23sp-10


 




大谷 輝龍(23歳・富山GRNサンダーバーズ) 投手 180/82 右/右 (小松大谷-JFE東日本-伏木海陸運送)
 




 「奥行きを感じる」





 ゆったりとしたフォームから、最速157キロを記録する 大谷 輝龍 。しかしながら、素材としては、まだまだ速くなりそうな、そんな奥行きが感じられるのが、この選手の魅力ではないのだろうか。


(投球内容)


ストレート 150~157キロ 
☆☆☆☆ 4.0

 真っすぐは、まだ決まって欲しい時に決まらないこともあるものの、結構
低めや外角一杯に決まる傾向がみられる。そういった真っ直ぐの質・勢い・球筋を観ていると、ただの速いだけの投手といった感じはしてこない。リリースがもう少し安定してくれば、ゾーン内の真っすぐでグイグイ押すことができそうだ。

変化球 スライダー 
☆☆ 2.0

 基本的には投球は、真っ直ぐとスライダーとのコンビネーション。このスライダーを、右打者内角からストライクゾーンに入れてくるフロントドアで入れてくる。ただし、
抜けてしまうことも多く、精度という意味ではもう一つ。きれいに決まった時に、曲がりも良く好いのだが ・・・ 。 もう一つ、使える変化球が欲しい。

その他

 牽制は適度に鋭く、クィックも、1.05~1.10秒ぐらいとまずまず。けして、ただ投げるだけの投手だとは思うが、まだ「間」を上手く使ってという感じではないものの、決まったときには両サイドに一杯のゾーンに入ってくることが多い。

(投球のまとめ)

 まだまだ素材型の域は脱しられていないので、何処まで1年目から数字になるかと言われると微妙です。ただし、能力を出し切っている感はなく、まだまだ環境と努力次第では、良くなって行ける可能性が感じられます。






(成績から考える)

 今シーズンは、1イニング限定のリリーフとして使われていました。
直近の10試合では、10回 7安 2四死 17三 防 1.80 でした。

1,被安打率は80%以内 ◯

 直近の10試合に限っては、被安打率は70% 。シーズン前半は投球回数と同数程度打たれていたが、だいぶ終盤ではその傾向は薄まってきた。場馴れすることで、自分の投球ができつつあるのかもしれない。

2,四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 ◯

 直近の10試合では20%と基準を満たす内容であったが、前半戦では投球回数の半分ぐらいは四死球を出している。そういった意味では制球も安定しつつあるものの、独立リーグのグランドチャンピオンシップでもスライダーが抜けているなど、まだその不安は拭えない。

3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ◎

 後半戦では圧倒的な奪三振率を誇っており、シーズン序盤からでも投球回数を上回る奪三振が奪えていた。日本海リーグでは、突出した能力の持ち主であるのは間違いない。

4,防御率は1点台以内 △

 直近10試合では 1.80 と安定しているが、シーズン通してみると前半戦は失点が多く安定していたとは言えない。ただし、すべての数字がそうだが、前半戦と後半戦では、別人ぐらいに成績が違うので、どの時期を評価するかで変わってきそうだ。

(成績からわかること)

 サンプルこそ少ないが、後半戦の投球を重視するのであれば、独立リーグでも充分に評価に値する成績を残している。しかし、年間トータルで考えると、物足りなさが残る。その辺が、時期によってムラがあるタイプなのか? それとも成長してきた証なのかの判断は難しい。


(最後に)

 一年目から一軍でとか、そういった即戦力性は感じられない。しかし、ファームで数年漬け込み指導してゆくことを前提に考えるならば、素材としての魅力は確か。そういった部分を評価して、支配下で指名する球団もあるかもしれない。しかし、現時点での総合力を考えると、育成会議での指名の可能性の方が高いのではないかと捉えている。ただし、まだまだ余力のある素材。160キロ台の到達も、夢ではないのではないのだろうか。


(2023年 独立リーグチャンピオンシップ)