25kp-24


 




江藤 蓮(未来富山3年)投手 180/84 左/左 





 「球速以上に感じられる」





 江藤 蓮の2025年夏の富山大会および甲子園での投球は、ボールの勢いと三振奪取力に強みがある一方、制球力に課題が見られる。以下に成績を整理し、セイバーメトリクス指標(WHIP、K/9)を用いて簡潔に補足する。

投球成績(表形式)


項目
投球回数
35 1/3
被安打
37
奪三振
43
四死球
17
失点
17
防御率 (ERA)
4.10
WHIP
1.53
K/9(9回あたり奪三振)
10.95

セイバーメトリクス補足

WHIP (1.53)

 1イニングあたりの安打+四死球(WHIP)は1.53で、高校レベルではやや高め(理想は1.20以下)。高めに浮くボールが被安打(37)や四死球(17)に繋がり、
走者を出しやすい傾向が課題。

K/9 (10.95)

 9回あたり
奪三振数は10.95と優秀で、高校トップレベル(目安10前後)。ストレートの勢いやチェンジアップの沈む軌道が空振りを誘えている。

K/BB (2.53)

 三振と四死球の比率は2.53で、まずまずの値(高校レベルで2.00以上が合格点)。三振奪取力は高いが、四死球の多さが制球力の課題を反映。

投球内容



ストレート
(☆☆☆★ 3.5)

 130キロ台後半~最速144キロのストレートは、K/9(10.95)の高さに貢献。打者の手元での勢いが強みだが、甲子園の高川学園戦(5回1/3、11安打、7失点)では高めの失投が打たれた。

横変化(スライダー、
☆☆☆ 3.0

 曲がりながら沈むスライダーは精度が不安定。低めへのコントロールが向上すれば、WHIP(1.53)改善に繋がる。

縦変化(チェンジアップ/フォーク、
☆☆☆★ 3.5

 低めからボールゾーンに沈む球種で、三振奪取に寄与。K/9の高さはこの球種の効果が大きい。

緩急(カーブ、
☆☆☆★ 3.5

 4つの球速帯(カーブ100キロ台、チェンジアップ120キロ前後、スライダー120キロ台後半、ストレート140キロ前後)を使い分け、打者のタイミングをずらす。投げるリズムの単調さが課題。

その他(
☆☆☆ 3.0

 クイック(1.2秒前後)やフィールディングは標準的。走者への牽制やボールを長く持つなどの工夫が不足し、WHIP上昇の一因。





フォーム分析

広がる可能性(
☆☆★ 2.5

 お尻がバッテリーライン上に残りがちで、体を捻り出すスペースが不足。大きな変化球より、球速のある小さな変化を中心に投球を組み立てるスタイルが適する。WHIP(1.53)の高さは、このフォームの制約が影響。

ボールの支配(
☆☆☆ 3.0

 グラブを内に抱え軸はブレにくいが、足の甲での地面の捉えが浅く、力むとボールが浮きやすい(WHIP 1.53に反映)。球持ちは平均的。

故障のリスク(
☆☆☆★ 3.5

 カーブやフォークを多用しないため、肘や肩への負担は少ない。K/9の高さを維持しつつ、故障リスクは低い。

実戦的な術(
☆☆☆★ 3.5

 ボールの出どころはある程度隠せ、投げミスがなければ打者に合わされやすいわけでは無さそう。K/9(10.95)はこの実戦性が反映。体重移動の強化で、ボールの勢いがさらに増す可能性がある。

フォームのまとめ

 フォームの
「着地」と「体重移動」に改善の余地がある。故障リスクは低く、制球を司る動作は平均的。武器となる変化球の習得には課題が残るが、現時点では可もなく不可もないフォームと言える。


最後に

 江藤 蓮の投球は、K/9(10.95)が示す
三振奪取力とボールの勢いが魅力。対して、WHIP(1.53)は制球力の課題を反映。富山大会では安定感を見せたが、甲子園の高川学園戦(5回1/3、11安打、7失点)で高めに集まりやすい球筋を露呈した。

 フォームの改善でエネルギー伝達を強化し、低めへの制球を磨けば、プロでの活躍が見込める。ドラフトでは4位前後と予想するが、将来的に課題を克服できれば一軍戦力として期待できる素材だ。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2025年夏 富山大会+甲子園)