆☆★(3.5)

 クイックタイムは1.05秒前後とまずまず素早い。フィールディングや一塁ベースカバーなどの身こなしも軽快で、投球以外の技術も疎かにはしていない。走者に対してボールを長く持ったり投球テンポを変えたりする細かな工夫は見られなかったが、これはピッチクロックが導入されているKBO特有の環境による影響も大きく関係していそうだ。

(投球のまとめ)

 ストレートの勢いだけでなく、縦・横・緩急と多彩な変化球を操る印象を受けた。日本以上に打者のパワーが前面に出るKBOで生き残るため、
相手に的を絞らせない配球の工夫を凝らしてきたことが窺える。現在の総合力であれば、NPBでも1年目から一軍のブルペン陣に絡んでいけるだけの実力は備わっていると言える。





(投球フォーム)

 セットポジションから足を高い位置まで引き上げてくる。軸足一本で立った際にもブレがなく、バランス良く立てている。

<広がる可能性>
☆☆☆★(3.5)

 お尻が一塁側にしっかり落ちているため、カーブやフォークといった縦の変化球を投げる際にも窮屈になることはない。ただ、「着地」までの粘りは平均的で、身体を捻り出す時間は並程度である。そのため、曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げていくスタイルになりそうだ。

<ボールの支配>
☆☆(2.0)

 リリース後に
グラブがほどけて暴れてしまい、外へ逃げようとする遠心力を内に留めきれていない。また、顔と腕の角度が開き気味になることも軸をブレさせる要因となっている。足の甲での地面の捉えも離れてしまっており、身体が浮き上がろうとする力を抑え込めていない。「球持ち」の良さで手元の制御はなんとか保っているものの、両サイドや高低へのコマンドはアバウトになりやすいメカニクスである。

<故障のリスク>
☆☆☆★(3.5)

 お尻の落としができているため、縦の変化球を投げても肘などに無理な負担がかかりにくい。腕の送り出しを見ても、肩への直接的な負荷はそれほど大きくないと言える。気になるのは、
相当な力投派スタイルゆえに疲労が蓄積しやすい点だ。もっとも、今季KBOで73試合に登板し抜いたタフネスぶりを鑑みれば、そこまで神経質になる必要はないのかもしれないが。

<実戦的な術>
☆☆☆(3.0)

 「着地」までの粘りは平均的で、打者から見ると
ボールの出どころがやや早く見えやすい。球威の割に被安打が多く、縦の変化で空振りを奪い切れないのは、この出どころの早さも一因と考えられる。

 
腕の振り自体は尋常ではない強さで振れており、「開き」を遅らせることができればボールの勢いで打者を押し込める。ボールにもしっかりと体重を乗せてリリースできているため、打者の手元まで活きた球がいっている。ただ、この爆発的なフィニッシュによって球威を生み出している面もあるため、開きを抑え込もうとすることで腕の振りが弱くなってしまう懸念もあり、フォーム矯正には慎重さを要する。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」においては、
「開き」に改善の余地を残す。制球を司る動作が粗いため、どうしてもコマンドはアバウトになりがちだ。また力投派ゆえに疲労の蓄積も気になるところである。多彩な球種を操る器用さは魅力だが、絶対的な決め球がまだ確立されていない。今後いかに一軍で通じる武器を見出していけるかが生き残りの鍵となる。


(最後に)

 大卒4年目の世代であり、入団となればオールドルーキーの部類に入る。しかし、KBOというハイレベルなリーグで73試合登板・25ホールドという実戦経験と実績を積んできた点は非常に大きく、即戦力リリーバーとして獲得に動く価値は十分にある。実力内容的には一軍即戦力のリリーフとして支配下級の評価を与えられる。経歴として異色なだけに、中位〜育成指名など予測は極めて難しい。個人的には、4位以降ぐらいからならば充分アリなのではないかと評価する。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2026年 韓国プロリーグ)