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| 末吉 良丞(沖縄尚学3年)投手 175/91 左/左 | |
2年夏の甲子園で全国制覇を成し遂げ、続くU-18ワールドカップでも大活躍を見せた 末吉 良丞。最上級生として迎えた初の公式戦(選抜)は初戦敗退という結果に終わったが、その投球内容は決して悲観するようなものではなかった。 【投球内容】 選抜初戦の帝京戦では、7回2/3を投げ、被安打5、四死球4、奪三振9、無失点 と数字の上では悪くなかった。特に序盤は高めの速球で空振りを奪うシーンも多く見られた。しかし、要所での微妙なコントロールに甘さを残し、チームを勝利へ導くには至らなかった。 球種別分析 ストレート:140キロ~MAX147キロ(評価:☆☆☆★ 3.5) 昨夏の甲子園での最速146キロを更新する147キロを記録。ボールにはキレがあり、十分に空振りを誘える質を備えている。多少高めに抜けたりアバウトな面もあったが、本来は制球が悪いタイプではない。彼の真骨頂は「要所で良いコースに決まる」点にあり、その意味では今大会は若干物足りなさも残った。初戦を突破していれば、さらに研ぎ澄まされた投球が見られたかもしれない。 横変化:スライダー・カット(評価:☆☆☆☆ 4.0) むしろ彼の最大の武器は、この曲がりながら沈むスライダーのキレにある。以前に比べ横への変化量は抑えめになった印象だが、その分、縦への変化が鋭くなった。この球で空振りを奪える点は非常に大きい。 縦変化:チェンジアップ系(評価:☆☆☆ 3.0) 右打者の外角へ小さく逃げる、ツーシームに近いチェンジアップを操る。低めのボールゾーンへ沈むことも少なくない。この球自体で空振りを取るシーンは多くないが、クロスへの真っ直ぐやスライダーを意識させる中で、逆方向への意識付けとして大きな意味を持っている。 緩急:カーブ(評価:☆☆☆ 3.0) 120キロ台のスライダーに対し、110キロ台で入ってくるのがカーブと思われる。スライダーと軌道が似ており、球速差による見極めの困難さはないが、投球の緩急をつけたりカウントを整える役割が強い。 その他(評価:☆☆☆★ 3.5) クイックタイムは1.05秒前後と高い水準を維持。以前はあまり見られなかった牽制を効果的に入れるなど、細かな進歩が見られる。フィールディングも上手い部類だが、今後は投げるタイミングを変えるなど単調にならない工夫が欲しい。とはいえ、昨夏の王者らしく走者を背負っても落ち着き払ったマウンド捌きは流石である。 投球まとめ 昨夏と比較して目に見える劇的な進化とまではいかないが、スライダーの磨き込みや牽制を増やすなど、課題に対して真摯に取り組んだ跡が伺える。久々の実戦ゆえに要所での制球に甘さが出たのは残念だが、これは実戦勘の問題だろう。勝ち進む中で「ここ一番でベストボールを投じる」本来の良さが戻ってきたはずだ。 【投球フォーム】 セットポジションから始動し、足を引き上げる勢いや高さは標準的。軸足一本で立った際に膝から上がピンと伸び切り、力みが見られる点は相変わらずである。そのため、力みが入ると体が突っ込んでしまう傾向が今春も見られた。 <広がる可能性>(評価:☆☆☆★ 3.5) 引き上げた足を二塁側へ大きく送り込むため、お尻の三塁側への落としには甘さが残る。昨年より足を送り込む動作が強まった分、体を捻り出すスペースがタイトになった印象もあるが、カーブやフォークの習得に支障が出るほどではない。 「着地」までの地面の捉えは安定しており、体を捻り出す時間は確保できている。各変化球のキレは良く、今後さらに武器となる変化球を習得できる余地はある。 <ボールの支配>(評価:☆☆☆☆ 4.0) グラブを最後まで内に抱え込み、外へ逃げようとする力を制御できている。軸がブレにくいため、両サイドへの制球もつけやすい。足の甲で地面を捉え、浮き上がろうとする力を抑えている。ただし、膝が地面に着きそうなほど重心を沈めすぎると、逆に抑制が効かなくなる恐れがある。「球持ち」は比較的前で放せており、指先の感覚も良好だ。 <故障のリスク>(評価:☆☆☆★ 3.5) お尻の落とし方に課題はあるものの、カーブやフォークなどの負担のかかる球種を多投しない限りは神経質になる必要はないだろう。腕の振りを見ても肩への負担は大きく見えない。多少の力投派ではあるが、力を抜くべきところでは抜けている。 <実戦的な術>(評価:☆☆☆★ 3.5) 「着地」までの粘りがあり、ボールの出所が隠せている。打者からすればピュッと出てくる感覚で差し込まれやすい。課題は腕の振りに対し、地面の蹴り上げが物足りない点。これは、重心が深く沈みすぎることで体重が後ろに残りやすいためだろう。ここが改善されれば、キレだけでなく打者の手元までの「球威」も伴ってくるはずだ。 フォームまとめ 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の4大動作のうち、重心が後ろに残る「体重移動」に課題を残す。しかし、元来の制球力や故障リスクの低さは魅力的。変化球全般のキレを生かせるフォームをしており、技術的に大きな欠陥はない。 【総評】 昨夏の時点で、既に完成度の高い投手であった。全国制覇と日本代表を経験し、高校野球における目標を見失いかねない状況で、どこまで成長できるかが焦点だった。 この選抜では大きな変化こそなかったが、細部の追求を止めておらず、気持ちが切れた様子は一切ない。現時点でも上位指名候補の一人だが、今後のさらなる成長を証明できれば、ドラフト1位の12名に食い込んでくる可能性を十分に秘めている。 蔵の評価:☆☆☆(上位指名級) (2026年 選抜大会) |
| 末吉 良丞(沖縄尚学2年)投手 175/89 左/左 | |||||||||||
2年夏の時点で、一学年上の世代も含めて高校生の中では屈指の力量を持っていた 末吉 良丞 。懸念点を挙げれば、その力量以上に疲労の蓄積と、2年夏で全国制覇を成し遂げてしまったことによるモチベーションの部分ではないだろうか。 (投球内容) ガッチリとした中背のサウスポーで、2年夏の甲子園では6試合に登板し、全国制覇に大きく貢献した。休む間もなくU-18日本代表として国際大会でも3試合に先発。さらに秋季大会では沖縄大会で4試合、九州大会でも登板を重ねている。そんな彼が、2年春の選抜と夏の甲子園で残した通算成績は以下の通りである。
※WHIP(1イニングあたり許した走者数=(被安打+四死球)÷投球回数)は1.12と優秀な水準で、出した走者を最小限に抑えていることを示す。 ※K/BB(奪三振数÷四死球数)は2.72と高校生左腕としては上位クラスで、三振を奪う能力に対して制球の乱れが少ない支配力を表している。 ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 ☆☆☆★ 3.5 適度な勢いと球威を兼ね備えた球質で、打者の空振りも誘える。それほどゾーン内での細かい投げ分けは見られないが、現状は球の勢いが勝っている印象だ。特に要所で良いところにしっかり投げ込めるのは「天性の投手」と感じさせる。 横変化 スライダー ☆☆☆★ 3.5 横の変化量が多く、それでいて少し沈むスライダーに威力がある。カウントを整えるだけでなく、左打者からは空振りも奪える。特にストレートとの見極めがつきにくい。ただし、時々高めに浮くことがあるので、今後いかに精度を高めていけるかが鍵だろう。 縦変化 スプリット ☆☆☆★ 3.5 高速で少しシュート回転しながら抜けて沈む球で、ツーシームかと思ったらスプリットだった。この球は落差というより、ストレートとの球速差・見極めの難しさと、右打者外角低めへの決まりの良さが特徴である。 緩急 カーブ ☆☆☆ 3.0 スライダーやスプリットが130キロ台と高速なのに対し、こちらは110キロ前後と遅く、明確な球速差がアクセントになっている。それほど多投はしないが、こうした緩い球でカウントを整えられるのは強みだ。 その他 ☆☆☆★ 3.5 クイックは1.05秒前後と基準以上。チェックした試合では牽制は確認できなかったが、ランナーを背負うとボールを長く持つなど、走者としてはスタートを切りづらい工夫が見られる。フィールディングやベースカバーの動きも良く、投球以外の部分もすでに高いレベルにある。 (投球のまとめ) それほど細かい制球力はないが、要所でズバッと決められる爽快感がある。WHIP1.12・K/BB2.72というセイバーメトリクス的な指標も高校生としては優秀で、走者を出しにくい支配力の高さが数字にも表れている。投手としてはすでにかなり高いレベルに到達しているため、むしろ今後の伸び代がどこまで残されているのかが気になる。2年夏の時点で高校野球の頂点を極めてしまっただけに、どこまでモチベーションを維持・向上させていけるかも注目点だ。 (投球フォーム) セットポジションから足を引き上げる動作は静かで、あまり高く上げない。この静かな入りから、先発タイプの投手であることがうかがえる。気になるのは、軸足の膝から上がピンと伸びすぎて力みが見られる点だ。バランスも「トの字」になりがちで、力みを助長したり、体が突っ込みやすくなる傾向が強い。特にこの選手は突っ込みが顕著なので、余計に気になる。 <広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0 お尻は適度に三塁側(左投手の場合)に落とせており、体を捻り出すスペースを確保できている。カーブやフォークのような大きく捻り出す変化球にも無理なく対応できそうだ。「着地」までの地面の捉えも早すぎず、捻り出す時間をしっかり取れている。現在は変化の小さな高速球を主体にしているが、フォーム的には大きく曲がる変化球も期待できる。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱えられており、遠心力を抑えているため両サイドへのコントロールはつけやすそうに見える。足の甲でも地面をしっかり捉えており、ボールの浮き上がりも抑えられている印象だ。「球持ち」も悪くないが、高めに抜けることもある。現在はリリースの再現性がやや低く、バラつきが出ているのかもしれない。ただし、フォームの土台自体はしっかりしている。 <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻が落とせているため、カーブやフォークを投げても肘への負担は大きくなりにくい。ただし、テイクバックで肩が背中ラインより後ろに入り込んだり、グラブ側の肩が下がりがちで投球側の肩が上がりがちな点は、肩への負担が懸念される。力投派というほどではないが、力んだ投球も見られるため、疲労が溜まりやすい体質かもしれない。現状はフォームをいじるほどではないのかもしれないが、体のケアには注意して欲しい。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りもあり、ボールの出所も隠せていて合わせづらい。一方で、腕の振りに比べて体への絡みが少なく、踏み込んだ足が体重移動をブロックしている印象もある。投げ終わりのバランス崩れも見られるため、ステップ幅や下半身の筋力にはまだ課題が残る。 (フォームのまとめ) フォームの4大要素(着地・球持ち・開き・体重移動)のうち、「体重移動」に課題を感じる。制球を司る部分に大きな問題はないが、故障リスクでは肩への負担がやや気になる。将来的には良い変化球を習得し、投球の幅を広げられる可能性を秘めている。全体としては課題もあるが、決して悪いフォームではない。 (最後に) 2年生の時点でこれ以上のレベルを求めるのは酷なほど高いパフォーマンスを見せている。あとは素材としての伸び代、疲労の蓄積、モチベーションの維持で、下級生時と同等のパフォーマンスを続けられるかが鍵だ。特に痛みが出て思い通りの投球ができなくなるリスクは無視できない。個人的には、下級生の時にやや使いすぎた印象があり、それが懸念材料である。ただし、それを差し引いても有力な1位指名候補と言える。2年生の時点では、宮城 大弥(興南-オリックス)より、ワンランク上の内容を示している。 (2025年秋 九州大会) |