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杉原 望来(京都国際)投手 175/70 左/左 





「テンポが良い」 





 凄みのある球を投げるというよりも、ポンポンとテンポよくストライクを先行させてくる 杉原 望来 。そういった実戦的な投球ができる、センスの良いタイプのサウスポーだった。


(投球内容)

 最後の夏の大会は、
2試合 13回 6安 3四死 17三 防 1.38 と安定。準々決勝で、立命館戦にリリーフしたが、敗れて最後の夏を終えた。


ストレート 常時140キロ前後 
☆☆☆ 3.0

 手元でピュッと切れる感じの球で、球速は140キロ前後でも
打者が差し込まれて容易には捉えられないキレがある。甘く入れば痛打を食らう可能性のある球威だが、物足りなさは感じられない。右打者外角の逆クロスの球筋に投げようとすると抜ける球は観られるものの、クロスへの球筋では安定してストライクを先行させられるコントロールがある。そのため、制球を乱して苦しむタイプでは無さそうだ。

変化球 スライダー・カーブなど 
☆☆☆ 3.0

 曲がり沈むカーブのようなスライダーと、さらに遅いカーブとのコンビネーション。基本的に
右打者の中に入ってゆく球が中心で、逃げて行く球はほとんど観られない。これらの球でしっかりカウントを稼げたり、緩急を付けることはできている。ただし、逃げて行く球筋がないので、今後はそういった球をモノにして行くことが必須だと考えられる。

その他

 クィックは、1.05~1.15秒 ぐらいとまずまず。牽制やフィールディングに関してはよくわからなかったが、動作を見ている限り、
動きはキビキビししていて、センスを感じさせるタイプの投手だった。

(投球内容)

 正統派というよりも、少し軟投派の色彩の強いタイプ。それでも、投球の中心を構成する
真っ直ぐには勢いがあり、しっかりゾーン内で勝負でできるという点は評価できるポイント。打者からすれば、5キロ以上は速く感じられる球ではないのだろうか?





(投球フォーム)

 ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さはそれなり。軸足一本で立った時に、膝がピンと伸びてしまって力みを感じるが、全体としてはバランスを保って立ててはいる。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばすので、お尻の三塁側(左投手の場合は)への落としは甘くなる。したがって体を捻り出すスペースは物足りず、元来ならばカーブやフォークなどを投げるのにはあまり適さない。ただし彼の場合、このカーブ系の球が生命線なので、それを捨てるわけにはゆかないだろう。

 前に大きくステップさせることで、着地までの時間を確保。体を捻り出す時間があるので、
曲がりの大きな変化球をモノにできる可能性は高い。すでに、カーブ・スライダーの曲がりは大きく特徴的だ。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールはつけやすい。ただし、
足の甲での地面の捉えが浮きがちなので、浮き上がろうとする力は抑えられていない。力を入れて投げると、ボールが上吊りやすいのではないのだろうか。それでも「球持ち」は結構よく、指先の感覚も悪く無さそう。そういった手先まで力を伝えられることで、ボールを制御することはできている。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻が落としが甘い割に、カーブ系の球は多く使ってくる。そういった意味では窮屈になりがちで、
肘などへの負担は心配にはなる。腕の送り出しには無理がないので、肩への負担は少なそう。けして力投派といったタイプではないので、疲労も溜め難いのではないのだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆☆ 4.0

 「着地」までの粘りはある上に、ボールの出処も隠せている。そのため打者としては、見えないところからピュッとボールが出てくる感じになり、差し込まれやすいのではないのだろうか。

 振り降ろした腕も身体に巻き付くなど粘っこさがあり、ボールにもある程度体重を乗せてはリリースできている。まだウェートや筋力も物足りないので、なかなか打者の手元まで球威のある球は投げ込めていないが。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点はなく
「球持ち」や「開き」などに優れて打ち難い。足の甲の押し付けが浮きがちなのと、お尻が落としが甘い点は気になるが、将来的には投球の幅を広げて行ける可能性も感じられる。フォームとしては、かなり実戦的で嫌らしいのではないのだろうか。


(最後に)

 指名的には、垢抜けて球威や球速がないので、本会議で指名があるかないかぐらいだとは思っていました。しかし、実戦的なフォームや、球速以上に真っ直ぐで押せる勢いもあり、サウスポーであることも考えると、個人的には育成枠での指名でも 
 を付けても良いのではないかと考えます。彼が、今後どういった活躍を魅せるのか、密かに期待して見守りたいところです。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2023年夏 京都大会)