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 杉田 健(日大国際関係学部)投手 188/82 右/右 (日大三島出身)





「指にかかった球に可能性が」





 10球に1球ぐらい、時々に素晴らしい球を投げ込む 杉田 健 。そういった球の割合が増やせるようだと、今後楽しみだといった感情を抱かせてくれる素材だった。


(投球内容)

 長身から投げ下ろす本格派で、リーグ戦に登場してきたのは最終学年になってからという遅咲き。この秋は、
35回 15安 8四死 36三 防 0.26 と圧倒的な内容を示した。秋の、静岡大戦の模様を観戦してきた。

ストレート 常時140キロ前後~140キロ台中盤 ☆☆☆ 3.0

 
現時点の球威・球速、ボールの質といった意味では、ドラフト指名選手としては平均的。むしろこの投手の場合は、将来もっと良い球が投げられそうといった期待値込みの評価であり、たまに おっ! と思わせてくれる球があるので、期待が持てそうといった感じだった。それほど細かい制球力はないものの、四死球で自滅するような感じではなかった。

変化球 スライダー・カットなど 
☆☆☆ 3.0

 
変化球のほとんどはスライダー
であり、この球とのコンビネーションで投球を組み立ててくる。たまに、カット系のボールがあるように思えるのだが、それほど大きなウェートは占めていない。球種を増やして投球の幅を広げて行くのは、プロ入り後といった感じがします。

その他

 
クィックは、1.05~1.10秒ぐらいとそれなりで、牽制には鋭いものがある。しいて言えば、送球に不安があるかもしれない。特に微妙出し入れや間を使ってといった巧みな投球術は感じられないものの、ピンチでも踏ん張りの利くピッチングはできていた。

(投球のまとめ)

 
あくまでもまだ素材型といった感じで、プロでいろいろ自分のプレースタイル模索する、色を付けて行くタイプかと感じます。現状は、真っ直ぐがもっと良くなりそうというのを期待しての素材だと言えそうです。





(投球フォーム)

 
将来像を探る意味でも、投球フォームを分析して考えて行きたい。セットポジションからゆったりと、高い位置までジワ~と引き上げる先発タイプ。軸足の膝にも適度な余裕があり、比較的バランス良く立てている。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 
引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちで、お尻の一塁側への落としには甘さを残し。したがって、カーブやフォークといった捻り出して投げる球は投げられないことはないものの、変化は鈍くなりがち。「着地」までの地面の捉えも平均的で、体を捻り出す時間も並ぐらい。大きな曲がりの変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に、投球の幅を広げて行くタイプではないのだろうか。

<ボールの支配> 
☆☆☆ 3.0

 
グラブは比較的体の近くにはあるものの、最後は後ろで解けがち。そのため軸は、両サイドへのコントロールミス、時々生じるかもしれない。また、足の甲の地面の捉えも浅く、力を入れて投げるとボールは上吊りやすい。「球持ち」も並ぐらいであり、特に指先の感覚が良いといった感じはしなかった。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 
お尻の落としに甘さは残すものの、変化球はスライダー中心で肘に負担がかかるといったほどでは無さそうだ。腕の送り出しにも無理は感じられないので、肩への負担も少なそう。そこまで力投派でもないので、現状は疲労も溜めやすいということもないだろう。

<実戦的な術> 
☆☆☆ 3.0

 
「着地」までの粘りは平均で、特に打者としては苦になるフォームではない。それでもボールの出どころは隠せているので、投げミスをしなければそこまで打ち込まれることはないのではないのだろうか。

 
腕の振りも、特に鋭いとか体に絡んで来るような粘りは観られない。ボールへの体重の乗せも充分とは言えず、この辺がグッと前に乗って来られるようになると、球威・球速だけでなく打者の手元までの勢いも変わってきそうだ。

(フォームのまとめ)

 
フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「開き」こそ抑えられているものの、あとは平均的。それだけまだ、良くなる余地が残されている。故障のリスクはさほど高くなく、足の甲の地面の捉えが浅く上吊りやすいところを改善したい。あとは、いかにして武器になる変化球を習得して行けるかではないのだろうか。フォーム全体としては平均的なので、これからいかに動作を磨いて粘りを作って行けるかに懸かっている


(最後に)

 
現状は、まだまだ発展途上の投手といった感じです。荒削りというよりも、肉体やフォーム技術が未完成な感じで、そこをいかに磨いて行けるかだと考えられます。実際の投球を観ていると、育成レベルが妥当といった感じで、(支配下級)の評価には至りませんでした。時々、おっと思える球があるので、そこに可能性を見出したくなる素材でした。


(2023年 秋季リーグ戦)