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常深 颯大(大経大4年)投手 179/80 左/左 (明石商出身) 





 「良い意味での気持ち悪さがある」





 相手打者にとっては対峙し難い、そういった独特の嫌らしさがある 常深 颯大。この気持ち悪さが、プロの世界でも活かせるのか考えてみた。


(投球内容)

 この春のリーグ戦では、3勝1敗、防御率2.76 と、数字の上ではそこまで際立つものではなかった。それでも大学日本代表候補に選出され、平塚合宿にも参加している。今年の関西を代表するサウスポーの1人だと位置づけられる。


リーグ戦 
投球回数
被安打
四死球 奪三振  防御率
4年春 42回1/3 46 8 54 2.76


ストレート 常時140キロ前後~MAX140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0

 普段は少し
ボールを置きにいくような感じで、ドラフト候補としてはやや物足りないボールを投げている。しかし、平塚合宿のような2イニング限定のピッチングや走者を得点圏に進めると、140キロ台中盤の力を入れた真っ直ぐを投げ込んでくる。普段は制球重視で両コーナーに散らせてくる感じだ。平塚球場のスピードガンでは148キロまで記録していたが、自前のガンでは89マイル(約143キロ)程度だった。

 このボールの物足りなさが、投球回数を上回る被安打につながっているのかもしれない。それでも、
42回1/3イニングで8四死球と、精度の高いコントロールを持っている。また、真っ直ぐも角度を感じさせる球筋ではあるように思える。

横変化 スライダー
☆☆☆ 3.0

 それほど絶対的なキレはないが、カウントを整えるのには使えている。

縦変化 チェンジアップ
☆☆☆★ 3.5

右打者外角低めに沈むチェンジアップが大きな武器に。左腕投手ながら、この球を使える右打者の方が得意なのではないだろうか。投球回数を遥かに上回る奪三振を奪えているのは、この球によるところが大きいのだろう。

緩急 カーブ
☆☆☆ 3.0

 曲がりながら沈むカーブも使ってくる。この球も結構大きな曲がりであり、上手く使えると面白い。

投球以外の技術
☆☆☆ 3.0

 クイックは1.15~1.20秒ぐらいと平均的。牽制も適度に混ぜてくるが、それほどボールを長く持つとか、投げるタイミングを変えるなどの投球は見られない。丹念に両サイドに集めることと、ピンチになるとギアを上げることで、ランナーは出すが失点を最小限にとどめるといったピッチングを心がけているようだ。

(投球のまとめ)

 パッと見であまり見栄えのするボールを投げ込んでくるわけではないので、ピンと来るものは正直なかった投手。それでも、安定してコースに集められる制球力と、ギアを上げた時のボールには勢いを感じられたのは好感だった。気になるのは、左腕ではあるけれど、あまり左打者を得意としていなさそうなところ。そうなると、
左投手に求められる「左打者に強い」という有り難みはあまり期待できないのかもしれない





(投球フォーム)

 今度は、フォームの観点から今後の可能性を模索してみたい。セットポジションから足を高く引き上げていく。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸び切ることなくバランス良く立てているのは良いところだ。この力みの無さとバランスの取れた立ち方が、安定した制球力に繋がっているのかもしれない。

<広がる可能性>
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足をしっかりピンと伸ばさないので、お尻の三塁側への落としには甘さを残す。それでも、カーブやフォークといった球種が投げられないわけではない。「着地」までの地面の捉えは平均的で、体を捻り出す時間は並ぐらい。大きな曲がりの変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げていきそうである。

<ボールの支配>
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられているわけではないが、結果的には体の近くにある。そのため、外に逃げようとする遠心力を抑えることができ、軸はブレにくく両サイドの制球は安定している。

 足の甲での地面の捉えが浅いのだが、それほどボールが高めに集まるわけではない。そのへんは
指先の感覚も良く、ボールを指先で制御できているからかもしれない。

<故障のリスク>
☆☆★ 2.5

 お尻の落としに甘さは残すが、そこまで窮屈というほどではない。フォーク系の球種は見られず、カーブの頻度も多くはなさそうである。むしろ気になるのは、グラブを持っている方の肩が下がり、ボールを持っている方の肩が上がるという、腕の送り出しにある。そのため、
肩への負担は心配される。それでも力投派というわけでもないので、疲労をためやすい感じはしなかった。

<実戦的な術>
☆☆ 2.0

 「着地」までの粘りは平均的で、少し
ボールの出どころが見やすい感じがする。そのへんが、被安打の多い理由かもしれない。腕も投げ終わったあとに体に絡んでくるような勢いがなく、体重にしっかり乗せてからリリースしている感じがしない。したがって、フィニッシュ時にあまり躍動感が感じられない

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「開き」と「体重移動」に改善の余地を感じる。制球を司る動作は悪くないが、故障のリスクは気になるところ。あとは、いかに武器になる変化球を見出していくかではないのだろうか。それでも現在は、チェンジアップで三振が奪えている。


(最後に)

 まだ投球に絶対的なもの、訴えかけてくるようなボールはない。それだけに、高い評価はしにくいのではないかと思う。それでも、安定したコントロールを背景に大崩れしにくいタイプだ。
角度を生かした球筋とチェンジアップを武器に、相手としては対峙しにくい気持ち悪さがある。そういった部分を活かせれば、プロでも面白いかもと思わせるものがあった。ドラフトでは、4位前後ぐらいの評価になるのではないだろうか。上位で左腕が獲得できなかったチームが、次のゾーンで狙ってきそうだ。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2026年 平塚合宿)