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松永 大輝(白鴎大4年)投手 171/67 左/左 (東海大菅生出身) 





 「面白いものを持っている」





 オフに寸評を作成した際、正直、指名はボーダーライン上だと感じていた 松永 大輝 。しかし、この春の内容を確認すると、少し面白いものが見えてきた気がする。


投球内容

 先輩の 曽谷 龍平(オリックス)ほどの高いスピード能力はない。この春の成績は、
6試合で4勝1敗、防御率1.59 と、全国大会出場は逃したものの、決して悪いシーズンではなかった。

ストレート:130キロ台後半~140キロ台中盤
☆☆☆ 3.0

左 のスリークォーターから繰り出す速球の勢いやキレは平均的。やや
制球がアバウトな印象はあるが、左打者の内角を厳しく突ける点は貴重だ。昨今の左腕には左打者を苦手とする投手も多い中、その心配が少ないのは彼の強味と言えるだろう。特に内角に食い込む球種を磨けば、かなり左打者に嫌がられるピッチングができるのではないかと期待される。

変化球:カーブ・チェンジアップ・スライダーなど
☆☆☆★ 3.5

 もう一つの推せる材料は、
左腕らしい低めに決まる大きなカーブが大きな武器となっている点だ。昨年まではスライダーとチェンジアップのコンビネーションが中心だったが、カーブが加わったことで投球に奥行きが出てきた。また、右打者の外角に沈むチェンジアップの威力も悪くない。

その他

 牽制は0.9秒台と昨年よりも素早くなり、打者への目配せやボールを長く持つ動作もできており、走者にとってスタートを切りづらい投手と言える。ただし、昨年から牽制がほとんど見られない点は気になるところだ。それでも、マウンドさばきなどを見ると、思った以上に投手らしい印象を受けた。


投球のまとめ

 昨年までは、プロの中で特徴が見いだせないのではないかと懸念していた。しかしこの春、左打者の内角を厳しく突く投球と、カーブという大きなアクセントが加わったことで、
投球の単調さや浅さが改善されたのは大きい。今なら、プロの舞台でも左腕としての強味を活かせる投手になってきたのではないか。


成績から考える

 この春の成績は
、45回1/3、被安打36、四死球21、奪三振41、防御率1.51 と、彼の実績に比べれば平均的なシーズンだった。

1. 被安打は投球回数の70%以下 △

 地方リーグの選手のため基準をやや厳しくしたが、被安打率は 79.4% と悪くない。ただし、リーグ戦で圧倒的な数字を残しているとは言い難い。

2. 四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 ✕

 四死球率は46.3%と高めだ。特に、プロの狭いストライクゾーンや打者のレベルが上がる中で、
攻めのピッチングを貫けるかは懸念材料となる。

3. 1イニングあたりの奪三振は0.8個以上 ◯

 1イニングあたりの奪三振は0.9個で基準を満たしている。先発だけでなくリリーフの基準もクリアしており、三振を量産するタイプではないものの、悪くない数字だ。
低めに決まるカーブやチェンジアップで空振りを奪えている点も評価できる。

4. 防御率は1点台以内 ◯

 今シーズンの防御率は1.51と、ドラフト候補としては突出した数字ではない。しかし、
過去に最優秀防御率を2度獲得し、0点台も経験しているため、この点は大きな懸念ではないだろう。

成績のまとめ

 被安打率や奪三振率が絶対的ではないことに加え、
制球力の不安が課題として残る。このアバウトさがプロ入り後にどう影響するかが鍵となりそうだ。左打者の内角を厳しく攻め続けることや、緩い球を臆せず使いこなせるかが重要になるだろう。

最後に

 昨年感じた物足りなさを残すものの、今春は成長した姿も見られた。そうした意味では、本会議での指名はボーダーラインだが、志望届を提出すれば育成枠を含めて指名が期待できる段階に来ていると判断する。個人的には現時点で指名はありだと評価するが、秋季リーグでさらに安定感のあるピッチングを魅せて指名を盤石にしたい。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年 春季リーグ戦)


 




松永 大輝(白鴎大3年)投手 171/67 左/左 (東海大菅生出身)
 




 「指名圏内まで来られるか?」





投球内容

 先輩である 曽谷 龍平(オリックス)投手のような
左投げのスリークォーターです。3年時には春・秋ともに5勝0敗という好成績を残しています。

ストレート 140キロ~140キロ台後半 
☆☆☆ 3.0

 適度な勢いのある速球を、打者の外角を中心に集めてきます。特に球威や球速に関しては、現時点では平均的です。大学からプロ入りを考えるなら、
もう一段階キレや球速を向上させたいところです。

変化球 ツーシーム・スライダー・カーブなど 
☆☆☆★ 3.5

 右打者の外角に小さく逃げるチェンジアップまたは
ツーシーム系の精度が高く、この球がピッチングの中心となっています。左打者に対しては、スライダーとのコンビネーションを活用。他にも緩いカーブなどを織り交ぜ、ストレートと上手く組み合わせながら投球を組み立てています。

その他

 クイックは1.00~1.05秒程度とまずまずです。左腕ですが、牽制は確認できませんでした。特に「間」をじっくり取ったり、投げるタイミングを変化させたりするような投球術は見られませんでした。

投球のまとめ

 現状では、投球にそれほど奥行きは感じられません。そのため、プロではリリーフ向きといった印象があります。しかし、リーグ戦での圧倒的な成績が示すように、試合を壊さず、まとめ、負けないというセンスは想像以上なのかもしれません。そのあたりを、最終学年でしっかり見極めたいところです。





成績から考える

 3年秋のリーグ戦では、
37回、17安打、9四死球、35三振、防御率0.49(1位)といった好成績を残しています。

1. 被安打は投球回数の70%以下 ◎

 被安打率は45.9%と低く、厳しく設定した基準でも余裕でクリアできています。リーグの中では、圧倒的な投球をしているのが伺えます。


2. 四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 ◯

 四死球率は24.3%です。ピンポイントで決める繊細なコントロールではないものの、外角を中心にボールを大まかに集め、甘いコースにはあまり入ってきません。特に、四死球で自滅するような危うさは感じられません。

3. 1イニングあたりの奪三振は0.9個以上 ◯

 1イニングあたりの奪三振は0.95個で、基準を満たしています。投球回数を上回るほどの圧倒的な奪三振率ではありませんが、適度に三振を奪えていました。ただし、NPBの一軍レベルの打者相手では、プロ入り後に奪三振率が半減する可能性もあります。

4. 防御率は1点台が望ましい ◎

 通算防御率は1.17と0点台に近く、過去2度の0点台も記録するなど、圧倒的な数字を残しています。

成績からわかること

 リーグ戦では圧倒的な成績を残してきましたが、全国大会でも同様に圧倒的な成績を残せるのか?
リーグ戦を超えた舞台でのアピールが、大学からの指名の有無を左右するのではないでしょうか。リーグ戦で残してきた実績に関しては、大きな欠点は見当たりませんでした。

最後に

 まだ大学時代の、曽谷投手ほどの凄みやスケールは感じられません。一方で、危うさが少なくまとまりがあるのは、この松永投手の方だと感じます。そういった実戦派だと割り切って、中継ぎ候補として見れば面白い素材かもしれません。秋までの投球を見る限りは、まだ指名確実と言えるレベルには到達していませんでした。


(2024年秋 横浜市長杯)