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中西 浩平(豊川3年)投手 182/84 右/右 | |
一冬を越えて大きく成長した東海地区の右腕・中西 浩平 。昨夏の甲子園では最速138キロだった球速が、今春には148キロを記録し、注目度が急上昇している。春季東海大会の投球内容と成績を基に、強みと課題を分析し、ドラフト候補としての可能性を探る。 投球内容 ストレート 140キロ~最速148キロ 評価:3.5/5 セットポジションから斜め下(スリークォーター)のフォームで投げ込む速球派。立ち上がりから140キロ台中盤のストレートが捕手のミットに鋭く突き刺さり、その勢いは高校野球界でも上位クラスだ。しかし、制球はやや大まかで、球が高めに抜ける傾向がある。速球の威力に反して打者に捉えられやすく、失点につながる場面も目立つ。空振りを量産するより、内外角を突いて打者を詰まらせ、打ち取るケースが多い。 変化球 スライダー・チェンジアップ(またはフォーク) 評価:3.0/5 主に横に滑るスライダーと、縦に落ちるチェンジアップ(またはフォーク)を駆使する。縦の変化球は使用頻度が高いが、空振りを誘うキレに欠ける。ストレートの分かりやすさも相まって、打者に見極められやすい印象だ。カウントを稼ぐには有効だが、決め球としての絶対的な球種はまだない。 その他の特徴 投球動作は約1.05秒と素早く、牽制も鋭い。一方で、投球タイミングが単調なため、強打者に狙われやすい場面がある。この単調さが、失点を招く一因となっている。 成績分析 春季大会の成績は、23回1/3を投げ、17安打、16四死球、19奪三振、防御率2.70。プロスカウトが高校生投手を評価する一般的な指標(被安打率70%以下、四死球率33.3%以下、1イニングあたり奪三振0.8個以上、防御率1点台)を基に、以下の通り分析する。 被安打率:72.9%(基準:70%以下) △ 基準をわずかに超え、強豪相手では単調な投球やフォームの分かりやすさが響き、打ち返されるリスクが高い。同大会の平均被安打率(約68%)と比べてもやや高めだ。 四死球率:68.6%(基準:33.3%以下) ✕ 四死球率は高いが、桐陽高校戦(5回1四死球)では安定感を見せた。制球の大まかさは課題だが、自滅する印象は薄く、日によるバラつきがある。大会全体の平均四死球率(約30%)と比べ、改善の余地がある。 1イニングあたり奪三振:0.81個(基準:0.8個以上) ◯ 基準をわずかにクリア。速球や変化球の空振り誘発力は物足りないが、詰まらせて打ち取る能力で基準を達成。全国の強豪投手の平均(約0.9個)に比べると、やや見劣りする。 防御率:2.70(基準:1点台) ✕ 桐陽戦での5回5失点が響き、平凡な数字に。大会全体の平均防御率(約2.50)に比べてもエース級の1点台には届かず、投球内容の課題が反映されている。 総合評価 中西の最大の強みは、140キロ台後半のストレートの勢いだ。高校野球界でも上位の球威を持ち、牽制や投球動作の素早さも光る。一方で、単調な投球パターンや制球の大まかさ、決め球の不足が課題。成績面では、奪三振率が基準を満たすものの、被安打率や四死球率、防御率は強豪相手での苦戦を示唆する。現状、ボールの勢いに投球内容が追いついていない印象だ。 将来性と課題 課題克服の鍵は、フォームの改良と投球パターンの多様化にある。単調さを解消し、変化球のキレを向上させれば、強豪を抑える実戦派としての成長が期待できる。また、球速がさらに5~10キロ伸びれば、現在のスタイルでもプロの舞台で通用する可能性が高まる。夏の大会では、制球の安定感や決め球の進化を確認したい。 現時点でのドラフト評価は本会議の当落線上(下位指名級)。育成枠なら十分可能性があり、夏の活躍次第ではさらなる評価を固められるだろう。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年 春季東海大会) |