26dy-3
| 春山 陽登(大阪商業大4年)右翼 177/90 右/右 (敦賀気比出身) | |||||||||||||||||||||||||||||||
今春のリーグ戦で打率.393という高打率を残した 春山 陽登。しかし、実際のプレーを注視すると、打てるポイントやゾーンの幅はかなり限定的ではないかと思わせるスイングをしている。逆説的だが、それは「自分の得意なゾーンの球を絶対に見逃さない」という、徹底された打撃スタイルの表れなのかもしれない。
右打席からの一塁到達タイムは4.35秒前後。これを左打者に換算すれば4.1秒前後となり、ドラフト候補としての基準値に達している。タイム以上に特筆すべきは、最後まで勢いを緩めずに走り抜ける走塁への意欲だ。3年秋に4盗塁、4年春には2盗塁を記録。圧倒的な脚力があるわけではないが、持てる能力を出し惜しみしない姿勢は高く評価できる。 守備面:☆☆★(2.5) 時折危なっかしい動きを見せたり、送球フォームが乱れて精度を欠いたりと、守備の安定感には不安が残る。それでも球際の強さは見せており、地肩自体も「中の上」クラスと決して弱くはない。プロで右翼を担えるかは微妙だが、打撃が最大の売りである以上、この守備力であれば許容範囲といえるのではないか。
下級生時までの通算成績と、4年春のリーグ戦成績を比較してみよう。
(セイバーメトリクスによる考察) OPS(出塁率+長打率) 打者の総合的な攻撃力を示す指標です。下級生時の1.017も非常に優秀ですが、4年春の1.228は驚異的な数字です。打率の向上に加え、選球眼の改善がこの数値を押し上げています。 IsoP(純長打率) 打率を除いた「長打のみ」の能力を測る指標です。わずかに低下していますが、依然として高い水準を維持しており、長打を打つ力に衰えはありません。 BB%(四球率) 打席数に対しどれだけ四球を選んだかを示す指標です。下級生時の約20%から約32%へ劇的に向上しています。前述の「自分の打てるゾーンの球を逃さない」というアプローチが、相手投手に厳しいコースを強要させ、結果として四球を引き出すという好循環を生んでいます。 SO%(三振率) 打席数に対しどれだけ三振したかを示す指標です。下級生時の約24%から約17%へ改善しており、打席内での対応力が高まっていることがわかります。 (成績からわかること:成長と課題) データが浮き彫りにするのは、春山陽登という打者の「打席内での質の高いモデルチェンジ」です。 特筆すべきは、選球眼の飛躍的な向上(BB%の改善)と、三振の減少(SO%の改善)です。下級生の頃は力任せに振っていた場面でも、現在は狙い球を絞り込み、ストライクゾーンを冷静に管理できている様子が見て取れます。スイングの幅が限られていると評しましたが、この「ゾーン管理」の徹底こそが、.393という高打率と、極めて高い出塁率(.585)の源泉といえるでしょう。 一方で、IsoPが微減している点は、プロのより厳しい球筋に対する長打力の維持が今後のテーマとなります。しかし、現在の「打てるボールを確実に長打にする」というスタイルが完成されれば、プロの舞台においても、巧みな選球眼と一発の長打力を兼ね備えた「アベレージも残せる長距離砲」として計算が立つ可能性を秘めています。 (最後に) 守備面に不安は残るものの、これだけの「打席内での支配力」を示されると、指名する側としては守備の課題を割り切ってでも打撃のポテンシャルを買いに行きたくなる、そんな非常に魅力的な春のシーズンだったといえます。 特に26年度のドラフト市場を考えると、ボールを飛ばせる強打者タイプは貴重です。まして全力プレーを惜しまない、そして食らいつく生命力を感じさせる選手。それだけに、ドラフトでも3位前後での指名は充分に期待できるのではないのでしょうか。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2026年 平塚合宿) |
| 春山 陽登(大阪商業大3年)右翼 177/90 右/右 (敦賀気比出身) | |||||||||||||||||||
技術や素材が云々という以前に、プレーの端々から気持ちの強さが伝わってくる 春山 陽登 。2026年度の豊作といわれる外野手候補の中でも、異彩を放つ存在だ。 走塁面:☆☆☆ 3.0 右打席からの一塁到達タイムは、速い時で 4.35秒前後。このタイムは左打者に換算すると4.1秒前後に相当し、プロ候補の基準に達するスピードだ。ただし、そのタイム以上に強調したいのは、彼の走塁への意欲である。 最後まで勢いを緩めないだけでなく、時にはヘッドスライディングをして仲間を鼓舞するようなファイターだ。3年秋のシーズンには4盗塁を決めるなど、次の塁も果敢に狙いに行く。プロで足を売りにしていくタイプかは未知数だが、常に高い意識で試合に臨めている点は高く評価したい。 守備面:☆☆☆ 3.0 右翼手としては時折危なっかしい動きも見せるが、決して守備が悪いわけではない。肩も「中の上」クラスはあるため、ミスをすることもあるだろうが、それ以上に球際でのファインプレーを期待させる。 守備も走力も、決して恵まれた身体能力というわけではない。しかし、それを超越した「気持ち」の部分がプレーから明確に伝わってくるのが彼の最大の魅力ではないだろうか。 (打撃内容) 精神面を強調したが、関西学生球界屈指の強打者であることも忘れてはならない。腕っぷしが強く、甘い球をスタンドインさせるパワフルさと打球速度は一級品だ。対応力では先輩の 渡部 聖弥(西武)に一歩譲るかもしれないが、パワフルさでは上を行く印象すらある。 【セイバーメトリクスによる補足分析】 OPS:1.017 (出塁率と長打率を足した指標。1.000を超えると、球界を代表する「超一流」の打撃貢献度とされる) この数値は圧倒的。単に「気持ち」だけでなく、結果としてリーグを支配する打撃を見せている。 IsoP:.260 (長打率から打率を引いた数値。純粋な長打力を示す。目安として.200を超えると一流の長距離砲とされる) 本塁打9本、長打率.567という数字が示す通り、まさに「規格外」のパワーの証明といえる。 BB/K:0.85 (四死球と三振の比率。選球眼を示す。1.0に近いほど優秀) 三振数と同じくらいの四死球を選べており、荒々しいスイングのイメージに反して、実は打席内で非常に高い自制心と選球眼を持っていることがわかる。
<構え> ☆☆★ 2.5 ベース寄りにスクエアスタンスで立ち、カカトを浮かせて構える。グリップの高さは平均的。腰を沈めすぎずに両目で見据える姿勢や全体のバランスも並程度だ。打席で体を動かす揺らぎの動作が少なく、少し固く見える部分はある。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られるタイミングだ。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げ、真っ直ぐ踏み出してくる。始動から着地までの「間」はそこそこあり、速球・変化球問わずスピードの変化にはそれなりに対応可能。真っ直ぐ踏み出すため、内角・外角どちらも捌きたいタイプだろう。 踏み込んだ前足は、インパクトの際もブレずに止まっている。そのため、逃げていく球や低めの球にも食らいつくことができ、意識次第では右方向への打撃も可能だ。基本は自分のゾーンに来た球を思い切り引っ張るのが持ち味といえる。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は少ない。スイング軌道に悪い癖はなく、インパクトまでのロスも最小限だ。ボールを捉えてからの大きな弧とフォロースルーを活かし、打球を遠くへ運ぶ。元来の身体の強さも相まって、芯で捉えた時の角度と飛距離は圧巻だ。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが静かなため、目線の上下動は大きくない。体の開きを我慢でき、発達した内腿の筋肉が強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) 柔軟性に富んだ素材ではないため、打てるコースや高さは限定的な印象もある。それでも右方向への打撃を苦にせず、インパクトまでのロスも少ない。自分のゾーンの球を逃さず叩くという一点において、極めて優れた打者だ。 (最後に) 守備や走力がA級とは言えないが、破壊力のある打撃は間違いなくドラフト級だ。そして、それを補って余りある「気持ちのこもったプレー」が最大の武器である。 単に熱いだけでなく、打席に入る際の入念な足場作りからも、打撃への強いこだわりが感じられる。レギュラーにまで昇り詰められるかは競争次第だが、プロの世界で長く生き残っていける「強い生命力」を感じさせてくれる選手である。 (2025年 秋季リーグ戦) |