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清水 麻成(樹徳)投手 186/75 右/右





「角度が自慢の素材型」





 186センチの長身から、腕に角度を付けて投げ下ろしてくる 清水 麻成 。まだまだ、発展途上の投手といった未完成さが魅力の投手だった。


(投球内容)

 この夏は、
4試合 20回 23安 9四死 19三 防 4.05 の成績で、群馬大会の準決勝で敗れました。

ストレート 常時135キロ前後~140キロ台前半 
☆☆★ 2.5

 球速的には、ドラフトに指名される選手としては劣る部類。それでも、角度を生かした球筋は、球速以上に感じさせるものがあります。ボールが
高めに抜け気味なことが多く、まだまだ狙ったところにビシッと集められないアバウトさがあります。ただし、たまに指にかかった時に素晴らしい球を投げ込むので、こういった球が安定して行くようになれば、将来楽しみです。

変化球 カーブ・スライダー・ツーシームなど 
☆☆★ 2.5

 
ブレーキの効いたカーブで、結構カウントを整えてきます。むしろスライダーなどはあまり使って来ないですし、ツーシームも抜け球なのか意図的に投げているのか? 見極めが難しいです。現状は、しっかり仕留めきれるほどの、絶対的な球種はないように感じられました。

その他

 クィックは、1.2~1.3秒台と遅めです。フィールディングや牽制などはよくわかりませんでしたが、打者に粘られてもバタバタすることなく、淡々と投げ続けることができる
精神面の安定感は評価できるポイントでした。

(投球のまとめ)

 あくまでも、体ができてフォームが安定してきた時に、どんな投球ができるかに懸かっている素材だと思います。時々魅せる指にかかったときのボールには おっ! と思えるときもあるので、可能性は秘めた素材だとは言えるのではないのでしょうか。






(投球フォーム)

 投球だけではよくわからない部分もあったので、フォームを分析して将来像を考えてみます。セットポジションから、足を引き上げる勢いは静かで、その高さも低めです。そういった意味では、フォーム序盤のエネルギー捻出は低そうです。

 軸足一本で立ったときにも、膝がピンと伸び切ってしまい力みが感じられる立ち方。トの字になるような立ち方で、ツッコミやすい立ち方です。

<広がる可能性> 
☆☆ 2.0

 前に倒れ込むような感じのフォームなので、お尻はバッテリーライン上に落ちてしまっています。したがって体を捻り出すスペースが確保できず、カーブやフォークを投げるのには適さない投げ方ではあります。

 「着地」までの地面の捉えもやや早く、体を捻り出す時間はもう一つ。こうなると、曲がりの大きな変化球は習得し難く、武器になる球を見出すのには黒津しそうです。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力も内に留めることができています。軸はブレ難いので、両サイドへのコントロールはつけやすいのでは?

 むしろ
足の甲での地面の捉えが浅いので、浮き上がろうとする力を抑え込めていません。したがって力を入れて投げると、ボールが高めに集まったりしがちです。「球持ち」は悪く無さそうに見えましたが、まだボールを押し込めないのか? 抜けてしまう球も少なくありません。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻が落とせない割に、緩いカーブを多めに使ってきます。こうなると窮屈になって、肘などへの負担が気になります。腕の送り出しを見ても、ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の方が下がりがち。そのため、肩への負担は大きそうに見えます。けして力投派ではないので、そこまで疲労を溜めるといった不安は少ないのですが。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りも平凡ですが、ボールの出処はある程度隠せています。また角度のある球筋なので、打者は芯が微妙にズレる危険性はあります。それでも投球回数以上の被安打を浴びているので、そこまで打者が苦にしてはいなそうです。

 腕の長い投手体型はしてますが、まだまだ投げ終わったあとに身体に絡むほどの粘っこさはありません。ボールにもしっかり体重を乗せきれていないので、打者の手元までの勢いや球威はこれからなのでしょう。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」」「球持ち」「開き」「体重移動」では、特に
「着地」や「体重移動」に課題を残します。足の甲の抑えの浅さからボールが上吊りやすい点。身体への負担もお大きく故障のリスクが高く、将来的にも武器になる変化球をいかに習得して行けるかも気になります。カットボールやツーシームにスプリットなど球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げて行くことになるのではないのでしょうか。肉体的な上積みは望めますが、これを実戦的な投球に結び付けられるかが鍵になりそうです。


(最後に)

 本当に
発展途上といった感じの素材なので、これからどのような選手に育つのは想像が難しいです。体ができた時に、どんな球を投げ込めるのか? どういった変化球でピッチングを作って行くのか? 一つ一つ段階を踏んで、取り組んで行くことが求められます。ある意味、育成枠ならではの素材型といった気がしました。


(2023年夏 群馬大会)