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大矢 琉晟(中京大4年)投手 178/82 右/左 (中京大中京出身)





「ボールの強さは確か」





 プロの打者でも力で圧倒できる150キロ前後の豪速球を投げ込む 大矢 琉晟。リーグ通算1勝と実績は乏しいが、大学時代からプロ入りを意識させる素材型投手だ。


投球内容

 2025年春の大学選手権・近畿大戦で先発登板。
7回を3安打、0四死球、8奪三振、0失点の圧巻の投球を見せた。

ストレート:140キロ台後半~152キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 
ミットにズシリと突き刺さる150キロ前後のストレートが最大の武器。球威は確かで、容易に打ち返すのは難しい。制球は両サイドに散らす程度で、時に高めに抜けるが、四死球で自滅する危うさは少ない。

変化球:スライダー・フォーク・ツーシーム 
☆☆☆☆ 4.0

 スライダーやツーシームの使用頻度は低いが、強力なストレートと低めで空振りを誘うフォークを軸にした配球が特徴。フォークは低めで鋭く落ち、打者の空振りを誘える。カウントを整える変化球の精度は課題だが、ストレートで追い込み、フォークで仕留めるパターンは確立されている。

その他

 クイックモーションは1.0秒前後と素早く、牽制も適度に織り交ぜるが、特別巧みではない。走者への目配せは十分ではなく、投球動作に入ると注意力がやや低下。フィールディングは悪くないが、間を意識してボールを長く持つ投球術などはこれからか。

投球のまとめ

 細かい制球力や投球術は発展途上だが、プロの一軍打者を
力で押し込めるストレートと空振りを誘うフォークは本物。リリーフとして、即戦力の可能性を秘める。





投球フォーム

 セットポジションから足を引き上げる動作は静かで、膝から上が伸び切らず、力みなく立つ。ただし、全体のバランスは改善の余地がある。

広がる可能性 
☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向かって伸ばすため、お尻がバッテリーライン上に残りがち。体を捻り出すスペースが狭く、カーブやフォークを投げる際に窮屈になる。

 着地までの地面の捉えが早く、体を捻り出す時間は短め。大きな変化球より、球速のある小さな変化球が適しているが、フォークはしっかり落ちて問題は少ない。

ボールの支配 
☆☆★ 2.5

 グラブを最後まで内に抱えられず、軸がブレやすく、両サイドへの制球が乱れやすい。足の甲での地面の捉えも浮きがちで、
力を入れるとボールが上吊りやすい。しかし、球持ちが良く、指先でボールを制御でき、制球の破綻を防いでいる。

故障のリスク 
☆☆★ 2.5

 お尻を落とせていないため、フォーク投球時の肘への負担が懸念され、肘のケアに注意が必要。肩への負担は少ないが、力投派なので疲労の蓄積には注意したい。

実戦的な術 
☆☆☆ 3.0

 着地までの粘りが不足し、体の開きが早いため、
打者がタイミングを合わせやすい面がある。それでも、ボールの威力で打ち返すのを困難にする強さは魅力。

 腕を強く振れており、適度に体重を乗せたリリースで打者の手元まで強い球を投げる。ただし、投げ終わりに一塁側へ重心が流れ、エネルギーを指先に伝えきれずロスしている。

フォームのまとめ

 フォームの4要素(着地、球持ち、開き、体重移動)では、球持ち以外に課題が残るが、制球不安が少ないのは強み。故障リスクも管理可能な範囲。カウントを整える変化球の習得が課題だが、フォークの空振り率の高さは心強い。

注:評価基準=☆1つで1.0点、最大5.0点。


最後に

 大矢琉晟は、150キロのストレートと空振りを誘うフォークを武器に、プロのリリーフとしての可能性を秘める。フォームの課題は多いが、実際の投球では影響が少なく、リリーフでの活躍が期待できそう。ドラフトでは下位~育成指名が予想されるが、素材の良さから中位指名級の価値があると評価したい。


蔵の評価:☆☆(中位指名級)


(2025年 大学選手権)