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 村田 怜音(皇學館大)内野 196/111 右/右 (相可-皇学館大出身)





 「混ぜてみないとわからない」





 春先の日体大でのオープン戦では、あっても育成指名ぐらいかなと思っていた 村田 玲音 。しかし、シーズンに入るとプロ側の評価も上がって、本会議での指名となった。シーズン中の映像も確認しながら、少しでもこの選手の本質に迫れればと思う。


守備面:
☆☆ 2.0

 196センチ111キロの巨体の割には、動けるかなといった印象は受けた。ただし、プロで一塁を任されるかどうかは微妙なライン。練習では、一塁だけでなく三塁もやっているところをみた。もう少し、強い打球の処理などを観てみない正直三塁への適正まではわからなかった。現状は、プロだと一塁もしくはDH要員ではないかとは観ているが。

走塁面:
☆☆★ 2.5

 春先のオープン戦もそうだったが、夏の映像でも右打席から 4.4秒前後で一塁まで到達していた。このタイムは、左打者に換算すると 4.15秒前後と、そこまで遅いタイムではない。守備同様に、
巨体の割には動ける印象で、タイム的には 中の下 ぐらいではないのだろうか。ただし、3年秋の成績をみてみると、10試合で2盗塁と、結構隙あらば走ろうという姿勢はありそうだ。

 守備でも走塁でも、けして能力が高いわけではないだろう。それでも、守りでも前向きだし走塁でも手抜き感がなく野球へ向かう姿勢には好感が持てる。





(打撃内容)

 まともに捉えれば、
日本人離れした飛距離を出せるのは間違いない。ただし、打席などを観ていると、かなり空振りも多く、ボールを捉えるという意味では、粗いのだなというのは実感する。それでもリーグ戦では5割以上の成績を春も秋も残しており、そこまで当て勘が悪いということではないのか?

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 前の足をしっかり引いて、グリップを捕手側に引いて、その高さは平均的。腰はしっかり据わり、両眼で前を見据えや全体のバランスとしてはそれなりといった感じ。しいて言えば、構えた時に体を動かす
「揺らぎ」といった動作が観られないので、少し硬く見えてしまう部分がある。「揺らぎ」がないと、一瞬の反応に遅れやすいと言われている。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下りきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆ 2.0

 足を引き上げて、ベースから少し離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応できる。しかし、実際にはステップが狭く地面を早く捉えてしまっており、
「間」が上手く取れていない感じがします。アウトステップを採用するように、内角への意識が強そうです。

 踏み込んだ前の足が、インパクトの際に
早く地面から離れて踏ん張れていません。そのため、引っ張り中心のスイングになります。また外角の球には、腰が早く開いて手打ちになっています。

<リストワーク> 
☆☆★ 2.5

 あらかじめグリップを「トップ」に近い位置で引いて構えているので、速い球には立ち遅れ難いです。ただし、バットを引くことで力みが生じやすく、
リストワークに遊びが無くなるのは気になるところです。

 グリップが下がって出てくるので、腰が早く開き
スイングも遠回り出てきます。それでもヘッドを残そうとするので、逃げて行く球や低めの球に対しては、手打ちになって引っ掛けてしまうことも少なくありません。

 その一方で、しっかり巻き込めた球に対しては、
フォロースルーも活かして、ボールに角度を付けて飛ばすことができます。人並み外れたパワーも相まって、日本人離れした飛距離を生み出せるのでしょう。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 頭の動きは小さく、
目線の上下動は少なめ。体の開きが我慢できていませんが、軸足は比較的安定しており、内モモの筋肉にも強さが感じられます。このへんが、打球の強烈さに繋がっています。ヘッドスピードにキレは感じられませんが、体のパワーが凄いので、打球も速いのでしょう。

(打撃のまとめ)

 確実性といった意味では、かなり癖があって課題も多いスイングです。その一方で、上手く巻き込めた時のパワーは尋常ではありません。そういった角のあるところを、打者の育成に長けている西武が、どのように育てるのか気になるところです。


(最後に)

 巨漢ですが、そこまで守備の動きや走力など動けない選手では無さそうです。まして、
動こうという意欲も感じれます。ただし、打撃の「間」の取り方やスイング軌道など課題も多く、何処までプロレベルの投手に対応できるかには疑問な部分があります。西武のスカウティングは、スイング軌道に癖がない選手を指名する傾向が強いので、そんな中で例外的な選手を指名してきたというのも興味深いものがあります。ちょっと (支配下級)の評価はできませんが、規格外の選手として本会議でも欲しかった、西武の気持ちも理解できる指名でした。この選手が、今後どのように育つのか注視して見守って行きたいです。


(2023年 オープン戦)