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エドポロ・ケイン(大阪学院大4年)中堅 189/83 右/右 (日本航空出身) | |
エドポロ・ケインは、打球の鋭さと肩の強さが際立つドラフト候補。チームの主将としてリーダーシップを発揮し、身体能力の高さからプロでの成長が期待される。ただし、技術面の課題と春季リーグでの出場機会の少なさが懸念材料だ。 今年見たドラフト候補の中でも、打球の迫力は屈指だった。開幕当初はマスコミでも注目されたが、5月以降は試合出場がなく、コンディション面が気になっている。 走塁面:☆☆☆(3.0) 評価基準:☆は5段階評価(☆☆☆★=3.0は平均レベル、☆☆☆☆=4.0は上位レベル、☆☆☆☆☆=5.0はトップクラス)。 一塁までの塁間を右打席から4.35秒前後で駆け抜ける。このタイムはプロ指名レベルの右打者として標準的。学校の生徒によると、脚力はチームNo.1とのことで、潜在的にはもっと速いタイムを出せる可能性がある。ただし、盗塁数は3年秋の3盗塁が最高で、走力を積極的に活かすプレースタイルではない。 守備面:☆☆☆★(3.5) 脚力を活かし、守備範囲は広い(外野や内野をカバーする機動力)。キャッチングも安定しており、送球時の体勢は次の動作を意識したスムーズな動き。中継への送球意識も高い。特に地肩の強さは際立ち、遠くに投げられる地肩の強さはプロでも売りにできるレベル。 走力の潜在能力は高いが、技術は発展途上。守備では身体能力を効果的に発揮しており、特に肩の強さは大きな武器だ。 打撃内容 春季リーグ戦では5月以降欠場したが、5試合、15打席で打率.333(15打数5安打)、0本塁打、0打点、出塁率.400を記録。チームの3番打者兼主将として牽引していただけに、欠場は残念だった。 構え:☆☆☆★(3.5) 前足を軽く引き、かかとを浮かせた強打者らしい構え(パワーヒッター特有の姿勢)。グリップを高めに構え、腰の据わりと両目で投手を捉える姿勢はまずまず。全体のバランスは標準的で、落ち着いた雰囲気を持つ。 仕掛け:遅め 投手の重心が沈み、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」(ボールを長く見て打つタイミング)。これは天性の長距離打者や選球眼の良い2番打者に多い。彼は長距離打者タイプで、ボールを引き付ける打撃が特徴だ。 足の運び:☆☆☆★(3.5) 足を軽く浮かせ、インステップ(内側への踏み込み)やアウトステップ(外側への踏み込み)をコースに応じて使い分ける。始動から着地までの「間」は短く、狙い球を絞り鋭く捉える技術が求められる。 踏み込んだ前足はインパクト時に開きを抑えており、低めの外角球にも対応可能。打球はセンターから右方向へのライナーやゴロが多く、広角に打ち分ける能力が見られる。 リストワーク:☆☆☆(3.0) 打撃準備の「トップ」(バットを構える位置)は早めに形成し、始動の遅さをカバー。バットの振り出しは上から振り下ろす形(ダウンスイング)で、遠回りを防いでいる。ただし、インパクト時にバットヘッドがやや下り気味で、ボールとの接地面が少ないため、フェアゾーンに飛びにくい傾向がある。確実性より破壊力を優先したスイングだ。 スイングの弧は大きくないが、恵まれた体格を活かし、力強い打球を生む。フォロースルーで遠くに運ぶタイプではなく、純粋なパワーで飛ばすスタイル。 軸:☆☆☆☆(4.0) 足の上げ下げは小さく、目線の上下動を抑えている。体の開きも我慢できているが、足元がやや窮屈で、内角球への対応は課題かもしれない。軸足の安定感は標準的で、スイング中に大きく崩れることはない。 打撃のまとめ 技術面では課題が多く、恵まれた体格とパワーに頼ったスイングが中心。打球の速さは今季見た中でもトップクラスで、ライナー性の鋭い打球が右中間を破るシーンが印象的だ。ボールを見極める「眼」の良さも光り、スイング技術が向上すれば安定感が増すだろう。今後、内角球への対応やバット軌道の改良を進めれば、プロの主力打者への道が開ける。 最後に 野球への姿勢は真摯で、チームの主将としてリーダーシップを発揮。プレーに手抜きはなく、バッターボックスでは足場を丁寧に整えるこだわりが見られる。長距離打者というより、鋭い打球と身体能力を活かし、20本前後を狙える中距離打者としての資質が高い。肩の強さを活かせば、外野のレギュラー候補として将来の主軸も期待できる。ドラフト戦線では、身体能力と将来性を評価され、中位指名が期待される注目の存在だ。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年 春季リーグ戦) |