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吉川 凌平(千葉商科大4年)投手 186/69 右/右 (習志野出身)  





 「真っすぐが物足りない」





 キレのある真っすぐで空振りが奪える一方で、プロの一軍を想定すると球威の点で物足りない 吉川 凌平 。生で観戦すると、余計にそういった部分が気になった。


(投球内容)

 4年春のリーグ戦ではは、
2勝3敗、防御率 2.03 と、平凡な成績に留まった。秋には日本代表候補合宿(松山)にも選出されていたが、この春(平塚)は選出されなかった。

ストレート 140キロ前後
☆☆☆(3.0)

 キレのある145キロ前後の速球を両サイドに散らせてくる。ちなみに自身の測定では、常時140キロ前後で最速89マイル(約143キロ)ほどと平凡。特に序盤戦は変化球中心で丁寧に投げている印象だが、後半につれてストレートの割合は増えてきた。冒頭にも触れたように、プロの1軍を想定するとまだまだ
ボールの強さが物足りない。また、左打者相手には制球がアバウトになることも少なくなく、実際左右の被打率を比べると、左打者により多く打たれている。

横変化 スライダー・カット・ツーシームなど
☆☆☆(3.0)

 微妙に手元で動くカットやツーシームを多く使ってくる。また曲がりの大きなスライダーにも特徴がある。右打者に強いのは、外角に変化球を集めるという投球パターンが確立できているからだ。

縦変化 フォーク
☆☆☆(3.0)

 ストンと落ちるというよりも、チェンジアップのようにストライクゾーンへ沈んでくるフォークを最大の武器としている。秋よりも、明確にこの球をフィニッシュボールに使えるようになってきた。

緩急 カーブ
☆☆★(2.5)

 時には緩いカーブで緩急をつけてくる。ただ、現状の投球において大きな役割を果たしているとは言えないようだ。

投球以外の技術
☆☆☆(3.0)

 クイックは1.0秒前後で素早く、牽制も平均的。ボールを長く持つ、投げるタイミングを変えるといった投球術は見られないが、
打者の内角を厳しく突くことはできていた。試合の序盤と終盤で配球を変えるなど、1試合をトータルで考えて投球を組み立てることはできている。

(投球のまとめ)

 プロ側が好みそうな、スラッとした投手体型の持ち主である。現状、プロを想定すると球威不足が顕著であり、武器になるほどの球がないので、コンビネーションで打ち取りに来る。そのため、即1軍の戦力というよりも、数年かけてモノにしていく育成力が求められる。裏を返せば、それだけウチならば伸ばせそうという自信のある球団は指名して来るのではないのだろうか。





(成績から考える)

 3年時の年間を通した安定した投球内容と、4年春の直近の成績をセイバーメトリクスの指標から比較すると、彼の投球スタイルにおける「明確な進化(成長した部分)」と「懸念材料(劣化した部分)」が鮮明に浮かび上がってくる。

 時期
投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9 BB9
3年時  91回1/3 62 31 68 1.58 2.19 1.02 6.70 3.05
4年春  40回  28 17 40 1.80 2.35 1.13 9.00 3.83

 まず大きく成長したと言えるのが、
奪三振能力の向上だ。投手の空振りや三振を奪う能力を示すK/9(9イニングあたりで奪える三振の割合)は、3年時の6.70から4年春には9.00へと飛躍的に跳ね上がった。また、与えられた三振が四球の何倍にあたるかを示すK/BBも、3年時の2.19から4年春は2.35へと向上している。この数字の急上昇は、フォークを最大の武器として空振りを奪うスタイルがこの春により高いレベルで機能し、三振を量産できる本格派としての引き出しが太くなった動かぬ証拠と言える。

 一方で、警戒すべき劣化した(数値が悪化した)部分も見逃せない。走者の出しにくさを示す
WHIPは、3年時の1.02から4年春には1.13へと微悪化しており、イニングあたりの出塁許容が増えている。これに大きく影響しているのがBB/9(9イニングあたりで許す四死球の割合)の悪化で、3年時の3.05から4年春は3.83へと数字が膨らんでいる。本文でも課題として挙げていた通り、左打者相手などでの制球がアバウトになる場面がデータとしても表れており、四球から自らピンチを招く傾向が強まっている。

 防御率自体は3年時の
1.58から4年春の1.80へとわずかに落としたものの、高い奪三振能力を手に入れたことでピンチを自ら脱する力学は強まっている。圧倒的な三振奪取能力という確かな「武器の深化」を見せた一方で、プロの舞台で生き残るためには、失点に繋がりやすい四球や制球のバラつきをいかに改善していくかが、今後の鍵を握ることになりそうだ。


(最後に)

 実際生で見た時の印象としては「育成指名かな」と感じられた。しかし、プロ側の熱の入れようから見ると、本会議の中で指名してくるのではないかと思えてくる。確かに、まだまだ良くなりそうな余力は感じさせる素材であり、ファームで数年かけて育成しようという余裕のある球団が指名してくる可能性は高そうだ。ただし、個人的には、よほど秋の段階で急成長を確認できない限りは、支配下級(
)の評価には至らなさそうだ。


(2026年 春季リーグ戦)


 




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吉川 凌平(千葉商科大3年)投手 186/69 右/右 (習志野出身) 





 「真っ直ぐで空振りが奪える」





 吉川 凌平 の最大の魅力は、キレのある速球で空振りが奪える点にある。 大学入学後の2年間は千葉県リーグの二部に在籍。3年時から一部リーグデビューを果たすと、いきなりリーグ上位の成績を残した。その活躍が評価され、大学日本代表候補の松山合宿にも招集されている。


(投球内容)

 3年春のリーグ戦では、防御率1.55(リーグ3位)を記録。秋も1.60で2位に輝くなど、安定感は抜群だ。高校・大学を通じて全国大会への出場経験はないが、まさに「知る人ぞ知る」実力派といえる。

【セイバーメトリクス補足】

WHIP
1.02):1イニングあたりに出した走者の数。1.10以下はエース級とされ、安定感は抜群

K/BB
2.19):奪三振と与四球の比率。3.5を超えると優秀とされるが、2点台はまだ制球に改善の余地あり。

K9
6.70):9イニング換算の奪三振数。驚異的な数字ではないが、打たせて取る能力も高いことを示す。

BB9
3.05):9イニングあたりの与四球数。大崩れはしないが、プロ基準ではもう少し下げたい。


投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9 BB9
91回1/3 62 31 68 1.58 2.19 1.02 6.70 3.05


ストレート:145キロ前後(最速151キロ)☆☆☆★ (3.5)

 
高めの速球で空振りを誘う場面が目立つ。コントロールにはアバウトな面もあるが、甘い球でも押し切れるボールの勢いがある。ただし、全国レベルの打線が相手だと痛打される危険性も孕んでいる。

横変化(スライダー):
☆☆☆ (3.0)

 横滑りするスライダーでカウントを整える。空振りを奪うほどの威力はないが、直球が荒れる分、計算できる変化球として重宝しそうだ。


縦変化(フォーク):☆☆★ (2.5)

 落差のあるフォークというより、スプリットのように高速で小さく沈む。現状、精度やキレに特筆すべきものはないが、的を絞らせないアクセントとして機能している。

(投球のまとめ)

 速球の質や勢いは素晴らしいが、変化球の精度やコントロールには課題が残る。最終学年でこれらをいかに改善できるかが、ドラフト指名の鍵を握るだろう。現時点では「指名確実」というより、動向を注視すべき「候補の一人」という印象だ。





(投球フォーム)

 ワインドアップから振りかぶり、足を上げる勢いや高さは標準的。軸足で立った際に膝が伸び切らず、リラックスできている点は評価できる。

<広がる可能性> ☆☆☆★ (3.5)

 ヒップファーストで体を捻り出すスペースを作れている。スリークォーター気味の腕の振りのため、縦の変化は出しにくい構造だが、フォーム自体は大きな変化球の習得も期待させる。


<ボールの支配> ☆☆☆ (3.0)

 グラブの抱えは良いが、顔が外を向き、腕が遠回りして「ブン」と振る形になるため、制球にムラが出やすい。また、足の甲が地面から早く離れる傾向があり、
ボールが高めに浮きやすい

<故障のリスク> ☆☆☆★ (3.5)

 体の使い方は無理がないが、腕の外旋(外側に振られる動き)による肩への負担が懸念される。


<実戦的な術> ☆☆☆★ (3.5)

 「着地」までの粘りがあり、出所が見えにくい。打者は差し込まれやすいはずだ。球威で押すというより、振りの鋭さでキレを生み出すタイプといえる。

(フォームのまとめ)

 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の4大動作のうち、特に「球持ち」と「体重移動」に改善の余地がある。将来性のあるフォームだが、現状は肘の低さがその良さを打ち消している印象も受ける。 とはいえ、肘を上げれば解決するほど単純ではない。本人の投げやすさや特徴を活かすなら、将来的にサイドスロー付近まで下げる選択肢も考えられる体の使い方だ。

(最後に)

 現在のWHIP(1.02)などの指標は優秀だが、上のレベルで通用するには、
変化球の精度とK/BBの向上が不可欠。今の個性を伸ばせる指導者や環境に出会えるかが、ドラフト指名、そしてその後の成否を分けるだろう。最終学年でどのような進化を見せるのか、静かに見守っていきたい。


(2025年 松山合宿にて)