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吉川 凌平(千葉商科大3年)投手 186/69 右/右 (習志野出身) 





 「真っ直ぐで空振りが奪える」





 吉川 凌平 の最大の魅力は、キレのある速球で空振りが奪える点にある。 大学入学後の2年間は千葉県リーグの二部に在籍。3年時から一部リーグデビューを果たすと、いきなりリーグ上位の成績を残した。その活躍が評価され、大学日本代表候補の松山合宿にも招集されている。


(投球内容)

 3年春のリーグ戦では、防御率1.55(リーグ3位)を記録。秋も1.60で2位に輝くなど、安定感は抜群だ。高校・大学を通じて全国大会への出場経験はないが、まさに「知る人ぞ知る」実力派といえる。

【セイバーメトリクス補足】

WHIP
1.02):1イニングあたりに出した走者の数。1.10以下はエース級とされ、安定感は抜群

K/BB
2.19):奪三振と与四球の比率。3.5を超えると優秀とされるが、2点台はまだ制球に改善の余地あり。

K9
6.70):9イニング換算の奪三振数。驚異的な数字ではないが、打たせて取る能力も高いことを示す。

BB9
3.05):9イニングあたりの与四球数。大崩れはしないが、プロ基準ではもう少し下げたい。


投球回数
被安打
四死球 奪三振 防御率 K/BB WHIP K9 BB9
91回1/3 62 31 68 1.58 2.19 1.02 6.70 3.05


ストレート:145キロ前後(最速151キロ)☆☆☆★ (3.5)

 
高めの速球で空振りを誘う場面が目立つ。コントロールにはアバウトな面もあるが、甘い球でも押し切れるボールの勢いがある。ただし、全国レベルの打線が相手だと痛打される危険性も孕んでいる。

横変化(スライダー):
☆☆☆ (3.0)

 横滑りするスライダーでカウントを整える。空振りを奪うほどの威力はないが、直球が荒れる分、計算できる変化球として重宝しそうだ。


縦変化(フォーク):☆☆★ (2.5)

 落差のあるフォークというより、スプリットのように高速で小さく沈む。現状、精度やキレに特筆すべきものはないが、的を絞らせないアクセントとして機能している。

(投球のまとめ)

 速球の質や勢いは素晴らしいが、変化球の精度やコントロールには課題が残る。最終学年でこれらをいかに改善できるかが、ドラフト指名の鍵を握るだろう。現時点では「指名確実」というより、動向を注視すべき「候補の一人」という印象だ。





(投球フォーム)

 ワインドアップから振りかぶり、足を上げる勢いや高さは標準的。軸足で立った際に膝が伸び切らず、リラックスできている点は評価できる。

<広がる可能性> ☆☆☆★ (3.5)

 ヒップファーストで体を捻り出すスペースを作れている。スリークォーター気味の腕の振りのため、縦の変化は出しにくい構造だが、フォーム自体は大きな変化球の習得も期待させる。


<ボールの支配> ☆☆☆ (3.0)

 グラブの抱えは良いが、顔が外を向き、腕が遠回りして「ブン」と振る形になるため、制球にムラが出やすい。また、足の甲が地面から早く離れる傾向があり、
ボールが高めに浮きやすい

<故障のリスク> ☆☆☆★ (3.5)

 体の使い方は無理がないが、腕の外旋(外側に振られる動き)による肩への負担が懸念される。


<実戦的な術> ☆☆☆★ (3.5)

 「着地」までの粘りがあり、出所が見えにくい。打者は差し込まれやすいはずだ。球威で押すというより、振りの鋭さでキレを生み出すタイプといえる。

(フォームのまとめ)

 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の4大動作のうち、特に「球持ち」と「体重移動」に改善の余地がある。将来性のあるフォームだが、現状は肘の低さがその良さを打ち消している印象も受ける。 とはいえ、肘を上げれば解決するほど単純ではない。本人の投げやすさや特徴を活かすなら、将来的にサイドスロー付近まで下げる選択肢も考えられる体の使い方だ。

(最後に)

 現在のWHIP(1.02)などの指標は優秀だが、上のレベルで通用するには、
変化球の精度とK/BBの向上が不可欠。今の個性を伸ばせる指導者や環境に出会えるかが、ドラフト指名、そしてその後の成否を分けるだろう。最終学年でどのような進化を見せるのか、静かに見守っていきたい。


(2025年 松山合宿にて)