26ky-7
| 山田 凜虎(智弁和歌山3年)捕手 176/81 右/右 | |
そういった意味では、高校球界でも屈指の捕手ではないかと思われるのが、この山田凜虎だ。U-18の日本代表メンバーにも選出され、正捕手として中心的な役割を果たしていた。そんな彼がもしプロ志望であれば、どのぐらいの評価になるのか検証してみたい。 (ディフェンス面) 構えとキャッチング 重心を低く構えることで、投手の低めへの意識を徹底させている。ミットを動かさずしっかり示すことで、的がつけやすい配慮が感じられる。キャッチングや投手への返球にも雑なところがなく、走者がいれば立って返すなど、プレーに隙がない。 コミュニケーションと観察眼 適度にジェスチャーを交えながら、投手と対話しながら試合を作っていく。投手のちょっとした変化に気づくと、タイムをとって確認しに行く。タイムをとってポジションに戻る時には、ベースの前が汚れていたら土を払ったり、バッターボックスのラインが消えていたらスパイクで線を引いたりと、投手が投げやすい状況を常に意識できている。 スローイングとリード 二塁までの送球タイムは1.95〜2.05秒前後であり、地肩もドラフト候補としては平均的だ。それでも、制球を重視して確実に刺すことを心がけている。春までは初球の入りが安易な場面が見られたが、そういった部分もだいぶ意識できるようになってきた。高低を広く使い、幅広くゾーンを使えるリードができている。 大学ジャパンの正捕手であった渡部海(青学大)捕手よりも、きめ細やかさを持った捕手らしい捕手といった感じがする。そういった意味では、将来的に大学ジャパンの正捕手を受け継いでいける存在になっていくかもしれない。ことディフェンス力に関しては、地肩が圧倒的ではないということは気になるものの、高校からプロに入れるレベルにあると評価できるのではないだろうか。 (打撃内容) 夏の甲子園を制した智弁学園でも4番を任されるなど、打つ方でも日本一チームの中心打者として活躍した。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 右打席から両足を揃えたスクエアスタンスで、つま先立ちして構えている。腰の据わり具合、両目で前を見据える姿勢や全体のバランスなども良く、顎を引いて打席での高い集中力が感じられる。昨年よりも全体的にバランスの良い形になっていた。 <仕掛け> 平均 投手の重心が下がりきった時に動き出す「平均的な仕掛け」を採用している。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングだ。昨年は「遅すぎる仕掛け」だったが、対応力を上げるためか、始動のタイミングが早くなっていた。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足をしっかり引き上げ、少しベース側にインステップして踏み込んでいく。始動から着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できる。 ベース側に踏み込むため、外角への意識が強そうだ。踏み込んだ前の足はインパクトの際に動かず我慢できているため、逃げていく球や低めの球にも食らいついていける。始動を早めたことで足をしっかり引き上げられるようになり、インパクトの際も開かず我慢できるようになっていた。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、速い球に立ち遅れない。バットの入射角に癖はなく、外角の球を叩くまでに大きなロスは感じられない。 それほどヘッドを立てていく感じではないため、打球がフェアゾーンに飛びやすいわけではない。しかし、ボールの下にバットを潜らせて打球に角度をつけることが期待できるスイングだ。インパクト後もフォロースルーを使って打球を遠くに運ぼうとしており、想像以上に打球が伸びていくような打撃を意識しているのかもしれない。昨年よりも、外角の球を右方向に大きな打球を飛ばす意識が見て取れる。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足を大きく引き上げてくるため、目線の上下動は並ぐらいだ。体の開きは我慢できるようになったが、インステップする分、足元が少し窮屈には見える。そのため、今は内角をさばくときにバットの出が悪くなっているかもしれない。 (打撃のまとめ) 昨年と比べると、見違えるほど打撃フォームを変えてきたのには驚く。その中で本来の引っ張り傾向が薄れ、センターから右方向への打撃が身についたようだ。当然その弊害もあるが、大学などで良い落とし所を掴み、隙の少ない打撃を身につけてほしい。 (最後に) 自分のプレーを顧みて、欠点を改善していこうという姿勢が強く感じられる打撃だ。元々持っている捕手としての資質の高さだけでなく、打撃でもチームに貢献しようという強い意志が感じられる。 突出して肩が強いとか、圧倒的な飛距離を誇るというタイプではないだけに、高校からプロへ進むよりも大学進学を選んだのは正解かもしれない。大学で文句なしの実績を示し、プロからも高く評価される存在になってほしいと願っている。 もし仮にプロ志望届を提出していた場合、私ならば中位〜下位指名あたりに位置づけられると評価する。そのため、本指名は有力だったのではないか。そして大学を卒業する頃には、上位指名でのプロ入り。そういった高い志を持って、これからも挑んでいってほしい。攻守のバランスが取れているという意味では、「高校NO.1捕手」と言っても過言ではないだろう。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2026年夏 甲子園) |
| 山田 凜虎(智弁和歌山2年)捕手 177/76 右/右 | |
智弁和歌山の正捕手として、ディフェンス面での信頼感は全国でも指折りの存在である 山田 凜虎 。先輩の渡部海が「強肩強打」で圧倒するタイプなら、山田は投手の良さを引き出し、試合を細部からコントロールする「きめ細やかさ」が最大の魅力である。 【ディフェンス面】 構えとキャッチング 重心を低く保ち、投手が低めに的を絞りやすい構えを徹底している。ミットをピタリと止めて示すことで、投手に安心感を与える配慮が光る。キャッチングや投手への返球一つひとつに雑なところがなく、走者がいれば素早く立ち上がって返球するなど、常に隙がない。 コミュニケーションと観察眼 一球ごとに細かなジェスチャーを交え、投手と対話しながら試合を組み立てる。特筆すべきは、その「気配り」だ。投手のわずかな異変を察知してタイムを取るタイミングが絶妙である。また、マウンドから戻る際に「投手からベースがより見えるように」とホームベース周りの土を払う姿は、まさに天性の捕手であることを強く実感させる。 スローイングとリード 二塁送球タイムは1.95〜2.05秒前後。地肩の強さはドラフト候補として平均的だが、精度を重視した安定感のある送球を見せる。リード面では、打者の初球の入りが時折安易になる場面も見受けられるが、高低を広く使い、視野の広いリード構成が持ち味だ。 【打撃内容】 2年春の選抜では準優勝に貢献。3年夏は甲子園出場を逃したものの、和歌山大会準決勝でレフトスタンドへ本塁打を放つなど、勝負強さとパンチ力は健在だ。 <構え> 評価:☆☆☆★ 3.5 右打席で前足を少し引き、カカトを浮かせて構える。腰を深く沈めたバランスの良いフォームで、肩口からボールを凝視する姿勢には高い集中力が漂う。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が移動し、リリース直前になってから本格的に動き出す「遅すぎる仕掛け」が懸念点。このタイミングだと、プロレベルの球速やキレに対し、木製バットで対応するのは相当な筋力とヘッドスピードが必要になる。上のレベルを見据えるなら、始動を若干早める必要に迫られるかもしれない。 <足の運び> 評価:☆☆☆ 3.0 小さくステップして真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」がほとんどないため、狙い球を絞り、一撃で仕留めるスタイル。インパクトの際に踏み込んだ足元が動く癖があり、逃げていく外角球や低めの変化球への対応には苦労しそうだ。 <リストワーク> 評価:☆☆☆★ 3.5 「トップ」を早めに作ることで、始動の遅さをカバーしている。インサイドアウトの軌道で、特に内角球を巻き込んで引っ張る力には目を見張るものがある。長打の多くがこの「巻き込み」から生まれている。 <軸> 評価:☆☆☆ 3.0 上下動は少ないが、体の開きを我慢できず軸足の形が崩れる場面がある。右方向を意識できている時は安定しているため、スイングの使い分けの精度向上が待たれる。 【総評】 ディフェンス能力と捕手としての資質は、全国の高校生の中でもトップクラスだ。数字に現れにくい「投手への気配り」や「試合を作る力」は、プロの現場でも高く評価されるポイントだろう。 一方で、ドラフト候補として見た場合、地肩や打撃の破壊力において、圧倒的な「A級の素材」とまでは言い切れない面もある。しかし、「しっかり守れる捕手」の価値は非常に高い。最終学年で外角球を力強く弾き返す力強さが加われば、中位指名ゾーンで名前が挙がる存在としてマークし続けたい逸材だ。 (2025年夏 和歌山大会) |