25sp-1
| 飯田 琉斗(26歳・ENEOS)投手 187/100 右/右 (向上-横浜商科大出身) | |||||||||||
雪がチラつく極寒のスポニチ大会では、150km/h級の破格のストレートを投げ込んでいた 飯田 琉斗 。しかし、気温が上がった都市対抗予選では、むしろ春先よりもボールの威力・キレが落ちているように見えた。 (投球内容) K/9=12.21(9イニング換算の奪三振数)、BB/9=1.93(同四球数)、K/BB=6.33(奪三振÷四球)と、三振奪取能力は社会人トップクラス。一方で被安打が極端に少ないため FIP(守備に左右されない投手の能力を示す指標)は 0.55 前後と、見た目の防御率以上に「本物」の内容だったと言える。 しかし、都市対抗予選後の神奈川交流戦では登板していたが、その後の日本選手権予選などには登板機会がなくシーズンを終えた。何らかの故障・コンディション不良を抱えていた可能性も否定できない。 2025年度の登板成績は以下の通り。
ストレート 140~150km/h ☆☆☆☆(4.0) スポニチ大会で見せた「真っ直ぐの力でねじ伏せる」圧倒的な迫力に比べると、都市対抗予選では明らかに物足りなさを感じた。対戦打者が1人だけだったため詳細は掴みきれなかったが、コントロールが乱れている印象はなかった。それでも暖かくなれば150km/h中盤は出るはずだと期待していただけに、正直拍子抜けだった。 縦変化(フォーク) ☆☆☆★(3.5) スポニチ大会・都市対抗予選ともに、ストレートとのコンビネーションは縦に沈む変化球。ストンと空振り奪取するほどの落差はないが、球速のあるスプリット寄りの小さく沈む動きで、ゴロを量産できる確率の高さは確かにある。 その他 ☆☆☆ 3.0 クイックは1.0~1.1秒台と基準以上。だが走者への警戒心・目配せはまだ不足気味。牽制やフィールディングは確認できず、駆け引きや投球術といった細かい部分は、現時点では感じられなかった。 (投球のまとめ) スポニチ大会で見せたストレートのインパクトが薄れたのが最大の懸念点。元々制球力や投球術で勝負するタイプではなく、あくまで「150km/h級のストレート+沈む球」で抑えるパワーピッチャー。そのストレートの勢いが落ちた原因(故障?調整不足?)がはっきりしないだけに、評価が難しい選手となった。 (投球フォーム) セットポジションから足の上げは並の勢い・高さ。軸足一本で立ったときは膝から上がピンと伸びきる傾向があり、やや力みが見られる。 <広がる可能性> ☆☆★(2.5) 上げた足を地面に向かって伸ばすため、お尻の落としが甘くなりがち。よって体の捻り出すスペースが不足し、カーブなどの「大きな曲がり」の変化球は出しづらい。「着地」までの粘りも少なく、変化球の幅は球速のある小さい変化に限られるだろう。 <ボールの支配> ☆☆☆(3.0) グラブは最後まで内に抱えており、遠心力は抑えられているため両サイドへのコントロールはつけやすい。ただ足の甲での押し込みが浮きがちで、ボールが高めに集まりやすい傾向は残る。球持ちは比較的前で放せるようになっており、抜け球は減った印象。ただ根本的な指先感覚は、そこまで優れているタイプではない。 <故障リスク> ☆☆☆(3.0) お尻の落としが甘い割に縦の変化球を多投するため、肘への負担は気になる。肩への負担は比較的少ない振りだが、力感の強い投げ方だけに疲労蓄積には注意が必要。 <実戦的な術> ☆☆☆★(3.5) 着地の粘りが少なく、ボールの出どころもやや早め。球威の割にタイミングを合わせられやすい傾向がある。開きも早めで打者からは見極められやすく、縦の変化球に手を出してもらえないのが気になる。 (フォームのまとめ) 4大要素(着地・捻り・開き・体重移動)のうち「開き」が早いことが最大の課題。高めへのバラつきと、縦変化多投による肘の負担が懸念材料。社会人4年目・26歳という年齢を考えれば、劇的なフォーム改造は期待薄。今ある能力で、評価すべき選手なのだろう。 (最後に) スポニチ大会のインパクトだけで「指名もあり得る」と感じさせた。しかし、日本選手権予選ではベンチ外になり登板がないこと、そして暖かくなった時期でもボールにキレが戻らなかったことは大きな不安材料。 コンディションさえ整えば 即戦力リリーフ として非常に面白い存在だが、状態面の不安がどうしても拭えない。それでもスポニチ大会の強烈な印象+セイバー指標でも裏付けられる三振奪取能力を重視し、個人的には ☆(本会議級) と評価したい。 蔵の最終評価:☆(下位指名級) (2025年 都市対抗予選) |
| 飯田 琉斗(26歳・ENEOS)投手 187/100 右/右 (向上-横浜商科大出身) | |
昨秋の日本選手権の時に、大阪ドームのスピードガンで記録した 飯田 琉斗 のスプリット。ストレートは150キロ台中盤を記録していたのにも驚かされたが、それ以上の衝撃がこれだった。先日のスポニチ大会でも、久々にバックネット裏から観戦。確かに、ボールの勢い・威力は破格だった。 ストレート 140キロ台後半~150キロ強 ☆☆☆☆★ 4.5 雪もチラつく天気だったが、常時140キロ台後半~150キロの速球の球速・威力は、破格のものがあった。当然、もう少し暖かくなれば、150キロ台中盤を、大阪ドーム以外でも記録するだろう。それほど細かい制球力があるわけではないが、ストライクゾーンの枠の中に集めるのには苦労しない。短いイニングであれば、プロの一軍打者でも容易に捉えるのは難しいのではないのだろうか。 変化球 スプリットやカットボールなど ☆☆☆★ 3.5 ストンを落ちるというよりも、ちょっと曲がりの鈍い沈む球とのコンビネーションで、投球を組み立ててきます。確かに落差はそれほどでもないのですが、真っ直ぐとの球速差が少ないこと。そして、かなりの確率で落とせることは素直に評価できます。さらに、スライダーだかカット系の球も、たまに交えてきます。 その他 クイックは、1.0~1.1秒ぐらいとそれなり。牽制は確認できませんでしたが、走者への目配せ注意力というのはそれほどでもありません。ただし、スポニチ大会で観たときには、走者は出さなかったので、このへんの技術が成長しているかまでは確認できませんでした。特に、ボールをじっくり持つとか、投げるタイミングを変えるとか、そういった細かい投球術は観られませんでした。 (投球のまとめ) 理屈抜きに、速い球と縦の変化とのコンビネーションです。ただし、真っ直ぐの球速・威力は破格であり、縦の変化もかなりの確率では沈むので効果的です。そういった意味では、大卒4年目ですが、即戦力のリリーフ候補が欲しい球団には面白い人材ではないのでしょうか。 (成績から考える) 24年度の成績から、この投手の傾向について考えて行きたいと思います。24年度の公式戦の成績は、17回2/3 13安 4四死 22三 防 2.55。ただし、失点したのは1試合で5失点した試合があり、残りの13試合では失点を許していません。 1,被安打は投球回数の80%以下 ◯ 17回2/3イニングで、被安打は13本。被安打率は、73.6% となっており、基準を満たしている。圧倒的ではないが、粗さのある投手であることを考えれば、悪い数字ではないだろう。 2,四死球は投球回数の1/3以下 ◎ 四死球は4個で、四死球率は 22.7% と低い。アバウトな制球力の持ち主だと思うが、四死球で自滅するような、そういった危うさはない。課題は、ゾーン内での制球だろう。それでも、これだけの球威や球速があれば、そこまで気にする必要もなさそうだ。 3,三振は、1イニングあたり 0.9個以上 ◎ 1イニングあたりの奪三振は、投球回数を上回り 1.25個。それほど、フォークで空振りが奪えるイメージはないものの、破格のボールの勢いと、そこからの変化球で三振が奪えている。 4,防御率は1点台が望ましい △ 上記でも記した通り、失点したのは長野大会での王子戦のみ。そのため、数字ほど悪い印象はない。ただし、崩れだすと止まらない、そういった部分があったからこそ、短いイニングで5失点もしてしまったのかもしれない。 (成績からわかること) 数字の上からも、けして素材型といったタイプではないことがわかる。これだけの内容を示していたのに、何故指名は回避されたのだろうか? 社会人4年目ではあるが、まだまだ若々しい選手だけに、今年のアピール次第では十分に指名が実現しそうな投手ではある。 (最後に) 都市対抗でのアピールが無かったのも痛かったのかもしれないが、今年は大事なところを任されて、その中で結果を残すことが求められる。スポニチ大会での投球を見る限り、それも十分可能ではないかと思えた。今後の試合も、要注視して見守りたい。 蔵の評価:追跡級! (2025年 東京スポニチ大会) |