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野中 太陽(大商大4年)投手 182/81 右/右 (太成学院大高出身) 





「真っ直ぐの勢いは一級品」





 小さめなテイクバックながら、打者の手元までしっかり伸びてくる直球の威力には魅力がある 野中 太陽 。全日本大学選手権でも、準々決勝で先発を任されれるも結果を残すことができなかった。


(投球内容)

 選手権の富士大戦では、1回1/3 で、ランナーを溜めたところで降板している。その信頼度からも、期待されているものの、監督から大きな信頼を勝ち得ているとは言い難い。あくまでも、
素材型の域を脱していないようだ。

ストレート 145キロ前後~MAX148キロ ☆☆☆☆ 4.0

 球速以上に、
打者の手元まで来る感じで、速球の威力には見るべきものがある。立ち上がりだからそうなのか? ボール全体が高めに集まりがちなのが気になったところ。このゾーンの球で空振りが取れれば良かったのだが、ボールが見やすいのか? 意外に打者にもついて来られていた。普段のリーグ戦では、もっと低めに決まることもあったように思うのだが ・・・ 。

変化球 カット・スライダー・チェンジアップ・スプリット ☆☆☆ 3.0

 速球自慢の投手ですが、変化球も多彩です。ただし、どの球もあまり空振りが奪えるというよりも、真っ直ぐを魅せておいて目先をズラしたり、カウントを整えたりといった役割に留まっています。

その他

 クィックは、1.1秒台とそれなりで、走者を出してもボールを長く持ったりと、けして一辺倒になるような投球ではなかった。意外に冷静だとか器用だったりと、何かきっかけをつかめば変わってくる可能性は秘めている。

(投球のまとめ)

 チームメイトにドラフト候補が揃う状況だけに、大事なところをあまり任される経験をして来なかったのではないのだろうか? 逆に選手揃わない環境で、自分しかいないのだという立場になってどんどん任されるようになると、自覚が芽生えもっと秘めたる能力が引き出されるかもしれない。






(成績から考える)

 この春のリーグ戦の成績は、
11回 16安 4四死 8三 防 4.69 。通算成績をみても、今シーズンが悪かったというわけでは無さそうだ。


1,被安打は投球回数の80%以下 ✕

 被安打が投球回数を遥かに上回っているなど、自慢の速球はあるものの、簡単に打ち返されてしまう欠点が何かあるようだ。それが制球の甘さなのか? ボールのみやすさなのか? そこを研究し改善して行けるかが今後の大きな課題となる。

2,四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 △

 四死球率は、36.4% と、僅かに基準を満たせず。そんなにストライクを取るのに苦労しているというよりも、ゾーン内でのアバウトさが、いろいろ影響しているように感じられる。

3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ✕

 1イニングあたりの奪三振は、0.73個 。リリーフで登板することが多いタイプだと思うので、0.9個以上は奪える決め手が欲しい。実際見ていても、真っすぐで空振り三振を奪えているかとか、変化球で仕留められる、そういった絶対的な球は存在しない。

4,防御率は1点台以内 ✕

 防御率は、4.69 と、結果を残せていない。被安打の多さが、そのまま防御率の悪さに繋がっているように思える。


(成績からわかること)

 全てに関して、まだまだ物足りないことがわかる。それだけに、大学選手権での結果だけでなく、普段から物足りない投球を続けていることが伺われる。自分の球を投げていればという意識から、相手打者をいかに抑えられるのか? いま一歩深く投球を追求して欲しい。


(最後に)

 真っ直ぐを中心に、素材の良さは誰もが認めるところ。その良さを、活かす術を追求して欲しい。戦力の揃った環境よりも、自分がやらなければという自覚の目覚めこそ、この選手が伸びる場所なのかもしれない。育成あたりならば指名の話があるかもしれないが、プロ入りまでに、まだまだやらないと行けないことがあるのではないのだろうか。素質が素晴らしいだけに、なんとも惜しい投手であった。


(2023年 大学選手権)