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山城 京平(亜細亜大4年)投手 174/68 左/左 (興南出身)  





 「一皮むけた」





 山城 京平 は、下級生時代には抜群のボール威力を誇るも成績が伴わない素材型投手だった。2025年春季リーグでは、ストレートの質を向上させ、試合をまとめる能力を身につけた。東都大学野球リーグ(日本国内の大学野球トップリーグ)での活躍により、ドラフト上位候補として注目を集めている。


投球スタイル

ストレート:140km/h後半~150km/h中盤 評価:
☆☆☆☆★(4.5/5)

 山城のストレートは、NPB(日本プロ野球)の左腕投手でも稀な150km/h中盤の球速と勢いを誇る。多少のバラつきはあるが、低めにゆくことが多く、高低のミスは少ない。左右の制球ミスは見られるものの、
ボールの威力で打者を圧倒する。

変化球:チェンジアップ・スライダー・カーブ 評価:
☆☆☆★(3.5/5)

 昨季までは横滑りするスライダーが主武器だったが、今季はチェンジアップの使用頻度が増加。この変化球は変化量よりも
ストレートと見分けにくい腕の振りが特徴で、プロの打者でも対応が難しい。スライダーの割合は減少し、緩いカーブを効果的に織り交ぜ、打者のタイミングを外している。

守備・牽制

 クイックタイムは1.15秒前後と平均的で、走者を刺す鋭い牽制は少ない。フィールディングの動きはスムーズだが、送球の精度は今後注視が必要。高校時代から好投手タイプで、マウンド捌きは安定しているが、細かいコースの出し入れや「間」を活用した投球術は発展途上である。



成績分析

 今春の東都リーグでは、7試合に登板し、
2勝0敗、防御率1.39 を記録。昨秋の防御率3.49から大きく向上し、最優秀防御率に輝いた。以下は詳細な成績と評価基準に基づく分析である。


項目
成績
基準
評価
投球回
32回1/3
-
-
被安打
15安打(被安打率:46.4% = 15 ÷ 32.33)
投球回数の80%以下
四死球
21四死球(四死球率:65.0% = 21 ÷ 32.33)
投球回数の33.3%以下
奪三振
32奪三振(1イニングあたり0.99 = 32 ÷ 32.33)
1イニングあたり0.8以上
防御率
1.39
1点台


 被安打率(46.4%)は、東都リーグの高いレベルで脅威的な数字。低めへのストレートとチェンジアップの効果的な組み合わせが安打を抑えた。

 四死球率(65.0%)は依然高く、制球力の改善ではなくボールの威力で成績を伸ばしている。リリースポイントのバラつきが課題か。

 奪三振率(0.99/イニング)は、チェンジアップのストレートとの見分けづらさと低めへの投球が効果的。左腕としての希少性を考慮すると十分な数字だ。

 防御率(1.39)は基準を満たすが、0点台には届かず。秋季リーグでのさらなる向上が期待される。

投球の総括

 山城は、ストレートの球速向上(140km/h後半~150km/h中盤)とチェンジアップの活用により、打者に的を絞らせない投球を展開。昨季までは速さだけでは圧倒しきれなかったが、ボールの威力と配球の工夫でパフォーマンスを向上させた。細かい制球力や投球術は未成熟で、
ストレートが走らない場面での試合展開力は課題である。


(今後の展望)

 リーグ戦終盤での内容の向上は高く評価できる。2025年の大学生投手中では絶対的な存在が少ない中、左腕としての希少性と150km/h中盤のストレートは大きな魅力。秋季リーグで防御率0点台を記録できれば、ドラフト1位指名、さらには複数球団による競合の可能性も見えてくる。


総合評価:☆☆☆☆(ドラフト1位指名級)


(2025年 春季リーグ戦)


 








山城 京平(亜細亜大3年)投手 174/68 左/左 (興南出身) 
 




 「ボール一つ一つは素晴らしい」





 
 左腕から繰り出す150キロ前後の真っ直ぐの勢い、そして変化球にも良いものがある 山城 京平 。しかし、ここまでの3年間の通算成績は僅か2勝であり、通算防御率は2.48と、平凡な成績に留まっている。その理由について、考えてみたい。


(投球内容)

 興南高校時代から好投手として知られてきた選手だが、大学に入って大きく球速を伸ばした。大学に入ってから、1年春からリーグ戦で登板。しかし、規定投球回数に達したのは、3年秋のシーズンが初めてだった。そしてその成績は、7試合で 2勝1敗、54回1/3を投げて28安打、45四死球、44三振、防御率3.49(8位)といった平凡な成績だった。

ストレート 常時145キロ前後~MAX151キロ ☆☆☆☆ 4.0

 球速表示どおりに、真っ直ぐの勢いは確かで、速く感じないわけではない。決して球威で圧倒するというよりも、キレ味のある快速球だ。54回1/3イニングで、被安打は28本。被安打率は51.5%と、圧倒的に打たれていない。

 しかし、これでも成績が残らないのは、四死球の多さからだろう。四死球は45個で、四死球率は実に82.8%。いくらヒットを打たれないといっても、この割合で四死球を出してしまえば、どうしても失点に絡んでしまう。

変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブなど ☆☆☆★ 3.5

 ストレートが暴れる分、横滑りするスライダーでカウントを整えてくる。また、追い込むと低めで沈むチェンジアップを振らせるのは上手い。したがって、いかに追い込むことができるかが重要なのだろう。

その他

 クイック自体は、1.2秒弱と平凡。しかし、左投手であることも考えると、この点はあまり問題ではない。牽制でも、走者を刺すような鋭いものを入れてくる。「間」を意識したり、細かいコースの投げ分けはできないが、元々が好投手タイプだっただけに、マウンドさばきが悪いわけでもない。


(投球のまとめ)

 どうしても力でねじ伏せようという意識が強いのか? 力みから制球を乱してしまうことが多い。逆に、力が抜け始めると、変化球もしっかり制御できて安定してくる。そういった力の入れ加減、抜き加減を身に付けられるかが、今後の鍵になるのではないだろうか。





(投球内容)

 セットポジションから足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい。軸足の膝がピンと伸びてしまい、力みが感じられる立ち方は気になる材料だ。制球の悪い投手に多く見られる傾向だからだ。それでも、全体のバランスとしては平均的に保てている。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせているが、かなり二塁側に送ることでバランスを保っている。ただし、こうなると身体を捻り出すスペースが少し甘めになるため、カーブやフォークなどの曲がりは鈍くなってしまうかもしれない。

 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、適度に身体を捻り出す時間を確保できる。そのため、変化球の曲がり自体はそれほど鈍くならないのではないだろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって、軸はブレにくく、両サイドへのコントロールはつけやすそうに見える。しかし、腕が外旋してブンと振られるため、グラブを抱えていても軸のブレは充分に抑えられないのではないだろうか?

 足の甲での地面の捉えが浅いので、浮き上がろうとする力は抑えられない。「球持ち」も並ぐらいだが、真っ直ぐが高めに集まりやすいとか、ボールが抜けるといった感じはしない。

故障のリスク ☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残るものの、カーブやフォークが投げられないほどではないだろう。腕の角度自体に無理はないが、外旋してブンと肩で投げる分、負担も少なくないようには感じる。それほど力投派だとは思わないが、力んで投げることがあり、そのような投げ方では疲労度も少なくないのではないだろうか。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは作れているように見え、ボールの出どころも隠せているように見える。そのため、被安打も少ないのではないだろうか。

 腕は強く振れて身体に絡んで来るし、ボールも体重を乗せてからリリースできているようには思える。ただし、この辺りも更に良くなる余地は残されている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな課題はないものの、どれも平均的で、もっと良くできそうな余地が残されている。制球を司る動作や故障のリスクも、腕が外旋して投げることで弊害が出ているように感じられた。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙だが、各変化球のキレ自体は悪い投手ではなさそうだ。


(最後に)

 投げているボール自体は、上位指名を意識できるだけのものがある。しかし、制球力の粗さが、実戦的な投球の妨げになってきた。力の抜き加減を覚えるなり、フォームの修正を講じるなど、何かしらの変化がないと、このまま素材型の域を脱せられないまま終わってしまいそうだ。そういった投球に変化が見られるのか? 最終学年は見届けてみたい。