25ky-10





入山 唯斗(二松学舎大付3年)遊撃 170/68 右/右 





「送球に課題が」





 俊足・好打の右打ち遊撃手として注目された 入山 唯斗 。しかし、選抜大会でのプレーを見ると、プロ入りへの最大の課題は送球にあるのではないかと思われた。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの到達タイムは、右打席から約4.35秒前後。これを左打者に換算すると約4.1秒前後に相当し、ドラフト指名選手としては平均的なタイムと言える。多少力を抜いて走っていたことを考慮すれば、さらに速いタイムを記録できたとしても不思議ではない。新チーム結成後の41試合で17盗塁を記録しており、プロで足を売りにするほどかは微妙なものの、ドラフト候補としては 中の上 程度の脚力があると評価して良いだろう。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 小回りが利き、
フットワークも軽快で動きはスムーズに見えた。ただ気になるのは、送球の弱さと精度だ。二戦目の花巻東戦では、フライをエラーしたり、二塁への送球が逸れたりとミスが目立った。将来的に遊撃手としてやっていけるのか? あるいはこの送球の課題を改善できるのかが、重要なポイントとなるだろう。





(打撃内容)


 センバツ初戦の柳ヶ浦戦では、レフトオーバーのタイムリーを放つなど、適度なパンチ力を見せ、
ボールを捉えるセンスや見極める目の良さも感じさせた。


<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 右打席から、前の足を少しベース側に置いているものの、ほぼスクエアスタンスと見て良さそうだ。グリップの高さは平均的で、腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスもそれなりと言える構えになっている。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下がるタイミングで、ベース側につま先立ちしてくる。本格的に動き出すのは投手がリリースを迎える直前という「遅すぎる仕掛け」を採用している。このタイミングでの始動では、木製バットを持ってプロレベルの球に対応する際に時間的余裕を作るのは難しい。

 そのため、日本人離れしたヘッドスピードや筋力を持つ選手でない限り、扱うのはなかなか難しそうだ。タイプ的には最初の動き出しで決まるため、
中距離・ポイントゲッター的な色彩が強そうな打者に見える。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 小さくステップして真っ直ぐ踏み出してくる。始動から着地までの「間」はないため、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さないことが求められる。真っ直ぐ踏み出すスタイルから、内角でも外角でもさばきたいタイプなのだろう。
 

 それでも踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にブレずに止まっている。ただし、腰が早く開くタイプなので、甘めの外角球や低めの球には対応できそうだが、打てるポイントは限られている印象を受ける。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力まずにボールを呼び込めている。腰が開くため、インパクトまで
スイングがやや遠回りになり、ロスを感じさせる。それでもインパクトの際にバットの先端であるヘッドが下がっていないため、しっかり捉えられればボールはフェアゾーンに飛びやすそうだ。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが小さいので、
目線の上下動は少なめだ。そのため、錯覚を起こさずに球筋を追えている。また、腰は早く開くものの足元が動かずに我慢できているため、開きはある程度で止まっている。軸足を少し後ろにずらすことでスペースを確保しようとしており、ステップの幅なども考慮して、上半身と下半身のバランスが取れたスイングを身につけたいところだ。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉えるセンスやボールを見極める「眼」に優れたものがあるため、メカニズム的な部分が改善されれば、さらに能力を活かしたパフォーマンスが期待できそうだ。現時点では
打てるポイントが限られている印象を受けるが、資質自体は悪くない。こうした課題を克服できれば、打撃で存在感を発揮する内野手になれるだろう。

(最後に)

 夏まで追跡して見ていきたい選手だが、送球などの課題を改善しない限り、高校からのドラフト指名は厳しいかもしれない。その部分を短期間で向上させられるのか、夏まで見届けたい。
貴重な右打ちの遊撃手候補だけに、内容次第ではプロ側の評価も大きく変わってくるだろう。


蔵の評価:
追跡級!


(2025年 センバツ大会)