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山崎 太陽(創価大)投手 193/86 右/右 (帝京第五出身) 
 




 「素材は魅力も」





 190センチを超える長身から投げ下ろす本格派右腕、山崎 太陽。遅咲きの素質が開花しつつあるこの投手は、どこまで成長できるのか? 投球内容とフォームから、その可能性を探ってみよう。


投球内容

 この春のリーグ戦では、6試合にリリーフ登板し、
0勝1敗、防御率1.35。13回1/3を投げ、被安打8、与四球5、奪三振16と、安定感と奪三振力を示した。それまでは3年春に3試合登板したのみで、本格的な起用は4年春から。まさに遅咲きの注目株だ。

ストレート:145~149キロ 
☆☆☆★ 3.5

 小さめのテイクバックから、
ピュッと鋭いストレートを投げ込む。長身を活かした角度や圧倒的な球威はないが、キレが抜群で、奪三振率10.8(9回換算)と空振りを誘う力は大学トップクラス。ただし、細かいコースへの投げ分けは課題で、ストライクゾーン内にざっくり投げるスタイルだ。

変化球:フォーク・スライダー 
☆☆☆ 3.0

 フォークを積極的に使い、右打者にも左打者にも早いカウントから投じる。スライダーは主に右打者へのカウント調整に活用。フォークは現時点で空振りを奪うより、チェンジアップのような変化で打ち取る配球が中心。
変化球の精度向上が今後のカギだ。

その他

 牽制は鋭いが、クイックモーションは1.25~1.35秒と遅め。走者への目配せも甘く、盗塁を許す場面が目立つ。投球術や守備面など、
ピッチング以外のスキルはまだ粗削りだ。

投球のまとめ

 190センチの恵まれた体格から繰り出す140キロ台後半のストレートは、キレで勝負するタイプ。大学選手権では、8回から登板し、延長タイブレークまで2安打無失点と好投したものの、リズムが崩れると一気に大量失点を喫する脆さも露呈。経験不足が課題だが、素材の良さは光る。プロでは時間をかけて育てる覚悟が必要だろう。





投球フォーム

 投球フォームから、山崎のポテンシャルをさらに掘り下げてみる。セットポジションから足を引き上げる勢いはあるが、高く上げる動作ではない。軸足一本で立つ際、膝から上がピンと伸びず、
リラックスした姿勢は好印象。ただし、全体のバランスはまだ洗練されていない。

広がる可能性 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足を地面に伸ばす癖があり、お尻が一塁側に落ち切らない。これにより、体を捻るスペースが確保できず、カーブやフォークのキレがやや鈍くなる。現行のフォークやスライダーでカウントは整えられるが、大きく曲がるの変化球で空振りを誘えるようになるのには時間がかかりそうだ。

ボールの支配(制球力) 
☆☆★ 2.5

 グラブを最後まで内に抱えきれず、軸がブレやすいため、両サイドのコントロールが乱れる。足の甲で地面を捉える力も浅く、力むとボールが上吊りがち。ただし、球持ち(リリース直前までボールを保持する力)はまずまずで、指先でボールを操る感覚は持っている

故障のリスク 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落ちが甘いものの、フォークやカーブを投げる上で致命的な問題はない。今後フォークの使用頻度が増えれば、肘のケアが重要になる。腕の送り出しはスムーズで肩への負担は少なく、力投派でないため疲労も溜まりにくい。

実戦的な術(打者との駆け引き) 
☆☆☆ 3.0

 着地(足を地面に下ろすタイミング)までの粘りは平均的で、ボールの出どころも隠しにくい。タイミングを外すのは得意ではないが、小さめのテイクバックで打ちにくさを補う。腕の振りはまだ体に絡む粘りがなく、体重移動や地面の蹴り上げはまずまず。体重が増えれば、もっと迫力ある球が投げられそうだ。

フォームのまとめ

 フォームの4大要素(着地、球持ち、開き、体重移動)では、「球持ち」と「体重移動」がまずまずだが、「着地」と「開き」は平均的。これらが粘れるようになれば、打者にとって嫌らしいフォームになるだろう。制球を司る動作に課題があり、コントロールは大雑把。故障リスクは平均的で、キレの鋭い変化球を武器にできるかは未知数。スペックは高いが、実戦的な完成度はこれからだ。


最後に

 山崎太陽は、190センチの長身とキレのあるストレートを誇る
素材型投手。まだ粗削りだが、プロの指導で制球力や変化球の精度が向上すれば、先発やリリーフとして活躍する可能性を秘めている。指名は下位~育成枠が予想されるが、本人のプロ志向が強ければ、複数の球団が手を挙げるかもしれない。数年後の飛躍に期待したい!


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年 大学選手権)