23sy-7





宇都宮 葵星(19歳・愛媛MP) 内野 176/66 右/左 (松山工出身)





「ユーティリティプレーヤー」





 ソフトバンクとの交流戦で見たときには、8番・サードとして出場していた 宇都宮 葵星 。 打順も1番・2番・5番・7番・8番 と様々な役割をこなし、守備でもサード以外に、二塁やショートでも出場する 俊足・巧打 の選手だった。

走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 左打席から一塁到達タイムは、4.0秒前後とまずまずの俊足。本人も足が売りだと話しているように、試合の中でもセーフティバントを試みたりと、相手を揺さぶる場面がみられる。ただし、今季43試合に出場して2盗塁ということで、盗塁でガンガンアピールする、そういったプレースタイルでは無さそうだ。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 軽快で細かいステップを刻めるなど、いかにも内野手といった感じのプレーヤー。肩も基準以上で、安定感はともかく
動きの良さは確かな選手といった気がする。何処でも守れる使い勝手の良さこそ、この選手の最大の売りなのかもしれない。

 走力も守備でも、NPBで売りにできるほどかと言われると微妙です。それでも、どんな形でも加わって行ける選手なので、チームに一人いると重宝されるタイプなのかもしれません。高卒一年目の選手なので、走守のさらなる成長を期待したいところ。





(打撃内容)

 まだまだスイングにひ弱さを感じますが、
ミート力には優れた選手に感じました。アイランドリーグでは、43試合 0本 14点 打率.258厘 といった成績でした。現時点での力よりも、将来性込みで評価されたことが伺えます。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足を引いた左オープンスタンスで、グリップは高めにバット寝せて構えます。腰の据わり具合・両眼での前の見据え方・全体のバランスとしては、それなりといった感じがします。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視した、アベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆★ 2.5

 足を引き上げ回し込み、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強そうです。ただし、インステップするので、最初の一歩目のスタートが遅れがち。足を売りにする左打者であれば、インステップではなく、せめて真っ直ぐ踏み出すぐらいにしないと、率は残り難いのではないかと考えられます。

 もう一つ気になるのが、ステップが狭く踏み込んだ前の足が、
インパクトの際に動いて踏ん張れていません。こうなると逃げて行く球や低めの球に対し、開きが我慢できないで苦しくなってしまいます。インステップする割に、外角の球をキッチリ仕留めきれないことも多そうなのは気になります。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みがないところは良いところ。ただし、バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出し自体は、インパクトまでロスは感じられない。ただし、インステップする分、
内角のさばきは窮屈になりがち。

 ヘッドスピードが鋭いとか、打球が力強いといったことはなく、
スイング自体はまだまだひ弱い。根本的なミートセンスは悪くないので、スイングの鋭さに磨きがかかることが求められる。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動はそれなり。体の開きが充分に我慢しきれないていないのと、足元が窮屈そうなのが気になる。前にも書いたように、もう少しステップを確保しつつ真っ直ぐ踏み出すぐらいにできると、さばけるポイントが広がって行きそうだ。

(打撃のまとめ)

 けして当てるのが下手ではないので、
肉体的な強さを養いつつ、上半身の振りに負けない下半身が作れるかが鍵ではないのだろうか。打撃に関しては、まだまだドラフト指名選手としては弱い方だろう。


(最後に)

 まだまだ高卒1年目の選手といった感じで、内容的にも技術的にも発展途上な印象を受ける。それだけに、数年かけて一軍で通用するだけの体と技術を身に付けてゆきたい。それが叶えば、支配下登録も夢ではないのではないのだろうか。ただし、現時点では、
(本会議指名級)の評価にまでは至らなかった。


(2023年 ソフトバンク交流戦)