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渡部 海(青山学院大3年)捕手 180/88 右/右 (智弁和歌山出身) 
 




 「繊細な捕手ではない」





 高校・大学で日本一に貢献し、下級生の頃から全日本の正捕手を務めてきた 渡部 海。確かに総合力の高い捕手ではあるのだが、プレーの端々に丁寧さや繊細さが宿るタイプではないように見受けられる。


【ディフェンス面】

 重心を低く落とし、投手に低めを意識させる構えが特徴。投手への返球も座ったまま即座に返し、投球テンポを速めるスタイルだ。キャッチングそのものは及第点だが、コースから外れるボールに対して
腕だけで捕りに行く傾向が少なくない。返球の動作も含め、全体的にプレーの丁寧さには欠ける印象だ。

 それでも、投手と対話し、相槌を打ちながらピッチングを組み立てていく。異変を感じれば素早くタイムを取ってマウンドへ駆け寄るなど、投手との関係性を重視している点は高く評価できる。一方で、
打者を注視している様子はあまり見られず、相手の細かな変化をどこまで察知しているかは疑問が残る。しかし、それでも打者の裏をかいて仕留めるケースが多く、天性のリードセンスで抑え込んでいるのかもしれない。

 ミットを上から被せるように掴みに行く癖はあるが、ワンバウンドへの反応は速く、下からミットを出すことができている。スローイングは地肩の強さこそ圧倒的ではないが、持ち替えが素早く1.8秒台中盤で到達する送球も極めて安定している。走者の滑り込む位置に正確に投じる、
実戦的なスローイングの持ち主だ。

 個人的な好みは分かれるタイプだが、総合力は非常に高い。ここ
10年の大学生捕手の中でも屈指の大物と言えるだろう。守備面は間違いなくプロで通用する「A級の素材」だ。獲得した球団は、彼を次代の正捕手として育てる宿命を背負うことになるのではないだろうか。





【打撃内容】

 常勝軍団・青山学院大で中軸を担うなど、攻守の柱としてチームを支える。
パンチ力と勝負強さが魅力の打者だ。

 ここまでの成績をセイバーメトリクスの観点で見ると、打者の真の得点創出能力を示すOPS(出塁率+長打率)は.734。強打の捕手として十分な合格ラインにある。特筆すべきは長打から打率を引いた純粋なパワーを示す指標IsoPが.170という点だ。一般的に.150を超えると中長距離打者とされるため、4番としてのパンチ力は数字でも裏付けられている。また、
選球眼の良さを示すBB/K(四球÷三振)は0.65と、大学球界のパワーヒッターとしては崩れにくく、安定したアプローチを維持できていると言える。

 打率 打数 安打 本塁打 打点 三振 四死球 出塁率 長打力
 .247 235 58 8 32 37 24 .317 .417


<構え> 3.0 ☆☆☆

 右打席で少し前足を弾き、踵を浮かせてグリップを低めに置く。腰の据わりや両目で見据える姿勢は良いが、全体のバランスは標準的。
少し柔軟性に欠ける印象を構えからも受ける。

<仕掛け>
平均

  投手の重心が沈みきったあたりで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の長打力と確実性を兼ね備えたポイントゲッターに多く見られるタイミングだ。

<足の運び> 3.5 ☆☆☆★ 

 足を大きく引き上げ、ベース側に踏み込むインステップ。始動から着地までの「間」がソコソコ取れているため、緩急への対応力もそれなりにある。インステップすることからも、外角球を強く意識したタイプだろう。踏み込んだ足を地面にめり込ませ我慢できているため、逃げる球や低めにも食らいつき、
右方向へもきっちり打ち返せている

<リストワーク> 3.0
☆☆☆

 トップを早めに作れており、速球に遅れる心配はない。ただ、最初からトップに近い位置に手を置いている分、やや力みがあり、リストの柔軟性は物足りない。バットを上から振り下ろすためインパクトまでロスは少ないが、面で捉えるよりはボールの下を叩いて角度をつけるスイングだ。
確実性より破壊力を重視しており、縦の変化球への対応には課題を感じる。

<軸> 3.5 ☆☆☆★

 激しい足の上げ下げの割に目線の上下動は少ない。体の開きも我慢できているが、軸足が前に傾きがちなため、突っ込みすぎには注意したい。軸足の内腿は強く、強烈な打球を生み出す源泉となっている。

【打撃まとめ】

 スイングの確実性自体はそれほど高く見えないが、
勝負どころで結果を残す精神的な強さがある。プロで中軸を打つタイプというよりは、下位打線で捕手らしい意外性のある一発を放つタイプだろう。それでも、指標が示す通り、捕手に求められる打撃水準は十分に満たしている。


【総評】

 守備に関しては即戦力に近いA級の素材。捕手補強を急務とする球団が上位指名すべき選手だ。彼を獲得できた球団は、将来の正捕手候補を手に入れたと確信して良いはずだ。


(2025年秋 神宮大会)