23ky-32





高野 颯太(三刀屋)三塁  176/80 右/右





「まるで浅野翔吾(巨人)みたいだ」





 上背こそさほどないが、ガッチリした体型からパワフルな打球を連発する姿は、昨年巨人に1位指名された 浅野 翔吾(高松商)を彷彿とさせる選手だった。この夏みた高校生野手の中でも、かなり印象的な打者だったと言えよう。


(守備・走塁面)

 残念ながら、一塁までの到達タイムは計測できず。チームでは1番を担っており、足を売りにするほどではないにしろ、
次の塁を狙う積極的な走塁も見られた。盗塁を仕掛けてくるといった選手にならないかもしれないが、足で見劣るするような選手ではないよう思える。

 三塁手としての動きも、まずまずといった感じ。試合では、ミスをしたり粗い部分もあったが、地肩も基準以上のものがありそう。将来的には、三塁手として続けて行けるかは微妙だが、肩も足も悪くないので、秋まで守っていた外野という選択肢もあるだろう。






(打撃内容)

 夏は、初戦に強豪・石見智翠館と当たり、第一打席に左中間スタンドに叩き込んだものの、センターフライ・死球・ファーストフライ の3打数1安打。この試合で敗れてしまったが、充分に存在感を示した内容だった。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップを高めに添えた強打者スタイル。以前は、もう少しベース側に覆いかぶさるような、癖のある構えだった記憶がある。背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスなどもよくなり、オーソドックス構えに変わっていた。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングで、彼も打球はパワフルでも確実性の高い打撃を目指しているのではないのだろうか。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を引き上げて回し込み、ベース側に踏み込むインステップを採用。始動~着地までの「間」が取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。踏み込むように、外角への意識が強そうだ。

 踏み込んだ
前の足もしっぱり止まっているので、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができる。この選手の場合、引っ張って巻き込むだけでなく、右方向にも強い打球を飛ばす広角打者といった感じがする。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を早めにつくることで、速い球に立ち遅れない形ができています。バットの振り出しも、外角の球を叩くにはロスが感じられないし、ヘッドの下がりなども気にならなかった。ただし、踏み込むぶん
内角は窮屈になりがちで、ある程度懐にスペースが欲しいタイプ。力強いスイングで最後まで振り切るタイプで、けしてホームラン打者ではないと思うが、体の強さと金属バットの反発力で長打につなげることができるのだろう。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが静かで、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢でき、
軸足の内モモの筋肉発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。しいて言えば、やはり足元が窮屈であるので、スイングする時に軸足の位置が後ろに動いている。これはいつも言うように、軸足が適正な位置にないために、スイングを促すために自然に動かして打っているということ。

(打撃のまとめ)

 
プレー全体が前向きな選手であり、スイングも実に力強い。ボールの呼び込み方も、間のとり方 も上手いので、強打者でありながら脆さを感じないところは良いところ。内角のさばきが、今後改善できるかが鍵になりそうだが、持っている打撃の資質は高そうだ。


(最後に)

 夏は早々敗れてしまったので育成枠まで残ったが、甲子園でも来ていたら支配下での指名もあったかもしれない。体型やプレースタイルも、昨年の 浅野翔吾 とよく似ており、何事にも攻撃的だった。個人的には育成会議での指名だったが、本会議級の評価をしてみたい。ヤクルトにまた一人、楽しみな選手が加わったのではないのだろうか。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)


(2023年夏 島根大会)