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高部 陸 (聖隷クリストファー2年)投手 174/68 左/左 
 




 「完成度は高い」





 沖縄尚学の 末吉 良丞 と同様、下級生ながら極めて完成度の高いピッチングを見せるのが 高部 陸 だ。マウンド上で喜怒哀楽を隠さない闘争心溢れるスタイルも相まって、見る者を惹きつける魅力がある。ここからさらなる「凄み」を上乗せできれば、ドラフト上位指名も現実味を帯びてくるだろう。


【投球内容】

 2年秋は静岡大会を制し、東海大会準決勝まで進出。惜しくもセンバツ出場は当落線上の位置となったが、その実力は全国レベルであることを証明した。この秋の成績では

■ セイバーメトリクス補足

K/BB
4.86 (奪三振÷四球。3.5を超えれば優秀とされる中、4.86という数字は驚異的。高い制球力と三振を奪う能力を高い次元で両立している)

K9
10.20 (9イニング換算での奪三振数。10点台は「三振を狙って取れる」ドクターKの証。キレのある球質を裏付けている)


投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9 BB9
60 52 14 68 2.40 4.86 1.10 10.20 2.10


■ 球種分析

ストレート(140km/h前後〜中盤):評価:
☆☆☆★ 3.5

 キレのある真っ直ぐを両サイドへ投げ分ける制球力が光る。打者が思わず手が出ない
「見逃し三振」が多いのも、この球の質が高い証拠。ただし、球威で押し切るタイプではないため、甘く入った際の被長打率には課題を残す。

横変化(カットボール・スライダー):評価:
☆☆☆★ 3.5

 最大の武器はストレートと
見極めが困難な高速カットボール。130km/h台で鋭く変化し、容易には捉えさせない。110km/h台のスライダーをカウント球として使える器用さも備える。

縦変化(チェンジアップ):評価:
☆☆☆ 3.0

 球速差の少ない、小さく沈むタイプ。まだ打者が空振りを喫するほどの絶対的な精度ではないが、低めのボールゾーンに確実に集める技術がある。

緩急(カーブ):評価


 持ち球にはあるが、実戦での使用頻度は極めて低い。余裕のある場面でないと使って来ないのだろう。

■ フィールディング・牽制:評価:
☆☆☆☆ 4.0

 クイックタイムは1.05〜1.10秒と非常に素早く、走者への目配せも怠らない。投球テンポを変えるなどの術数も心得ており、一塁走者にとっては極めてスタートが切りにくい投手だ。






【投球フォーム分析】

 ワインドアップから膝を高く引き上げる、勢いのあるフォーム。序盤の入り方にはリリーフ的な爆発力を感じさせる。

<広がる可能性> 評価:
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて直線的に伸ばすため、お尻の三塁側への落とし込み(ヒップファースト)がやや甘くなる傾向がある。縦のスペース確保が難しいため、フォークや縦の大きなカーブを習得するには、今のフォームだと変化が鈍くなりやすい懸念がある。

<ボールの支配> 評価:
☆☆☆★ 3.5

 グラブを最後まで内に抱え込み、遠心力を制御できている。軸がブレにくいため
両サイドへのコントロールは安定するが、足の甲での地面の捉え(接地時間)が短いため、球筋が真ん中から高めに浮きやすい傾向がある。

<故障のリスク> 評価:
☆☆☆★ 3.5

 現在、肘への負担が大きい縦の変化球が少ないため、リスクは抑えられている。肩の使い方もスムーズに見えるが、
力投派ゆえの全身の疲労蓄積は心配な点。最終学年でのスタミナ管理が重要になるだろう。

<実戦的な術> 評価:
☆☆☆★ 3.5

 着地までの粘りがあり、出所を隠す「球持ち」の良さがある。打者からは見えない位置から急にボールが出てくる感覚だろう。ただし、踏み込んだ前足で体重移動をブロックしてしまう癖があり、重心が完全には乗り切っていない。現状は上体の振りに頼った「キレ型」であり、これが改善されれば球威・重さはさらに増すはずだ。


【総評】

 現時点でも完成度は極めて高いが、ここから劇的な進化を遂げるには、本人のさらなる向上心が不可欠だ。目指すべきは、ヤクルトの 高橋 奎二 のような、圧倒的なキレで空振りを量産する左腕。体重移動の改善と、絶対的な変化球を一つ習得できれば、ドラフト上位指名(3位以上)は確実だろう。そのポテンシャルは、間違いなく今の高校球界でトップクラスにある。


(2025年夏 静岡大会)