23sp-20





澤柳 亮太郎(23歳・ロキテクノ)投手 180/85 右/右 (明学東村山-明治学院大出身)





「ちょっと掴みきれなかった」





 昨年の冬には、U-23の日本代表としても出場しいていた 澤柳 亮太郎 。そのときの投球や、今年の登板も幾つか確認できたのですがが、イマイチ能力的に掴みきれない部分があって判断に迷ってしまうところがあります。


(投球内容)

 割合ゆったりした感じのフォームで、投げ込んできます。今シーズンの公式戦成績は、
15回 10安 4四死 16三 防 0.60 と、リリーフとして起用され安定していました。

ストレート 140~148キロ 
☆☆☆★ 3.5

 普段は140キロ台前半~速いときで140キロ台後半と、圧倒的に速いわけではありません。ボールの質も、空振りを誘うというよりは、
球威で詰まらせるタイプ。ただし、意外にしっかり両サイドを投げ分けられていて、コントロールが好いのには驚きました。今シーズン登板した15イニングで、四死球は4つほどと四死球率は、26.7% と安定。被安打率も、66.7%と低く、投げミスが少ないのが大きいのかもしれません。速球でグイグイ押してくるタイプでありながら、コントロールが好いのが特徴です。

変化球 カット・カーブ・フォークなど 
☆☆☆★ 3.5

 130キロ台中盤のカットボール、それに曲がりの大きなパワーカーブに、フォークのような球を結構使ってきます。ただし、縦の変化の精度はまだ発展途上。それでも奪三振は、投球回数を上回っています。

その他

 クィックは1.2秒前後とあまり早くないのですが、フィールディングの動きもそれなり。特に「間」を使ってとか、微妙な出し入れをするとかそういった繊細さはありませんが、走者を背負っても
平然と自分のペースで投げ込めるマインドの持ち主で、リリーフ向きの性格をしているのかもしれません。

(投球のまとめ)

 球速ほど真っ直ぐが来ている感じがしないのですが、投げミスの少ないコントロールがあるのは評価できます。変化球も縦の変化はまだ発展途上ですが、独特の曲がりをするパワーカーブは面白そうな球種です。投手としてはまだ成長途上といった感じはしますが、
好いリリーフになれる資質は秘めているように思いました。





(投球フォーム)

 
実際の試合を何試合か見たものの、まだピンと来ないのでフォームを分析して考えてきます。セットポジションから、足をゆったりと平均的な高さまで引き上げます。なんとなくイメージは、大魔神こと 佐々木主浩(元ベイスターズ)の入り方を彷彿とさせます。軸足一本で立った時には、膝がピンと伸び切ることなく、適度にバランスよく立てていました。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足は地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としは甘く見えます。カーブやフォークといった球種が投げられないことはないと思いますが、変化が鈍くなりやすいです。パワーカーブは、投げるスペースには影響され難いのかもしれません。

 「着地」までの地面の捉えは、前に適度に足を逃がせており適度な粘りは感じられます。そういった意味では、身体を捻り出す時間はそれなり。カーブやフォークといった球種じゃ無ければ、曲がりの大きな変化球を習得できる可能性はあります。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後後ろで解けそうですが、なんとか最後まで体の近くに抱えられています。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい感じです。足の甲での地面の捉えが短く見えるのですが、ボールが高めに集まってくるわけでもありません。「球持ち」もそれなりで、指先の感覚は平均ぐらいといった感じには見えます。

<故障のリスク> 
☆☆★ 2.5

 お尻の落としに甘さは残すものの、結構フォーク系の球を投げ込んでくるので、窮屈になって肘への負担があるかもしれません。腕の送り出しに関しては、そこまで肩に負担がかかっているようには見えません。ゆったりした入りですが、結構腕を強く振ってくるフォームなので、疲労はそれなりに溜まるタイプかもしれません。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りはそれなりでの、ボールの出どころも適度に隠せています。そういった意味では、けして合わされやすいフォームではありません。腕は強く振れており、打者は吊られてしまう要素はあります。ある程度体重を乗せてからリリースできているように見えるのですが、最後に
一塁側に流れてしまうことがあり、最後までしっかり力が伝えきれているかは微妙です。その辺が、真っ直ぐの球質にも影響しているのかもしれません。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、一塁側に流れることで「体重移動」にロスが生じています。故障の
リスクが多少高そうには見えますが、武器になる変化球の習得も期待できそうですし、動作の割に制球力も安定しています。特別実戦的なフォームではありませんが、致命的な欠点もありません。


(最後に)

 
速球派にしては、コントロールの不安がないところは好いところ。真っ直ぐの質や縦の変化球の精度などに課題を残しますが、そのぶんカーブで空振りが奪えたり、真っすぐで押せる球威を持っています。一年目で何処までやれるかは微妙ですが、課題が改善できるようになると、数年後はリリーフで活躍できる、そういった可能性を感じさせる素材です。高い確率でモノになるとは言えませんが、その可能性を感じるということで、(支配下級)の評価をすることにします。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年 プロアマ交流戦)