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 杉本 真滉(智弁学園3年)投手 177/84 左/左
 




 「選抜で最も株を上げた男」





 この春の選抜大会で、最もスカウトの評価を上げたのは、この 杉本 真滉 だったのではないだろうか。元々、選抜に出場してくれば話題になるであろう投手だとは思っていたが、チームを決勝まで導く快投は圧巻。個人的には「頑張り過ぎた反動が今後怖いな」と思うほどであった。


投球成績(2026年選抜)


【指標の解説】

K/BB: 奪三振と与四死球の比率。3.0を超えると優秀な投手の指標とされる。

WHIP: 1イニングあたりに許した走者数。1.00未満は球界トップクラスの安定感を示す。

K9: 9イニング換算での奪三振数。

BB9: 9イニング換算での与四死球数。


投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9  BB9
44回1/3 31 13 40 1.62 3.08 0.99 8.12 2.64


投球内容


 オーソドックスなフォームのサウスポー。昨秋と比べても目に見えて球威・球速が変わったわけではないが、数字を見るとその支配力は極めて高い。

ストレート(140キロ~MAX147キロ):
☆☆☆★(3.5)

 球速の数字以上に打者に速く感じさせる勢いがある。実際、
K9(奪三振率)は8.12を記録。これは、驚異的な球速がなくとも空振りを奪える「質の良い直球」であることを証明している。ただし昨秋の成績では、12.84 を記録しており、このへんは全国大会のレベルの高さ故かもしれない。

 その一方で、
立ち上がりを中心に制球を乱す傾向は残っており、BB9(与四死球率)2.64という数字以上に、現場ではボールのばらつきを感じさせる。じっくり見極められると苦しくなる懸念はある。それでも昨秋は、3.59 なので、不安定さは改善されつつあった

横変化(スライダー):
☆☆☆(3.0)

 秋よりも曲がりながら沈むスライダーのキレには、磨きがかかっているように見えた。その一方で、スライダーの制球という意味では、相変わらず高めに浮くなどアバウトなところは変わっていなかった。

縦変化(チェンジアップ):
☆☆★(2.5)

 右打者の外角低めに小さく逃げる、ツーシームのようなチェンジアップを投げてくる。しかし、この選抜ではスライダーに磨きがかかった分、チェンジアップを使う頻度が減ったように感じられた。

緩急(カーブ):
☆☆☆(3.0)

 秋よりも積極的にカーブを使う機会が増えた。以前はかなり余裕が出てこないと使わない球種だったが、この選抜では時々織り交ぜて投球のアクセントにするようになっていた。

その他:
☆☆☆(3.0)

 クイックは1.2秒前後とやや遅め。しかし、左投手であることに加え、走者への目配せや牽制などを適度に混ぜるため、スタートは切りにくいのではないか。投げるタイミングを変えたり、ボールを長く持ったりするような細かい投球術は見られないが、マウンドさばきは非常に落ち着いており冷静だった。

投球のまとめ

 
特筆すべきは、WHIP0.99という驚異的な数値だ。1イニングに平均して1人も走者を出さない計算になり、これが防御率1.62という安定感に直結している。ちなみに秋は、1.01 だったので、全国大会でもほぼ変わらない数字を残せていた。

 
K/BB3.08と、三振を奪う能力と四球を出さないバランスがプロ基準に達している。制球にアバウトな面はあるものの、崩れそうで崩れず、要所で踏ん張れる「点を取られない術」がこの投手の最大の持ち味だ。ちなみに昨秋の 3.58 だった。





投球フォーム

 セットポジションから足を引き上げる勢いは並だが、高い位置まで引き上げることでエネルギーを捻出している。軸足一本で立った際、膝から上がピンと伸びて力みは感じられるものの、足を高く引き上げることで全体のバランスは保てている。これにより、制球を乱す可能性はあっても、突っ込みやすさは軽減できているのではないだろうか。

<広がる可能性>
☆☆☆(3.0)

 お尻の三塁側への落とし(左投手の場合)には甘さを残している。そのため曲がりが鈍くなる恐れはあるが、カーブやフォークが投げられないほどではない。

 「着地」までの地面の捉えは平均的で、体を捻り出す時間も並ぐらいだ。そのため、今後はスライダーやチェンジアップなど、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げていくことになるのではないだろうか。

<ボールの支配>
☆☆☆★(3.5)

 グラブは内に抱えられているが、最後は少し解けかけている。そのため、外に逃げようとする力を十分抑えられているとは言えず、両サイドの制球はアバウトになりやすい。ただ、
足の甲での地面の捉えはしっかりできているので、浮き上がろうとする力は抑えられている。「球持ち」も悪くないため、現状はアバウトな印象を受けるが、将来的にはもう少しボールを制御できるようになるとみている。

<故障のリスク>
☆☆☆★(3.5)

 お尻の落としに甘さはあるが、カーブやフォークを多投するわけでもなく、神経質になるほどではない。腕の送り出しを見ても、肩への負担は少なそうだ。強いて言えば、
力投派の腕の振りのため疲労を溜め込みやすい点が心配される。勤続疲労から、思わぬ怪我に繋がる恐れには注意したい。

<実戦的な術>
☆☆☆★(3.5)

 「着地」までの粘りは平均的だが、
ボールの出どころを隠せている。腕の振りにも勢いがあり、これが高めの球に思わず手が出てしまう要因を作っている。ある程度体重を乗せてからもリリースできているが、投げ終わったあとに重心が流れるなどロスが生じており、せっかく作り出したエネルギーを逃してしまっている面もある。

フォームのまとめ

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」のうち、
「体重移動」には改善の余地がありそうだ。グラブの抱えが甘いところはあるものの、故障のリスクは高くない。将来的に、武器になるほどの変化球を習得できるかが成長のカギになりそうだ。


総評

 秋から春の間に、目に見えて大きく成長したわけではないように思う。むしろ、その存在が全国区で知れ渡ったことで、改めて力のあるところを証明した大会となった。

 春に想像以上に頑張り過ぎてしまったため、夏までの上積みがどこまで持てるかには一抹の不安を感じる。もし、ここからさらなる成長を望めるようであれば、上位指名を意識できるようになるのではないだろうか。個人的には、春の時点では「貴重な左腕」ということも加味し、ドラフト3位前後での指名になるのではないかとみている。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2026年 選抜大会)





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杉本 真滉(智弁学園2年)投手 175/80 左/左 





 「真っ直ぐの威力は確か」





 杉本 真滉 は左投げの本格派で、速球の威力には確かなものがある。選抜に出場すれば、プロからも熱い視線が送られることは間違いない好素材だ。


(投球内容)

 1年夏の甲子園で早くも先発マウンドを経験。2年夏の奈良大会では、旧チームから信頼を寄せられ、5試合中3試合に先発した。新チームとなった秋季大会でも、エースとしてチームを近畿大会決勝まで導いている。

K9(奪三振率):
12.84 … 9イニング換算でいくつ三振を奪えるか。9.0を超えれば優秀とされる中驚異的な数字

K/BB
3.58 … 奪三振と与四死球の比率。3.5以上はプロでも一流の制球力・安定感とされる指標。

WHIP
1.01 … 1イニングあたりに出した走者の数。1.00前後は「エース級」の極めて高い抑止力を示す。

BB9
3.59 … 9イニング換算で出す四死球数。高校生としては合格点の水準。


投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9  BB9
47回2/3 29 19 68 1.13 3.58 1.01 12.84 3.59


ストレート(140キロ〜140キロ台中盤):評価 ☆☆☆★(3.5)

 球筋がしっかりしており、
数字以上の勢いと球威を感じさせる。指標のK9(12.84)が示す通り、空振りを奪える直球は全国屈指だ。立ち上がりを中心に体が突っ込んで制球を乱す場面もあるが、落ち着けば球筋も安定する。大まかに両サイドへ投げ分けてくるものの、細かな精度についてはさらなる向上が期待される。

横変化:スライダー:評価
☆☆★(2.5)

 横の変化量が大きく、カウントを整える際にも多用する。ただし、全体的に
高めで変化する傾向があり、強打者相手には痛打されるリスクも孕んでいる。

縦変化:チェンジアップ:評価
☆☆☆(3.0)

 ツーシーム気味に速い球速で小さく沈む。変化自体は大きくないが、右打者の外角低めにコントロールされており、精度は高い。

緩急:カーブ:評価
☆☆★(2.5)

 使用頻度は高くないが、余裕がある際に見せ球として混ぜる。現時点では絶対的な武器ではないが、投球の緩急をつける補助的な役割は果たせている。

その他:評価
☆☆☆(3.0)

 クイックタイムは1.20秒前後と左腕としては平均的。下級生時から経験が豊富なだけにマウンドさばきは落ち着いている。WHIP(1.01)の低さは、
走者を出しても動じない安定感の証と言える。

(投球のまとめ)

 直球の威力は秋の時点で既にドラフト候補級。一冬を越えてその球威がどこまで磨かれるか、また変化球の精度がどこまで高まるかが注目される。K/BB(3.58)という良好な数値からも、単なる力押しではない「勝てる投手」としての素養が窺える。順調に成長すれば、高卒でのプロ入りを十分に狙える逸材だ。





(投球フォーム)

 ノーワインドアップから反動を強めに付けて投げ込むスタイル。足を引き上げる勢いや高さがあり、軸足で立った際のバランスも平均的水準にある。

<将来の可能性>
☆☆☆(3.0)

 引き上げた足を地面に向けて伸ばす際、お尻が三塁側(左投手におけるヒップファースト)へ落ちる動きにはやや甘さが残る。その影響か、カーブやフォークといった縦系の変化がやや鈍くなる懸念はある。一方で、体を捻り出す時間は標準的。球速のある直球と見極めにくい小さな変化球を軸に、投球の幅を広げていくタイプと言える。

<ボールの支配力>
☆☆☆☆(4.0)

 グラブを最後まで内に抱え込み、遠心力を制御できているため、軸がブレにくく両サイドのコントロールをつけやすい。足の甲で地面をしっかり捉えており、ボールの浮き上がりも抑えられている。球持ちも悪くないため、本来はもっと低めに集められるはずだ。制球を乱す主な要因は
「体の突っ込み」による再現性の欠如にあるため、そこが解消されれば安定感はさらに増すだろう。

<故障リスク>
☆☆☆(3.0)

 ヒップファーストの甘さはあるが、肘に過度な負担がかかるような投げ方ではない。多少、投球側の肩が上がり、グラブ側の肩が下がる傾向があるため、肩への負担はゼロではないが、神経質になるほどではない。力みからくる疲労蓄積を抑えられれば、大崩れはしにくい。

<実戦的な術>
☆☆☆☆(4.0)

 着地までの粘りは平均的だが、
ボールの出所を隠す意識が見られる。腕の振りが鋭く、打者がタイミングを取りづらい勢いがある。体重移動もスムーズで、リリースの瞬間に力が集約されており、手元での強さが際立つ。下半身の柔軟性と筋力が強化され、フィニッシュのバランスが安定すれば、さらなる飛躍が期待できる。

(フォームのまとめ)

 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」というフォームの4大動作において、致命的な欠点はない。「着地」と「体重移動」に改善の余地を残すが、現在の動作を見る限り、フォームが固まれば制球力は上位の部類に入るはずだ。一冬越えての進化を期待したい。


(最後に)

 直球の強さと、制球の土台となる動作の良さを兼ね備えた好左腕。セイバーメトリクスの各指標でも、全国レベルの投手であることを証明している。現時点では制球に粗さがあるものの、フォームの再現性が高まれば劇的な改善が見込める。選抜大会でどのような進化を見せるか非常に楽しみな存在であり、内容次第ではドラフト中位での指名も十分に期待できるだろう。


(2025年秋 近畿大会)