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高橋 友春(高松商3年)投手 181/85 右/左 
 




 「素材は確か」





 選抜の舞台では、わずか1アウトしか取れなかったものの、素材の良さを見せつけた 高橋 友春 。その速球の勢いには、誰もが目を奪われたのではないか。


投球内容

 
柔らかな身のこなしに加え、体の強さも感じさせるフォームだった。新チーム結成以来の19試合では、25回、17安打、6四死球、32三振、防御率0.72 といった成績を残している。

ストレート:常時145キロ前後~MAX148キロ
☆☆☆★ 3.5

 ただ球速が出ているだけでなく、
ボールの勢いや質にも優れていた。一方で、ボールのバラつきは顕著で、力んで高めに抜けることも多かった。普段は制球がそこまで悪く無さそうだが、本物のコントロールはまだ身についていないようだ。また、やや開きが早いため、球速やボールの勢いほど打者が苦にしていない印象を受けた。

変化球:スライダー
☆☆★ 2.5

 選抜での投球では、ほぼストレート中心だったが、スライダーも確認できた。この球のキレ自体は悪くなかったように思える。もう少し変化球を活用して、ストレートを活かすピッチングを見てみたい。

その他

 クイックは1.05秒前後とまずまず。牽制は軽く入れる程度で、走者を刺す意図はあまり感じられなかった。今はまだ投げることに専念している印象で、細かい駆け引きや精密な投球はできていないようだ。

投球のまとめ

 現時点では素材型の域を出ておらず、プロ入りを決断するのはかなりリスキーな選手と言える。しかし、素材としての魅力はプロ好みであり、プロ志望届を提出した場合、育成枠あたりでの指名を検討する球団が出てきそうな逸材ではあった。


投球フォーム

 セットポジションから勢いよく足を高く引き上げてくる。フォームの入りから高いエネルギーを生み出しており、
典型的なリリーフタイプの投手といった印象を受ける。それでいて、軸足一本で立った際には、膝から上がピンと伸び切らずに膝に余裕があり、バランスよく立っていた。

広がる可能性
☆☆☆★ 3.5

 比較的高い位置で足がピンと伸びており、お尻の一塁側への落としは悪くない。そのため、体を捻り出すスペースが確保されており、カーブやフォークといった球種を投げるのにも適しているように感じた。
 
 ただし、「着地」までの地面の捉え方は平均的で、体を捻り出す時間も標準程度。このため、現状では大きく曲がる変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げていくことになりそうだ。

ボールの支配
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで体の近くに留めており、外に逃げようとする遠心力を内に抑えているように見える。そのため軸がブレにくく、両サイドへのコントロールはもう少し安定してきそうだ。

 一方、
足の甲で地面を捉える力が浅いため、浮き上がろうとする力を十分に抑えられていない。力を入れて投げるとボールが抜けたり、高めに集まりやすい傾向がある。「球持ち」自体は悪くないので、ボールをもう少し押し込めるようになり、安定感が増せば、制球がそれほど悪い投手ではなくなるかもしれない。

故障のリスク
☆☆☆☆ 4.0

 お尻を落とせるフォームなので、カーブやフォークを投げても窮屈さは感じにくいだろう。そのため肘への負担も少なく、現状ではそうした球種もほとんど見られない。

 腕の送り出しを見ても、肩への負担は感じられない。力投派ゆえに疲労が溜まりやすかったり、予期せぬ箇所を痛めるリスクはあるものの、動作自体に大きな悪癖は見当たらない。

実戦的な術
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りが平凡で、
ボールの出どころがやや見やすい。そのため、打者にとって苦になるフォームではない印象だ。一方で、腕は強く振れており、出どころを隠せるようになれば打者を惑わせられそうだ。また、ある程度体重を乗せてからリリースできており、前にしっかり体重移動ができているため、打者の手元まで勢いのある球を投げられていた。

フォームのまとめ

 フォームの4大動作(「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」)では、
「着地」と「開き」に課題がある。股関節の柔軟性を養い、下半身を強化できれば、ステップ幅が広がり、低めへの投球も増えそうだ。体がさらにできあがり、リリースが安定すれば、球筋も安定するだろう。故障のリスクも低く、将来的には優れた変化球を習得できそうなフォームをしている。


最後に

 素材としての魅力は確かだが、現時点でのプロ入りは本人にとって悩ましい選択肢だろう。プロを意識するには時期尚早との考えもある。夏までの上積みの可能性を考慮し、個人的には今後を評価したい投手だ。


蔵の評価:
追跡級!


(2025年 選抜大会)