23ky-37





村山 源(鹿屋中央) 遊撃 178/63 右/右





「守備はプロ級」





 安定した守備力を有する 村山 源 。その守りは、まさにプロ級といった感じで、安心して見ていられるショートの動きだった。ただし、育成枠まで残ったのは、3年夏の大会で 23打数3安打 と、打撃でのアピールが薄かったからではないのだろうか。

走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.35秒前後 。これを左打者に換算すると、4.1秒前後となり、ドラフト指名される打者の平均的なタイムとなる。打率.130厘と低迷した夏の大会でも、盗塁は3個決めるなど、それなりに走る意欲もありそうだ。プロレベルで足を売りにするほどかは微妙だが、けして走れない選手ではないだろう。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 打球への一歩目の反応も良く、フットワーク、スピード感、キャッチング共にまずまずといった感じ。中でも素晴らしいのは、
スローイングが安定している点だ。投げても投手として140キロ台の球を投げられるように、地肩もかなり強そうな印象を受けた。そういった意味では、プロでもニ遊間を担って行けそうな素材だし、高校生の遊撃手としては上位の守備力があると評価できる。





(打撃内容)

<構え> 
☆☆☆★

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えます。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては、それなりといった感じです。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりから動き出す、「平均的な仕掛け」を採用しています。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足をほとんど引き上げず、地面をなぞるように回し込んで、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応できます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのかと。

 踏み込んだ前の足は、インパクト際になんとか地面にめり込ませて止めています。しかし、引っ張りの意識が強いのか? 地面からは早く離れがち。気になるのは、
体から逃げて行く球に対し、かなり弱いように見えました。これは、開きが我慢できず、喰らいつけないスイングになっているからだと考えられます。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0 

 打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体で、力み無くボールは呼び込めています。ただし、それほどバットが内から出てくる感じではないので、引っ張りを好む割に内角のさばきはうまく無いよう見えます。逃げて行く球などにも強く無さそうなので、そういった意味で
はさばける範囲が狭い印象を受けました。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さく、
目線の動きは小さめ。体の開きもなんとか我慢できているように見えるものの、外角への対応などをみていると、その点では不安にはなる。軸足の形はそこまで崩れてはいないが、まだ内モモの筋肉なども弱そうで、これから鍛えて行って打球に力感を付けていって欲しい。


(打撃のまとめ)

 鹿児島大会の決勝戦の模様などを見ている限り、そこま
で打撃が弱いとか当て勘自体が悪い感じはしなかった。その辺は技術的な部分の改善と、筋力などがついて来ると変わってくる可能性はある。それでも外角への対応が改善されるかが鍵になりそうで、打撃に関してはまだ指名級だったとは言えないのではないのだろうか。


(最後に)

 
守備に関しては、充分にプロ級だと評価したい。その一方で、打撃に関しては、かなり苦労するのではないかといった感じはしている。ただし、根本的な当て勘が悪いというよりも、メカニズムの部分によるのではないかと見ているが、外角の球への対応が今後改善できるかに懸かっている。そのため、(本会議級)とは評価しずらく、育成枠での指名は妥当だったのではないのだろうか。


(2023年夏 鹿児島大会)