25ky-8
| 大栄 利哉(学法石川3年)捕手 178/85 右/左 | |||||||||||||||||||
打撃に光るものがあり、地肩の強さは目を引くものがある 大栄 利哉 。しかし、プロで捕手を「続けられるか」という点には大きな疑問が残る捕手だった。 (ディフェンス面) 常に周囲に指示を出し、投手に対しては「俺について来い!」という強気のリードを見せる。ミットを明確に示しながら座ったまま返球し、ワンバウンド処理や打球反応も悪くはない。際どいコースへのフレーミングにも一定の研究の跡は感じられた。ただし、昨年から指摘している「上から掴みにいく」キャッチングの癖は十分には改善されておらず、コースを外れた球への捕球もまだ荒っぽい。 何よりU-18代表ではどこかを痛めていたのか? 投手への返球すらままならず早期交代を余儀なくされており、状態面でも不安が残った(夏の大会までは問題なかったが)。送球タイムは1.8秒台中盤~2.0秒前後。地肩自体はプロでも上位クラスだが、捕球してから投げるまでの動作が遅く、型が固まっていないため精度にバラつきが目立つ。スローイングの精度はプロ入り後に十分修正可能な範囲だが、捕手としては攻撃的性格が強く、洞察力や繊細さに欠ける印象。長くプロの捕手を担うイメージは正直持ちにくい。 (打撃内容) U-18選考会でのフリーバッティングでは目立っていたとの話も聞く。イメージ的には、オーバーフェンスを量産する典型的な長距離砲というより、広角に打ち分ける対応力に優れた強打者タイプ。1年秋からの公式戦通算成績は以下の通り。 参考セイバー指標(補足) ・出塁率(OBP):.474 ← 四死球が多いため非常に高い ・長打率(SLG):.566 ← 二塁打・三塁打が多く、長打力は広角型 ・OPS(出塁率+長打率):1.040 ← 高校生としては破格の数字 ・IsoP(純粋長打率=長打率-打率):.194 ← パワー自体は並上位程度 ・BB/K(四球÷三振):5.00 ← 驚異的な選球眼とコンタクト能力
<構え> ☆☆☆★(3.5) 左打席で前足をやや引いてグリップを高めに構える強打者スタイル。腰を深く落とし、両目でしっかり前を見据えるため球筋の錯覚は少ない。昨年からほぼ変わらず。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった底付近で動き出す「平均的な仕掛け」。確実性と長打力を両立させる中距離打者やポイントゲッターに多く見られる始動で、これも昨年から変化なし。 <足の運び> ☆☆☆★(3.5) 軽く足を上げてややインステップ気味に着地。始動~着地までの「間」はそこそこあり、速球・変化球への対応力は高い。踏み込んだ足はブレずに我慢でき、低めや逃げる球にもしっかり食らいつける。レフト方向への長打も苦にしない。 <リストワーク> ☆☆☆★(3.5) トップの形は自然で力みがない。ヘッドがやや寝る癖はあるものの致命的ではなく、どちらかと言えば「角度より広さ」を重視するインパクトでフェアゾーンに飛びやすい打球が特徴。 <軸> ☆☆☆★(3.5) 頭の動きは静かで体の開きも我慢できている。ステップがやや狭く軸足が持て余し気味なのは気になるが、粘っこさでカバーはできている。内角の窮屈さを解消するために意図的にステップを狭くしている可能性もある。 (打撃のまとめ) スイングの形は昨年からほぼ変わっていない。体に力はあるが、長打を量産するというよりは対応力重視のスイング。しかし数字を見ると、三振が極端に少なく(BB/K=5.00)、出塁率が.474と非常に高いため、OPSは1.040に達する。高校生捕手としてこの数字は異例で、打撃だけで見れば超高校級の評価も可能だ。 (最後に) 守備面では下級生時代ほど雑な印象は薄れたものの、捕手として長くやっていけるかの本質的な疑問は拭えなかった。数年は捕手で起用されるだろうが、最終的には打力が勝ってコンバートされる可能性が高い。楽天で言えば 岡島 豪郎 のようなキャリアを辿る選手ではないか。 セイバー的にも高校通算OPS1.040+三振の異常に少ないコンタクト能力は魅力で、仮に捕手失格となった場合でも打者としてのポテンシャルは支配下級と見ている。しかし、野手として見たときも、左打席から 4.2秒前後(基準は4.1秒)の脚力は平凡であることや、強打者でも、けして長打力が全面に出たタイプではないことは気になる材料。 また捕手としての将来性に懐疑的なため、総合評価は☆(支配下級)とまでは至らなかった。ただし、攻撃的な性格と打撃センスは魅力で、打者転向となった場合の伸びしろに期待してみたい。 (2025年 福島大会) |
| 大栄 利哉(学法石川2年)捕手 176/81 右/左 | |
2025年度の高校生捕手は、今のところ目立つ選手があまり多くない。そんな中、個人的に最も注目しているのが、この 大栄 利哉 だ。
(ディフェンス面) 結構「俺について来い」といった堂々としたプレースタイルの選手だ。適度に周りや投手に指示を出しながら、ゲームを組み立てていくタイプ。ミットを下げないスタイルで、ワンバウンドするような球にも反応やミットの出し方は素早い。初めて見たときは、上から捕りにいくような捕球の仕方が少し気になったが改善されつつある。体格の割にフットワークの軽さはあまり感じられないが、普段のグラブさばきは悪くない。どちらかと言うと「打てる捕手」の色彩が強い選手だが、二塁まで1.8秒台後半で到達する肩も決して悪くなく、上のレベルでも捕手を続けていける可能性を感じさせてくれる。
(打撃内容)
夏の大会以降のすべての公式戦でヒットを記録している。「打てる捕手」ではあるものの、長打で魅了するタイプというよりは、勝負強さを武器にした中距離・ポイントゲッタータイプに感じる。その分、脆さはあまり感じない。
<構え> ☆☆☆ 3.0
左打席で前の足をしっかり引いてグリップを高めに構えている。腰を深く沈め、両目で前を見据える姿勢はまずまずだが、バランスは平均程度か。
<仕掛け> 平均
投手の重心が沈み込んだタイミングで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。このタイミングは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターによく見られる始動の特徴だ。
<足の運び> ☆☆☆★ 3.5
足を引き上げ、ベース側にインステップして踏み込んでくる。始動から着地までの「間」はそこそこあり、速球にも変化球にもスピードの変化にそれなりに適応できる。インステップする分、外角への意識が強い印象だ。
踏み込んだ前足は、インパクト時にブレずに我慢できている。そのため、逃げていく球や低めの球にも食らいつける。実際、レフト方向へは苦にせず飛ばせていた。
<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0
打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、速い球に遅れる心配はなさそう。バットの振り出しも外角の球に対してロスなくインパクトできている。バットのヘッドを上手く残しつつ振り抜けており、ボールとバットの接地面が広く、フェアゾーンに飛びやすい捉え方だった。
<軸> ☆☆☆★ 3.5
足の上げ下げは平均的だが、目線の上下動は小さい。そのため錯覚を起こしにくく、球筋をしっかり追えている。体の開きも我慢できており、軸足にも適度な粘りがある。ただ、インステップの影響か、足元が少し窮屈に見えた。そのため、内角のさばきがどうか、最終学年でのチェックポイントになりそうだ。
(打撃のまとめ)
強打者としての対応力が高く、力強さも兼ね備えている。ホームランを量産する長距離ヒッターではないものの、技術的にも能力的にも打撃では目立つ存在だ。
(最後に)
上のレベルでも捕手を続けられる素材かどうかが、高校からプロ入りへの鍵を握りそうだ。打撃に関しては旧チームから4番に座り、一学年上の投手達相手にもしっかり結果を残してきた選手。雰囲気的には高校からプロになれそうなものがあり、あとは捕手としての適性(性格)も含めて問題がなければ、数少ない高校からプロ入りを狙える存在になれるだろう。
(2024年夏 福島大会)
|