26ky-8





稲山 壮真(鳴門2年)一塁 180/90 右/左 
 




 「雰囲気がある」





 昨夏の甲子園・天理戦に「4番・一塁手」として出場した 稲山 壮真 。右へ左へ、そしてセンターへと広角に4安打を放ち、一躍その名を全国に轟かせた。この選手、実は徳島大会の時点から異彩を放っていた強打者である。


【走塁面:
☆☆★ 2.5

 一塁ゴロでの到達タイムは、最後をかなり緩めながらも左打席から4.35秒前後を記録。全力で駆け抜ければ、基準となる4.1秒前後を叩き出せるポテンシャルはありそうだ。甲子園での二塁到達タイムも8.25秒前後であったことを考えると、決して走力が劣るタイプではない。 ただ、プレースタイルとして
走塁を前面に出すタイプではなく、公式戦での盗塁機会もほとんど見られない。最終学年において、走塁意識がどう変化するか注目したい。

【守備面:
☆☆☆ 3.0

 一塁での動きを見る限り、非常に
丁寧にボールを処理している。身のこなしも決して悪くない。練習では三塁や外野の守備にも就いており、2年春の四国大会ではすでに三塁手としても出場。最終学年では一塁以外のポジションでの適性も見せてくれそうだ。

 守備や足で圧倒するタイプではないものの、その
「丁寧さ」と「最低限以上の走力」は、野手としての価値を下支えしている。





(打撃内容)

 
広角に打ち返す技術とパワーを兼ね備えている。昨夏の徳島大会で見せた、ライトスタンドへライナーで突き刺した本塁打は圧巻だった。しかし個人的には、惜しくもファウルにはなったものの、ライトポール際へ運んだ特大の打球の方に、彼の真の飛距離を見た気がする。

【セイバーメトリクスによる補足分析】

提供されたデータから算出される以下の指標が、彼の異質さを物語っている。

OPS
1.485 (説明:出塁率+長打率。打者の総合的な得点貢献度を表す。高校生なら0.9を超えれば優秀、1.0を超えれば超一流とされるが、1.485は驚異的な数値

IsoP
.498 (説明:長打率-打率。単打を除いた「純粋な長打力」を示す。0.2を超えれば合格点とされる中、.498という数字は、安打の半分以上が長打である計算になり、長打製造機としての資質を証明している。

BB/K
2.67 (説明:四死球÷三振。打席での粘り強さと選球眼を示す。1.0を超えれば優秀とされるが、三振の3倍近い四死球を選んでいる点は、相手バッテリーが勝負を避けている証左でもある。


 打率 打数 安打 本塁打(ニ・三塁打 打点 三振 四死球 出塁率 長打率
.320 25 8 1(2) 6 3 8 .667 .818


構え:☆☆☆★ 3.5

 左打席で前足を少し引き、グリップを高めに置くスタイル。腰を沈めすぎず、全体のバランスが非常に良い。
両目でしっかりと投手を見据えており、錯覚を起こすことなく球筋を正確に追えている。

仕掛け:
遅すぎ

 投手の重心が下がる際につま先立ちし、本格的に始動するのはリリース直前という「極めて遅い始動」を採用している。このタイミングだと、上のレベルの球速を木製バットで打ち返すには、日本人離れしたヘッドスピードが必要になる。最初の始動のタイミングからも、本質的には
対応力重視の打者なのかもしれない。

足の運び:
☆☆☆ 3.0

 小さくステップし、真っ直ぐ踏み込んでくる。始動から着地までの「間」が短いため、あらかじめ狙い球を絞って仕留める必要がある。踏み込んだ
足元はインパクトでブレず、外へ逃げる球や低めにも食らいつける。

リストワーク:
☆☆☆★ 3.5

 トップの形を自然体で作れるため、力みがない。始動が遅い分、
バットを引く動作が遅れないよう注意が必要だ。スイング軌道はインサイドアウトというより、ヘッドを立てて広い面で捉えるイメージ。外角球もロスなく捌き、内角球も肘を畳んで対応できている。現時点では角度をつけて飛ばすというより、強烈なライナーをフェアゾーンへ飛ばすスイングだ。

軸:
☆☆☆☆ 4.0

 目線の上下動が少なく、体の開きも我慢できている。特に軸足の
内腿の筋肉が発達しており、それが強烈な打球を生み出す原動力となっている。

(打撃まとめ)

 打席でのルーティンが確立されており、非常に
落ち着いた「大物感」が漂う。現時点では、甘い球を確実に仕留める「凄み」までは完成していないが、その域に最終学年で到達できるかが焦点となる。


(最後に)

 今年は全国的に見ても長打力のある野手が少ないだけに、
「四国の怪童」になりうる好素材だ。 セイバーメトリクスから見ても、単なる「打率が良い打者」ではなく、「長打があり、四球が選べる(=投手にとって最も厄介な)打者」であることが裏付けられた。

 高校から即プロというタイプにはまだ課題も多いが、実力が伴ってくれば非常に面白い存在になるだろう。順調に大物へと育っていくことを期待し、最終学年の進化を注視していきたい。


(2025年夏 徳島大会)