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国本 航河(筑波大4年) 投手 184/81 右/右 (名古屋高出身)





 「何か収まりが悪い」





 1球1球のボールの質は高いが、投球全体ではまとまりに欠ける印象が残る 国本 航河。なぜそのように感じるのか、以下で考察する。


投球内容

 2025年春季リーグ戦では、
6試合に登板し、2勝0敗、防御率0.33 と好成績を記録。しかし、チームを全国大会に導くには至らなかった。

ストレート:145~150km/h 
☆☆☆★(3.5/5)

 指にかかった時のストレートは、
勢いと球威で打者を圧倒する。特に高めに伸びる球は見事だが、制球力に課題がある。両コーナーへの投げミスは少ないものの、全体的に球筋が高めになりがちで、カウントを整える場面で抜ける球も目立つ。欲しい場面でストライクを確実に取れない「本当のコントロール」の欠如が、投球の物足りなさを引き起こしている。

変化球:スライダー、カットボール、カーブ、フォーク 
☆☆☆(3.0/5)

 スライダーとカットボールを軸に、緩いカーブやフォークを織り交ぜ、打者に的を絞らせない投球を展開。特に
フォークの縦の変化は鋭く、この球で空振りを誘う場面が多かった。フォークを軸にした配球をさらに磨ければ、変化球の効果が向上するだろう。
その他

 牽制は適度に鋭い動きでランナーを牽制するが、クイックモーションは1.25~1.35秒とやや遅め。盗塁を許すリスクが気になる。フィールディングはスムーズだが、送球の精度にバラつきがあり、緊迫した場面での信頼性が課題。

投球のまとめ

 ストレートもフォークを中心とした変化球は、ボールの質も高い。しかし、制球力の不足に加え、マウンド上でのリズム感に課題がある。たとえば、投球間隔が長くなる傾向があり打者への集中力を高め、
シンプルでリズミカルな投球を意識することで、さらなる飛躍が期待できる。





成績を考える

項目
成績
基準
評価
被安打率
57.8%
70%以下
四死球率
61.5%
33.3%以下
奪三振率
1.01個/回
0.8個以上/回
防御率
0.33
1点台以内


被安打率:57.8%(◎)

 投球回数の70%以下という基準を大きく下回り、力で打者を抑え込めている。打たれて失点するケースは極めて少ない。

四死球率:61.5%(✕)

 基準の33.3%以下に対し、約2倍の四死球率。制球力の不安定さが明確な課題であり、改善が急務。

奪三振率:1.01個/回(◎)

 1イニングあたり1.01個の奪三振は、ストレートの威力とフォークの鋭さが活きている証。空振りを奪える能力は大きな強み。

防御率:0.33(◎)

 抜群の防御率は、ボールの質で打者を圧倒していることを示す。失点の少なさが投手のポテンシャルを物語る。

成績からわかること

 被安打率、奪三振率、防御率は高い水準を誇るが、四死球率の高さが投球の印象と一致し、制球力の課題を浮き彫りにする。ボールの質はドラフト候補として十分だが、コントロールの安定性が評価を分けるポイントだ。

今後の期待

 秋季リーグ戦に向けて、以下の改善が期待される:

制球力の向上:下半身の強化や投球フォームの安定化を通じて、ストレートのコントロールを磨く。

リズム感の改善:投球間隔を意識し、打者との間合いをコントロールする投球スタイルを確立。

配球の工夫:フォークを軸に、緩急を効果的に使う配球を強化。

これらの課題を克服できれば、本会議での指名も意識できるようになるのではないのだろうか。

総合評価

 国本航河は、ストレートとフォークの質で高いポテンシャルを示す一方、
制球力とリズム感に課題が残る。現状ではドラフト指名候補としてボーダーラインだが、素材の良さは際立つ。秋季リーグ戦での成長に注目し、さらなる進化を期待したい。


蔵の評価:
追跡級!


※「追跡級」とは、ドラフト候補として注目すべき選手だが、本会議での指名には制球力や安定感の向上が必要なレベルを指す。


(2025年 春季リーグ戦)