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川上 理偉(21歳・大分B-リングス)遊撃  178/85 右/右 (大分-宮崎医療カレッジ出身)





「パワフルな打者」





 北九州の独立リーグに所属する 川上 理偉 は、俊足・好守の遊撃手というよりも、パワフルな打撃を売りにする内野手といった感じの強打者だった。NPBの世界では、打力を売りに他のポジションを担って行くことになるのではないのだろうか。

走塁面:
☆☆ 2.0

 一塁までの到達タイムは、右打席から4秒台中盤ぐらい(正確に計測できず)。これを左打者換算にしても、4.2~4.4秒 ぐらいではないかということで、足を売りにして行く感じのプレースタイルではなかった。ちなみに23年度は、78試合で3盗塁 。全く動けない選手ではないが、積極的に盗塁を仕掛けてくるタイプではないのだろう。

守備面:
☆☆★ 2.5

 打球の正面にまわり込み、
丁寧にプレーしようという意志は感じられます。ただし、慌ててしまってボールが手につかなかったり、送球を乱すことも少なくありません。やや動きも重苦しく、肩は弱くなさそうなだけに、三塁なり外野を担って行くことになるのではないのでしょうか。





(打撃内容)

 今季のリーグ戦では、
78試合(284打数) 4本 54点 打率.285厘 を記録し、リーグの打点王に輝いた。パワフルなスイングをする選手で、広角に打ち返すポイントゲッターといった感じ。 

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、少しカカトを浮かして構えます。グリップを高めに添えた強打者スタイルで、腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスもとれ、強打者らしい力強い構えです。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時に一度浮かした足を地面に戻して、再度ステップさせてから動き出す。本格的に動き出すのが、投手がリリースを迎える直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。この始動のタイミングだと、NPBレベルの球速やキレに、日本人の筋力やヘッドスピードで対応するのは厳しいです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を地面をなぞるようにしながら、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」がとれていないので、狙い球を絞り逃さない「鋭さ」がより求められる打ち方です。ベース側に踏み込むように、
外角への意識が強そう

 踏み出した
足元は、インパクトの際にブレずになんとか止まっています。そのため逃げて行く球や低めの球に対し、「開き」を抑えながら食らいつくことができます。タイミングの図り方や動作全体が遅れないように注意したいところ。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みがないところは好いところ。
バットを引くのが遅れて、立ち遅れないように注意したい。バットの振り出し自体に癖はなく、ヘッドもそれほど下がらずに最後まで力強く振り切れています。上半身の動きに関しては、大きな欠点は見当たりません。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが静かなので、
目線の上下動は少なめ。そのため、錯覚を起こすことなくボールを追うことができています。体の開きも我慢できていますが、軸足の形が少し不安定。足元が少し窮屈なので、内角のさばきなどは少し苦しいかもしれません。

(打撃のまとめ)

 始動のタイミングが遅すぎる点と取り方が課題だと思いますが、それ以外に大きな欠点は見当たりません。
スイング自体も強いですし、比較的早く結果を残したいタイプなのではないのでしょうか。


(最後に)

 自慢の強打で存在感を示しつつ、サードなり外野あたりを無難に守れるような活躍を期待したいところ。守備は雑なタイプではなく、むしろ丁寧にしようとして手にボールがつかないことが多いといった感じ。そういった意味では、外野向きの人材なのかもしれません。ただし、育成枠でも最後での指名であったように、
(支配下レベル)の選手ではないように感じました。ここからプロで通用するようになるのには、さらなる精進が必要ですので、何かをつかめることを期待して見守りたいところです。


(2023年 リーグ戦)