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金丸 夢斗(関西大3年)投手 177/77 左/左 (神港橘出身)





「久しくこのレベルの左腕はいなかった」





 3年秋の時点で、1位指名が確定的という意味では、DeNAに入った 今永 昇太(駒大以来)。少なくても、最終学年に才能を爆発させた 早川 隆久(早大-楽天)以来の大学生左腕になるのではないかと思われる 金丸 夢斗 。彼の凄いところは、早川の3年秋よりも遥かにレベルが高いうえに、変化球がそこまでではなかった 今永 の同時期よりも、さらに能力が高いのではないかと思わせるところにある。


(投球内容)

 非常に癖のないフォームで、この秋は 
6勝0敗 51回 32安 8四死 74三 防 0.35(1位) と、圧倒的な成績を残している。

ストレート 145~150キロ台前半 
☆☆☆☆ 4.0

 安定して勢いやキレのある 140キロ台後半の真っすぐを投げ込んでくる。両サイドに投げ分けることができ、高さも高めに集まりやすいということもない。適度に球威も兼ね備えており、切れ味勝負で球が軽いといったこともない。
コントロール・球質 含めて、かなり高いレベルにすでに到達している。

変化球 スライダー・カーブ・ツーシームなど 
☆☆☆★ 3.5

 左打者には、外角に曲がりながら逃げるスライダー。右打者には、外に小さく逃げるツーシームを使ってくる。さらに緩いカーブなどもあり、強力な縦の変化こそないが、
変化球も高めや真ん中に甘く入ってこないところも良いところだ。

その他

 クィックは、1.05~1.10 ぐらいとまずまず。牽制も適度に鋭く、走者へはしっかり目配せをしてから投げられている。特に、微妙な出し入れをするとか、投げる時に「間」をといった投球術こそないものの、実に
慎重に投げ込んでくる投手らしい一面が感じられる。

(投球のまとめ)

 すでに、
一軍ローテーションに入って二桁前後を期待できる、そういった力が備わっているように思えます。さらに最終学年において、パフォーマンスを引き上げるようなことになったら、大変な存在になりうるのではないのでしょうか。





(投球フォーム)

 今度は、投球フォームの観点から考えてみましょう。ノーワインドアップから、ゆったりとした入りで、足を引き上げる勢いや高さはそれほどでもない。軸足一本で立った時に、膝がピンと伸び切ることなく力みなく立てている。ただし、全体のバランスとしては並みぐらいだろうか。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻も適度に三塁側(左投手の場合は)に落ちていて、カーブやフォークなどを投げるのに無理が生じるというほど窮屈さは感じられない。

 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、適度に身体を捻り出す時間も確保できている。物凄く大きな変化までは期待できなくても、
適度にキレや曲がりのある変化球を習得して投球を広げて行ける下地は確保できているのではないのでしょうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。したがって軸はブレ難く、両サイドのコントロールはつけやすい。

 
足の甲での地面の捉えが浅いので、力を入れて投げると浮き上がる力抑えらきれなく見える。それでも「球持ち」が良いのか? そこまでボールが抜けるような姿を見ることはない。指先の感覚は、良い方ではないのだろうか。

<故障のリスク> 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻もある程度落とせている上に、カーブもそれほど使って来ないし、フォーク系の球も見当たらない。しいて言えば、多少負担のあるツーシームを使うものの、そこまで気にするほどではないのだろう。

 腕の送り出しを観ていても肩に負担がかかっている感じはしないし、力投派でもないので疲労も溜め難いのではないのだろうか。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5


 「着地」までの粘りもそれなりで、ボールの出どころも隠せている。そういった意味では、打者はタイミングもとり難く、差し込まれやすいのではないのだろうか。

 腕もしっかり振れていて身体にも絡んでくるし、ある程度体重を乗せてからリリースできているようにも見え、「体重移動」もそこまで悪いようには見えない。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」 では、大きな欠点は見当たりません。しいていえば、足の甲が浅いので、
「体重移動」には良くなる余地が残されている気はします。故障のリスクも低そうですし、足の甲の地面の捉えが浅い割に、ボールはそれほど上吊りません。将来的にも投球の幅も広げて行けそうですし、まだ何処が特別素晴らしいという突出したものはないものの、欠点の少ない完成度の高いフォームをしている。


(最後に)

 実際の投球にしてもフォーム技術にしても、かなり高いレベルに到達している。さらに、ここから高みを目指して最終学年に資質を伸ばせるようになると、
ドラフト史に名を刻めるぐらいの存在になるかもしれない。そのぐらい、稀にみる素材です。


(2023年 秋季リーグ戦)