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岩崎 峻典(東洋大3年) 投手 178/78 右/右 (履正社出身)





 「上位を意識できる」





 今年の東洋のエースとして期待される 岩崎 峻典 。素材としては、チームメイトの 一條 力真 の方が目をひくものの、先発として計算できる、そういった実践力では、この岩崎の方が上を行っていると言えるだろう。


(投球内容)

 履正社時代から、
中背の体格ながら馬力のある投球で活躍。一部に昇格した秋のリーグ戦では、2勝2敗 防 1.82(8位) と、一定の結果を残した。

ストレート 145キロ前後~152キロ 
☆☆☆★ 3.5

 
適度の球威と球速に、勢いを兼ね備えた実戦的なボールを投げ込んでくる。時々引っ掛け過ぎるきらいはあるが、大まかに両サイドに散らせて来るコントロールもある。この秋も、29回2/.3イニングで7四死球と、制球で自滅する、そういったことはない。特に、右打者内角を厳しく突いて来られる、攻めのピッチングが最大の持ち味だ。

変化球 スライダー・カット・スプリットなど 
☆☆☆ 3.0

 スライダー・カット系の球でカウントを整えつつ、小さく沈むスプリットを織り交ぜてくる。29回2/3イニングで23三振が示す通り、それほど狙って空振りが取れるほどの
絶対的な変化球はない真っすぐで詰まらせ、変化球で引っ掛けさせるのが、この投手の投球スタイルなのかもしれない。

その他

 牽制は適度に鋭く、走者への目配せなどもできている。クィックも、1.1~1.15秒 ぐらいでまとめられるなどまずまず。履正社時代から場数を踏んできた投手だけに、
要所で踏ん張れたりと気持ちの強さも感じられる。

(投球まとめ)

 素材として魅力がというよりも、
今の実力を高く評価してあげたいタイプ。イメージ的には、意外に 川上 憲伸(明大-中日)的な、そういったタイプの投手ではないかと思えてくる。最終学年で、どのぐらい実力の違いを魅せつけられるのか? 今後の可能性よりも、実績・数字でアピールしたいタイプだった。





(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立った時には、膝にそれほど余裕はないものの、バランス良く立てていた。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足をあまりしっかり伸ばさないで抱えたまま重心を沈ませるので、お尻の一塁側への落としは甘めに。そのため、カーブやフォークといった球種は投げられないことはないものの、変化は鈍くなりがち。

 「着地」までの地面の捉えも平均的で、体を捻りだず時間は並。したがって、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げてゆくタイプではないのだろうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆☆ 4.0

 グラブは比較的最後まで体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。足の甲での地面の捉えもできているように見え、浮き上がろうとする力も抑えられいる。「球持ち」も良いのだが、逆に
ボールを引っ掛けさせてワンバンさせてしまうことが多いぐらい。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、カーブや握りの浅いスプリットなので、そこまで神経質になることは無さそう。腕の送り出しを見ていても、肩に負担がかかるといったほどでも無さそうだ。多少力投派の部分はあるものの、それも先発時にはメリハリが効いているので、そこまで気にすることも無さそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りが平均的であり、
ボールの出処がやや早いように見える。そういった意味では、打者としては合わされやすい恐れがある。

 腕は適度に強く振れているのだが、ボールが見やすいぶん吊られ難い恐れが。「球持ち」は良く、ある程度体重を乗せてからリリースできているものの、投げ終わったあと
一塁側に重心が流れてしまい、作り出したエネルギーをまだロスしてしまっている。この辺が改善してくると、真っすぐにもグッと凄みを増してきそうだ。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」 の観点でいえば、
「球持ち」には優れているものの、「開き」や「体重移動」に改善の余地が残されていそうだ。制球を司る動作には優れており、故障のリスクはそこまで高くはない。問題は、将来的に武器になる球をいかに見出して行けるかではないのだろうか。


(最後に)

 凄みのある素材というよりも、
今の力を素直に評価してあげたいタイプ。そういった意味では、プロ入り後の上積みが何処まで残されているかは微妙だろう。それだけに、パフォーマンスで圧倒して高い評価を得たいところ。ただし、順調に行ければ、上位の24名前後に入って来られる、そういった可能性は高いのではないかとみている。


(2023年秋 東都リーグ戦)