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赤木 晴哉(佛教大4年)投手 190/85 右/右 (天理出身) | |||||||||||||||||||
関西学生球界の逸材として昨秋から注目を集める 赤木 晴哉 。リーグ戦優勝の立役者として名を馳せ、2025年春季リーグでもチームを全国大会に導いた。本レポートでは、彼の投球内容、成績、成長の可能性を詳細に分析する。
投球内容 ストレート:145キロ~最大153キロ ☆☆☆★(3.5/5.0) 赤木のストレートは145キロ~最大153キロを計測。コンパクトなテイクバックから繰り出すフォームは、打者のタイミングをずらす。球質は空振りを量産するタイプではなく、シュート回転(右に曲がる軌道)により打球を詰まらせ、ゴロや凡打を誘う。制球は安定しているが、シュート回転が強すぎると高めに抜ける場面も見られる。 変化球:スライダー・フォーク ☆☆☆(3.0/5.0) 変化球の中心は、鋭く小さく横に滑るスライダーとカットボール。これらをカウント球として操り、打者の目線をずらす。フォークも多投するが、空振りを奪う決定力はまだ不足。昨秋は変化球が高めに浮いて打たれるケースがみられたが、この春はそういった場面は減っていた。 。 その他 赤木のクイックモーションは1.05~1.15秒と基準以上で、盗塁阻止に貢献。牽制は鋭く、走者への目配せも的確で、大型選手ながら細かいプレーに隙がない。ピンチではボールを長めに持ち、打者のリズムを崩す投球術も光る。 投球のまとめ 赤木の投球は、昨秋から劇的な変化はないものの、総合力の高さが魅力。ストレートの威力と変化球の精度を組み合わせ、打者を翻弄する。まだ空振りを奪う「決め球」に課題を残すが、伸びしろは十分だ。 成績分析 今春のリーグ戦では、6試合に登板し3勝1敗、防御率1.14を記録。以下は昨秋との比較
今春の被安打率は50.9%(昨秋60.0%)と大幅に改善。変化球とストレートを効果的に配球し、打者に的を絞らせなかった。 四死球率:投球回数の33.3%以下 ◯(28.0%) 四死球率は28.0%で基準をクリア。右打者には内外角を投げ分けるが、左打者にはややアバウト。昨秋(13.8%)に比べるとやや増加したが、自滅のリスクは低い。 奪三振率:1イニングあたり0.8個以上 ◎(1.09個) 空振りを奪う球は少ない印象だが、奪三振率は1.09個/イニング(昨秋0.88個)と向上していた。 防御率:1点台以内 ◯(1.14) 防御率1.14は優秀で、2年秋の0点台に続き安定感を示す。ピンチでの投球術が光った。 成績からわかること 赤木は被安打率と奪三振率で優れた数字を残し、大きな欠点は少ない。左打者への制球やフォークの空振り率に課題はあるが、伸びしろを残しつつ高いレベルを維持している。 (最後に) 赤木晴哉は即戦力としてはやや発展途上だが、1~2年のファームでの育成で一軍戦力へと化ける可能性を秘める。縦の変化球(特にフォーク)の精度を上げ、空振りを量産できれば、一軍での活躍は目前だ。スケールの大きな投手として、プロのスカウトから注目される存在である。 蔵の評価:☆☆(ドラフト中位指名級) (2025年 大学選手権) |
赤木 晴哉(佛教大3年)投手 188/85 右/右 (天理出身) | |
2025年度の関西の大学野球界を代表する速球派として注目されそうなのが、赤木 晴哉 だ。3年時には大学選手権・神宮大会のマウンドを経験しており、最終学年でのブレイクが期待される一人である。 投球内容 190cm近い長身ながら、小さめのテイクバックから投げ込んでくる。3年秋のリーグ戦では、4勝1敗、防御率1.25(2位)という好成績を残した。 ストレート: 140km/h~MAX147km/h ☆☆☆★ 3.5 神宮大会の創価大戦では小雨が降る悪条件のため、140km/h台前半のボールが多かった。しかし、6月の大学選手権では147km/hを記録。適度に速球には勢いがあり、小さめなテイクバックも相まって打者が差し込まれやすい。右打者に対しては両サイドを大まかに使い分けているが、左打者に対してはややアバウトに感じる。ただし、被安打率には左右で大きな差は見られない。 変化球: スライダー・フォークなど ☆☆☆ 3.0 小さく横に曲がるスライダーやカット系のボールとのコンビネーションでカウントを稼いでくる。空振りを誘うほどのキレはないが、高めに甘く入って痛打を浴びるケースも少なくない。また、フォーク系の球は落ちるものの、空振りを取れない場面もあり、その点は課題と言える。 その他 クイックは1.05秒前後と鋭く、牽制も適度に鋭さがある。ただし、微妙なコースの出し入れや「間」を巧みに使う投球術はまだ見られない。気になったのは、一二塁の場面で一塁に牽制した際に悪送球してしまったこと。一塁走者のリードが大きい状況でもなく、無理に牽制を入れる必要もない場面だっただけに、もう少し状況判断を磨いてほしいと感じた。 投球のまとめ ストレートの威力や素材としての魅力はあるものの、詰めの甘さが目立つ。本人も強いプロ志望を持っているようだが、大学からプロ入りを目指すなら、そうした課題を改善する必要がある。最終学年でさらに凄みを増せば、ドラフトでも注目を集める存在になれるのではないだろうか。 投球フォーム セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは悪くない。軸足の膝にも適度に余裕があり、全体的にバランス良く立っている。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の一塁側への落としは悪くなく、体を捻り出すスペースは適度に確保されている。そのため、カーブやフォークといった球種を投げるのにも無理は感じられない。「着地」までの粘りは平均的で、体を捻り出す時間も標準程度。この場合、大きく曲がる変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げていく可能性があるかもしれない。 <ボールの支配> ☆☆★ 2.5 グラブは最後まで抱えきれず後ろで解けてしまうため、軸がブレやすい。その結果、両サイドへのコントロールも乱れがちに思える。足の甲で地面を捉える動作も浅めで、力を込めたボールが上吊りやすい傾向がある。「球持ち」自体は悪くないため、ここで多少の制球は補えているのかもしれない。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としが悪くないので、カーブやフォークを投げても窮屈にはなりにくい。腕の送り出しを見ても、肩への負担は少なそう。ただし、フォームが力投派寄りなため、疲労はある程度溜まりやすいのではないかと感じる部分はある。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも標準的。打者が特に苦にするフォームではないが、極端にタイミングを合わされやすいわけでもなさそう。小さめのテイクバックで微妙に打者のタイミングを狂わせようとしている印象がある。 腕は強く振れて体に絡んでくるものの、ボールが見やすいのか? 縦の変化で空振りを誘えない場面が気になる。ある程度体重を乗せてリリースできているように見えるが、地面の蹴り上げや体重がグッと前に乗る感覚はそれほど強くない。この部分が変われば、打者の手元でのボールの強さや圧がさらに増すのではないだろうか。 フォームのまとめ フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、いずれも大きな欠点はないものの、特別優れているわけでもない。制球を司る動作がもう一つ物足りないのは気になるが、故障リスクは少ないように見えた。あとは、いかに武器となる変化球を見出せるかが鍵になりそうだ。 最後に 高身長で質の良いストレートを投げるため、楽しみな素材ではある。ただし、まだ詰めの甘い部分があり、現状では下位指名~育成枠程度の評価といった印象を受ける。この1年間でどこまで成長できるのか。プロ入りへの強い意欲を、ぜひプレーから感じ取ってみたい。 (2024年秋 神宮大会) |