26kp-8


 




丹羽 涼介(市和歌山2年)投手 183/84 右/右 





 「150キロも越えてくるかも」





 2年春の選抜で、優勝した横浜高校を相手に存在感を示した 丹羽 涼介 。続く夏の智弁和歌山戦の投球を見る限り、その威力はさらに増していた。一冬を越えれば、コンスタントに150キロ台を刻めるほどにパワーアップしてくるかもしれない。


(投球内容)

 2年夏の大会では智弁和歌山と対戦し、敗退。秋は近畿大会まで駒を進めるも、初戦で大阪桐蔭に惨敗し、選抜出場は絶望的となった。今年の選抜大会には多くのドラフト候補の出場が期待される中、
「不出場組」の筆頭格になりそうな存在だ。

ストレート:常時145キロ前後〜150キロ(評価:
☆☆☆★ 3.5

 やや肩に力が入るようなフォームから、コンスタントに145キロ前後を記録する。
角度のある球筋を、大まかに両サイドへ散らしてくるのが特徴だ。

 特に
打者の内角を厳しく突く強気な投球に持ち味がある。 ただし、打者からすればタイミングが合いやすいのか、その球速の割に智弁和歌山打線にきっちり捉えられていたのが気掛かりだ。さらに球速を増して力で圧倒するか、打ちにくいフォームを見出すかが、今後の活躍を大きく左右しそうだ。

横の変化:スライダー・カットボール(評価:
☆☆☆★ 3.5

 最大の長所は、
体の近くで鋭く曲がるスライダーでしっかりカウントを整えられる点だ。この球を内外角に使い分ける技術を持っている。また、左打者の膝元へ食い込ませて空振りを誘うカットボールなど、変化球の組み立ても面白い。

縦の変化:フォーク(評価:
☆☆ 2.0

 精度・落差・投球頻度はまだ物足りない。この球の精度が上がれば、両サイドだけでなく高低の揺さぶりも効くようになり、より的を絞らせない投球が可能になるだろう。

緩急:カーブ(評価:
☆☆★ 2.5

 時折緩いカーブを織り交ぜるが、現状は余裕がある場面で使う程度。投球全体における割合はまだ少ない。

その他(評価:
☆☆☆ 3.0

 クイックタイムは1.25秒前後と、やや遅い部類。
鋭い牽制は見せるものの、走者への目配せが十分ではなく、フォームを盗まれて盗塁を許す場面も少なくない。投球の間合いを変えたり、ボールを長く持ったりといった「打者との駆け引き」には、まだ伸びしろを感じさせる。

(投球まとめ)

 ストレートのコマンド(制球力)や変化球の精度を含め、全体的に「発展途上」という印象だ。その未完成さが、強豪校を相手に勝ちきれない要因かもしれない。しかし、それを補って余りある恵まれた才能とセンスの持ち主であることは確かだ。本人の意識と努力次第では、ドラフト上位候補へと成長していても不思議ではない。






(投球フォーム分析)

 セットポジションから足を上げる勢いは静かで、それほど高くは引き上げない。この静かな始動を見ると、
先発タイプとしての適性を感じる。 課題は、軸足一本で立った際に膝から上が直立してしまう点だ。そのため、バランスを取ろうと余計な力が入ったり、突っ込みやすいフォームを招いている。

<広がる可能性>(評価:
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばすが、二塁方向へ送り込む意識が強すぎるため、お尻の一塁側への落としが甘くなっている。その結果、体を捻り出すスペースが十分には作れず、カーブやフォークといった縦の変化が鈍くなりやすい傾向がある。 「

 着地」までの粘りや体を捻り出す時間は平均的。大きな変化を求めるよりは、球速のある小さく曲がる球を中心に投球の幅を広げるスタイルが現実的だろう。

<ボールの支配>(評価:
☆☆★ 2.5

 グラブが後ろでほどけて体から離れてしまうため、外へ逃げようとする遠心力を抑えきれていない。その分、軸が左右にブレやすい。また、足の甲での地面の捉えが浅いため、浮き上がろうとする力を抑えられず、高めにボールが浮きやすい。 それでも形になっているのは、
「球持ち」の良さによって指先でコントロールできているからだろう。

<故障のリスク>(評価:
☆☆ 2.0

 ヒップファーストの甘さはあるが、現状は変化球の頻度がそれほど高くないため、過度に神経質になる必要はないかもしれない。 ただし、腕の送り出しにおいて、ボールを持つ側の肩が上がり、グラブ側の肩が下がる傾向があり、
肩への負担が懸念される。力投派であることも含め、疲労を溜めやすいタイプではないかと。そのため、体のケアには十分に注意して頂きたい。

<実戦的な術>(評価:
☆☆☆ 3.0

 着地までの粘りやボールの出どころは平均的。打者にとってそれほど打ちにくいフォームではない。腕は強く振れているが、出どころが見えやすいため、縦の変化への対応は打者の技量次第となるだろう。リリース時に適度な体重移動はできているが、投げ終わった後に重心が一塁側へ流れており、エネルギーをロスしてしまい、ボールに伝えきれていない印象だ。

(フォームのまとめ)

 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の4大動作のうち、特に
「着地」と「体重移動」に改善の余地がある。故障リスクを考慮し、体のケアには十分注意を払いたい。制球や将来的な武器の習得についても不安が残るため、現時点では「リスキーな好素材」という評価は否めない。


(最後に)

 順調に成長すれば、春には150キロ台を連発していても不思議ではない。しかし、制球やフォームの完成度といった実戦面でどこまで積み上げられるか。長所で欠点を凌駕するのか、あるいは課題を克服して化けるのか。最終学年での進化を見守って行きたい。


(2025年夏 和歌山大会)