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天野 京介(愛産大工3年)投手 182/86 右/右 | |
愛知で昨年あたりから、ちょくちょく話題になっていた 天野 京介 。実際生でみると、どんな感じなのか、ぜひ足を運んで確認してみたかった。そこで、春季愛知大会に足を運んでみた。 (投球内容) この春は、3試合 18回2/3 13安 8四死 29三 防 1.45 といった内容でした。 ストレート 130キロ台後半~MAX89マイル・143キロ ☆☆☆ 3.0 球速は的には、常時140キロ強ぐらいといった感じで、ビシッとした球がコーナーに決まる時は爽快です。その一方で、球筋にバラツキもあり、まだピリッとしない不安定さも残します。そのため奪三振の多さは特筆ものですが、四死球率は42.9% と不安定さも同居します。 変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0 曲がりの大きなスライダーに特徴があり、この球には光るものがありました。その他にも、縦スラなのかチェンジアップなのかよくわからないのですが、縦の変化もありそう。ただし縦の変化はまだ発展途上で、基本的に速球とスライダーとのコンビネーションといった感じがしました。 (投球のまとめ) まだまだ伸び代を残した素材といった感じはしたものの、速球とスライダーとのコンビネーションのせいか? それほど投球に奥行きを感じられませんでした。それだけに現時点では、そこまで高い評価はできないのでは? というのが率直な感想だった。 (投球フォーム) 今後の可能性を考える意味で、フォームをみてみましょう。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは平均的。軸足一本で立った時に、膝がピンと伸び切ってしまって力みやすい立ち方です。それでも引き上げた足を上手く使い、バランスは保てて立てていました。 <広がる可能性> ☆☆ 2.0 引き上げた足をピンと伸ばしきることもなく、前に倒れる感じで重心を沈ませてきます。したがってお尻はバッテリーライン上に落ちてしまい、体を捻り出すスペースは確保できません。そういった意味では、カーブやフォークといった球種を投げるのには窮屈になって適しません。 前に倒れ込むような感じなので、自然と着地までの地面の捉えも早くなりがち。したがって体を捻り出す時間も確保できず、曲がりの大きな変化球の修得は厳しいかもしれません。それでもスライダーの曲がり・切れは良いので、その点はあまり気にしなくても良いかもしれません。いずれにしても、いかにして決め球になる変化球を修得して行けるかが鍵になります。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで体の近くに抱えられ、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができている。そのため軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは安定しやすい。足の甲での地面の捉えも悪く無さそうで、浮き上がろうとする力も抑えられている。しかしまだ、リリースでの押し込みなどバラツキがあるのか? 時々高めに抜ける球も見られる。指先の感覚は、平均ぐらいだろうか? <故障のリスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落としはできていないが、カーブやフォークといった球種は観られない。あるいは投げていても頻度は少なそうなので悲観するほどではないのだろう。そのため、窮屈になって肘などに負担がかかることは限定的なのではと。 腕の送り出しを観ていても、肩への負担は特には感じられない。それほど力投派というほどでもないので、その点でも疲労は溜め難いのでは? 身体にも馬力がありそうで、タフそうにはみえる。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りがないフォームなので、打者としては合わせやすい恐れはある。それでもボールの出処のは隠せているので、コースにしっかり集められていれば、連打を浴び難いのではと。 腕は強く振れており、打者としては吊られやすいものがある。ボールにも適度に体重を乗せてリリースできているように見えるが、投げ終わったあと一塁側に体が流れる。作り出したエネルギーを、リリースまで伝えきれていないのがもったいない。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」や「体重移動」などのエネルギー伝達に課題がある。この辺が改善できると、球質も大いに改善できそうだ。制球を司る動作には優れ、故障のリスクは平均的。将来的に、使える球種を増やし、投球の幅を広げて行けるかが鍵になりそうだ。 (最後に) まだまだ発展途上の投手で、夏までにさらなる成長を望みたいところ。現状は、下位~育成あたりの評価が妥当かなと感じられた。夏に向け上積みがあるようならば、中位(4位前後)級の評価は望めるようになりそうだ。高校からのプロ入りも意識できる素材だけに、さらなる成長を期待してやまない。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2023年 春季愛知大会) |