26ky-10





福島 陽奈汰(東海大熊本星翔2年)遊撃 175/73 右/右 
 




 「守備はすでにプロ級」





 2026年度のドラフト戦線は、高校・大学共に遊撃手の人材が不足している。そんな中、下級生の段階で守備に関しては「指名級」ではないかと思わせるのが、この 福島 陽奈汰 だ。一体どのような選手なのか、その実力を検証したい。


(守備・走塁面)

 一塁到達の正確なタイムを計測する機会は限られているが、昨夏の熊本大会決勝で放った三ゴロの際のタイムは、右打席から 4.5秒前後 であった。左打者に換算すると4.25秒前後に相当する。ドラフト候補の基準とされる4.1秒と比較すると、脚力自体は「中の下」程度の評価に留まる。

 しかし、1番打者を担い、隙あらばセーフティバントを仕掛ける積極性がある。数値以上の走力がある可能性も高く、この点は最終学年で見極めたい。

 遊撃手としては、非常に細かいステップを刻め、
スピード感と打球への反応も秀逸。何より素晴らしいのは、送球の安定感 である。動きの良い遊撃手はアマチュア界に多いが、送球が不安定でコンバートされるケースは少なくない。その点、福島は送球が強く、軌道が極めて安定している。プロでも遊撃手として勝負できる素材だ。





(打撃内容)


 ボールを捉えるセンスは非凡だが、まだ
体に強さがなく「センス先行」の打撃という印象を受ける。2年夏の熊本大会と甲子園の成績に、セイバーメトリクスの視点を加えて分析する。

OPS(出塁率 + 長打率):1.377 打撃の総合的な貢献度。1.000を超えれば超高校級と言える。

IsoP(長打力を測る指標):
.185 = 長打率 - 打率 で算出。純粋な長打力を示す。目安として.200を超えると長距離砲とされるため、中距離打者として非常に優秀なポテンシャルを秘めている。

BB/K(選球眼とコンタクト能力):
(計測不能)四球を三振で割った数値。三振が「0」であるため算出不能なほど優秀。追い込まれても崩れない驚異的な対応力を示している。


 打率 打数 安打 本塁打(ニ・三塁打 打点 三振 四死球 出塁率 長打率
.556 27 15 0(4) 4 0 6 .636 .741


<構え> 評価:☆☆☆★ 3.5

 右打席で前足を出し、カカトを浮かせて構える。グリップの高さは平均的。背筋を伸ばして両目で前を見据える姿勢はバランスが良く、
打席での高い集中力が感じられる。

<仕掛け> 評価:
遅すぎ

 投手の重心が沈む際、開いていた足をベース側につま先立ちさせる。本格的に動き出すのがリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用している。日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、この始動でプロの球に対応するのは容易ではない。ただし、打者としてのタイプは最初の始動のタイミングが影響するので、本質的には「対応力重視」の打者ではないかと考えられる。

<足の運び> 評価:
☆☆☆ 3.0

 小さくステップし、ベースから離れる方向へ踏み出すアウトステップ。始動から着地までの「間」がないため、あらかじめ狙い球を絞る必要がある。内角への意識が強そうだ。

 踏み込んだ前足はインパクトでブレない。そのため、アウトステップながら外角の球にも食らいつける。懸念点は、引っ張る際にも足元が動かないため、
腰の回転が制限されることだ。そのため、さばける球が限定される懸念がある。

<リストワーク> 評価:
☆☆☆★ 3.5

 トップの形を自然に作れており、力みなくボールを呼び込めている。バットの振り出しに癖はなく、ロスは少ない。ただし、ヘッドを立てようと意識しすぎるためか、バットの抜けが少し ぎこちなく 見える。
形にこだわりすぎず、本来の感性で振り抜いても良いのではないか。

<軸> 評価:
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さいため、目線の上下動が少ない。体の開きも我慢できており、軸足を起点とした回転スイングができている。


(総評)

 セイバーメトリクスの数値(BB/Kの高さ)が示す通り、
三振をしない驚異的なコンタクト能力が最大の武器だ。一方で、型を大事にするあまり自身の感性を抑え込んでいるスイングにも見える。

 2年生の時点では、全国上位の遊撃手と言える。ここからの成長次第では「センスの良い大学生タイプ」で終わってしまうリスクもあるが、一冬越えて身体に強さが加われば、その高い指標はさらに跳ね上がるだろう。ショートの人材が乏しい年だけに、突き抜けた存在になれば一気に上位候補にまで浮上するはずだ。


(2025年夏 熊本大会)