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的場 吏玖(天理大4年)投手 186/71 右/右 (大阪電通大高出身) 





 「良くなってきている」





 昨オフの時点では、「フォームは理想に近いが球威が物足りない」と評した 的場 吏玖。最上級生を迎え、いかに進化を遂げたのか。その投球を紐解きたい。


(投球内容)

 今春のリーグ戦では5勝0敗と圧巻の成績を残し、最優秀防御率やMVPを獲得。チームを全国大会へと導いた。3年時の成績と今春の数字を比較する。



学年 
投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9 BB9
3年時 62回1/3 45 19 54 1.73 2.84 1.03 7.80 2.74
4年春 45回1/3 29 17 44 0.99 2.59 1.01 8.73 3.38


ストレート:140キロ中盤(☆☆☆ 3.0

 右投手としては平均的な球速だが、もともとの
キレの良さに加え、球威不足の印象が薄らいだ。特に要所で内角を厳しく突く強気な攻めが光る。両サイドを広く使い、打者の打ち損じを誘う投球術も健在だ。

横変化:スライダー・カットボール(
☆☆☆ 3.0

 鋭く曲がるスライダーと、小さく変化するカットボールを使い分ける。三振を奪うというよりは、カウントを整え、打者の目線を変える役割を果たしている。

縦変化:フォーク(
☆☆☆ 3.0

 ストンと急落するタイプではなく、チェンジアップに近い感覚で活用する。緩急をつけ、投球の幅を広げる一球だ。

緩急:カーブ(
☆☆☆ 3.0

 110キロ台で縦に割れるカーブ。昨年はピンチ時に限られた印象だったが、今春は頻繁に織り交ぜることで投球のアクセントとなっている。

投球以外の技術(
☆☆☆ 3.0

 クイックは1.05~1.15秒前後と標準的な水準。鋭い牽制球も持っているが、走者への目配せはさらなる向上の余地がある。守備時のボール処理は落ち着いているものの、カバーリングの遅れが見られる場面も。投球の駆け引きという面では発展途上だが、
走者を背負っても動じないマウンド度胸がある。

(投球のまとめ)

 昨年と比較して球威の向上と内角攻めの精度が際立っている。多彩な変化球で的を絞らせない投球は、高い実戦能力を感じさせる。完成度を維持しつつも、まだ伸び代を残しており、秋以降のさらなる成長が期待される。






(3年時と4年春の成績を比較する)

 昨季と比較した際、最も注目すべきは
「奪三振率(K9)」の劇的な向上である。昨年の7.80から今春は8.73へと上昇しており、投球術だけでなく、打者を圧倒する力が向上したことを数値が裏付けている。ここで、いくつかの指標を比較することで、的場の投球スタイルの変化を読み解いてみたい。

K/BB(奪三振÷与四死球)

 この数値は「制球力と支配力」を示す指標で、一般的に3.0を超えると極めて優秀とされます。的場の場合、昨年(
2.84)から今春(2.59)へと微減していますが、これはK9の向上に伴い、より三振を狙いにいった結果、四死球が若干増えたためと推測できます。依然として高い水準を維持しており、自滅のリスクは低いといえます。

WHIP(1イニングあたりに何人の走者を出すか)

 投手の安定感を示す最も基本的な指標で、1.00前後であれば球界屈指の好投手といわれます。昨年(
1.03)から今春(1.01)へとわずかに改善しました。奪三振が増え、被安打を抑え込めていることで、走者を背負うリスクを最小限に留めています。

K9(奪三振率)

 9回投げた場合に何個の三振を奪えるかを示す指標。昨年の
7.80から今春の8.73への大幅アップは、持ち味の「キレ」に加え、変化球の使い分けが向上し、打者の空振りを誘えるようになった証拠です。

BB9(与四死球率)

 9回投げた場合に何個の四死球を与えるかを示す指標。この数値は昨年(
2.74)から今春(3.38)へと悪化しました。三振を狙うあまり、球際が厳しくなった副作用かもしれません。秋のリーグ戦では、この制球を保ったままいかに三振を奪えるかが、ドラフト評価を確定させる鍵となるでしょう。

(結論と今後の展望)

 データが示すのは、単なる「守りの投球」からの脱却である。かつての的場は「打たせて取る」ことで安定感を担保していたが、今春は「三振を奪う」という明確な攻撃的姿勢が見て取れる。

 球威が物足りないと評されたオフシーズンから半年、数字上の成長は目覚ましい。球威で圧倒するタイプではなく、変化球の精度と駆け引きで打者を支配する「完成度の高い技巧派」へと進化を遂げたと言える。

 欲を言えば、
BB9(与四死球率)を昨年の水準まで戻すことができれば、プロの舞台でも計算できる投手として期待が持てる。秋のシーズンでは、この強気な攻めを継続しつつ、いかに無駄な走者を出さずにアウトを重ねられるか。その「一皮むけた姿」を、多くのスカウトが待ち望んでいるはずだ。


(最後に)

 現状、NPBの一軍投手として見ると、ボールの威力には物足りなさが残る。これといった
絶対的な決め球にも欠けており、即戦力というよりは、二軍で1〜2年しっかりと育成した末に、どのような成長曲線を描くかが鍵となるだろう。

 ただし、昨年同様の懸念を抱いていた 岡本 駿(甲南大-広島3位)投手が、思いのほか早く一軍で結果を残している。そうした成功例を鑑みると、土台となるフォームが良い的場の場合も、想像を超える飛躍を見せる可能性は十分にある。ドラフトでは、5位前後での指名を予想したい。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2026年 大学選手権)


 





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的場 吏玖(天理大3年)投手 186/71 右/右 (大阪電通大高出身) 





 「球威が物足りない」





 高校時代から大阪では話題の投手で、天理大に進んでからも順調に実績を重ねてきた 的場 吏玖 。しかし、依然として線が細く、高校時代と同様にボールや体の強さといった部分には物足りなさを残している。大学からのプロ入りを果たすには、ここを抜本的に変えられるかどうかに懸かっていると言えるだろう。


(投球内容)

 2年春に5勝0敗の好成績を残し、続く秋はリーグ2位の防御率を記録。さらに昨年は、年間を通して6勝負けなしと、今や関西を代表する好投手の一人に数えられている。


【指標による分析】

WHIP1.03 (1イニングあたりに出した走者の数。1.10未満ならプロでもエース級とされる) 非常にランナーを出しにくい、安定した投球ができていることを示している。

K/BB
2.84 (奪三振と与四球の比率。3.50を超えると超優秀とされる) 2.84は良好な数字。四球で自滅するタイプではなく、制球力の高さが裏付けられている。

BB9
2.74 (9イニング換算でいくつ四球を出すか) 3.00を切っており、大学球界では十分に合格点の制球力。


投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9 BB9
62回1/3 45 19 54 1.73 2.84 1.03 7.80 2.74


ストレート(130キロ台後半〜140キロ台前半):☆☆★ 2.5

 良く言えばキレ型、厳しく言えば
球威不足。両サイドに散らして投げミスを抑えているが、時折高めに浮いた球を痛打されるケースが目立つ。昨今のドラフト候補右腕としては、球速・球威ともに物足りなさは否めない。最終学年でこの真っ直ぐの質がどこまで向上しているかが、最大のチェックポイントだ。

横の変化(スライダー・カット):
☆☆☆★ 3.5

 小さく動くカットボールと、大きく曲がるスライダーでカウントを整える。これらの精度とキレは高く、実戦的だ。

縦の変化(フォーク):
☆☆☆ 3.0

 縦の変化も積極的に混ぜる。まだ見極められる場面もあるが、落差と精度自体は悪くない。

緩急(カーブ):
☆☆★ 2.5

 稀に緩いカーブを織り交ぜるが、投球に余裕がある時に限られており、頻度は高くない。

その他(守備・術):
☆☆☆★ 3.5

 クイックは1.05~1.10秒前後と基準以上。ベースカバーや牽制の鋭さもあり、
野球センスと運動能力の高さが窺える。





(投球フォーム)

 セットポジションから足を高く引き上げる。本質的には
先発タイプなのだろう。軸足で立った際に膝が伸び切らず、力みのないバランスの良い立ち姿が印象的だ。

<広がる可能性>:
☆☆☆☆★ 4.5

 引き上げた足を高い位置で維持し、お尻を無理なく一塁側へ落とせている。体を捻り出すスペースが確保されているため、カーブやフォークなどの縦の変化球を投げる際も無理がない。将来的にはさらに大きな武器となる変化球を習得できそうな予感がある。

<ボールの支配>:
☆☆☆☆ 4.0

 グラブを最後まで内に抱え込み、遠心力を制御できている。軸がブレにくいため両サイドの制球が安定し、足の甲で地面をしっかり捉えているため、球の浮き上がりも抑えられている。

<故障のリスク>:
☆☆☆☆★ 4.5

 お尻の落としがスムーズで、変化球を投げても体に窮屈さがない。腕の振りも自然で、肩への負担は少ないだろう。現状は力投派ではないため、疲労の蓄積も抑えられそうだ。

<実戦的な術>:
☆☆☆☆ 4.0

 着地までの粘りがあり、球の出どころが隠されているため、打者からすればタイミングが取りづらい。投げ終わった後の腕の振りも鋭いが、現状は体重(ウェート)が足りず、手元での強さに欠ける。しかしエネルギー伝達の仕組みは出来上がっている。

(フォームのまとめ)

 
「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」というフォームの4大要素において、大きな欠点が見当たらない。制球を司る動作は理想的で、将来的に化ける可能性を十分に秘めている。正直なところ、ここまで私の求める形を体現できている投手は、これまでに数えるほどしか見たことがない


(最後に)


 
未完成な筋力ゆえに「ボールの強さ」という大きな課題はあるが、投球フォームに関しては私がこれまで分析してきた中でも、間違いなく最高峰の一人だ。 高校時代からの課題である「体重増加とそれに伴う球威向上」。ここを最終学年でクリアできるのであれば、ドラフト会議でも強く推していきたい魅力的な素材である。


(2025年 リーグ戦)