26ky-6
| 田中 諒 (日大三2年)捕手&一塁 180/92 右/右 | |||||||||||||||||||
2年夏の甲子園では「4番・一塁手」として出場していた 田中 諒。秋の新チームからは「3番・捕手」へとコンバートされ、扇の要を任されている。ポジション転向を経た彼の、現時点での評価と将来性を考察したい。 【守備面】 スローイングの安定感など未知数な部分は多いが、秋の帝京戦を見る限り、捕手としての適性は高い。特筆すべきは司令塔としての資質だ。周囲へ的確な指示を出し、投手が動揺を見せればすかさずタイムを要求する。投手の微細な変化を察知できる洞察力とリーダーシップは、捕手として大きな武器になるだろう。 キャッチングにおいても、ミットをしっかりと投手に示して的を絞らせる意識が高く、捕球時にグラブがブレない。打球への反応も素早く、一塁手時代には見えづらかった身体能力の高さに驚かされた。 課題はブロッキングと送球の正確性だ。帝京戦では二塁送球時にボールを握り直す場面も見られた。この辺りは一冬を越えた春季大会で、どこまで習得できているか改めて確認したい。 【打撃成績・分析】 腕っぷしの強さを活かしたパワフルなスイングが持ち味で、引っ張った際の飛距離は目を見張るものがある。本来は強烈なライナーで間を抜くポイントゲッターだが、右方向への打ち分けも可能だ。 ■ セイバーメトリクス補足 OPS:1.286 (高校生として、また捕手というポジションを考慮しても驚異的な数値。打席に立つだけで大きな脅威となっている) BB/K:4.75 (四球÷三振。四球19に対し三振わずか4。選球眼とコンタクト能力が極めて高く、高校生レベルでは「打ち取ることが困難」な打者であることを示している) IsoP:.363 (長打率-打率。純粋な長打力を示す。本人の意識が中距離打者だとしても、数値上は完全な「長距離砲(スラッガー)」の域に達している)
【打撃メカニズム詳細】 打撃フォームは、2年夏の西東京大会のものを参照した。 <構え> 評価:☆☆☆★ 3.5 右打席で前足を少し引き、踵を浮かせて構える。グリップは高めで、あらかじめ捕手側(トップの位置)に深く引いて添えている。腰の据わりが良く、高い集中力が感じられる。全体のバランスは標準的。 <仕掛け> 極めて遅い 投手の重心が沈みきったあたりで一度上げた足を下ろし、リリース直前に小さくステップし直して打ちにいく。始動としては「遅すぎる」部類に入るが、あらかじめトップを作っているため間に合わせている。この始動は、狙い球を逃さないポイントゲッターに多く見られるスタイルだ。 <足の運び> 評価:☆☆☆ 3.0 インステップ気味にベース側へ踏み出す。始動から着地までの「間」がほとんどないため、高度な狙い球の絞り込みが要求される。踏み込み方からして外角球への意識が強い。 引っ張り専門かと思いきや、逆方向への意識も持てるのが強み。ただし、足元が開いてしまうことも多いので、外へ逃げる球や低めの球を無理に引っ張りに行くと、対応が難しくなる場面も増えるだろう。 <リストワーク> 評価:☆☆☆★ 3.5 あらかじめ深いトップを作っているため、始動の遅さを補って速球に対応できている。遊びが少ない分、対応ゾーンは限定的かもしれないが、自分のゾーンに来た球を仕留める技術は秀逸だ。 スイング軌道は必ずしもインサイドアウトではないが、圧倒的なヘッドスピードがあるためロスを感じさせない。スイングは実に力強く、ライナーで野手の間を抜く意識が強い。 <軸> 評価:☆☆☆★ 3.5 上下動が少なく、目線が安定している。時折体が早く開くこともあるが、基本的には軸を起点とした綺麗な回転ができている。強靭な内腿の筋肉が、鋭い打球を生み出す源泉となっている。 【総評】 高校生離れしたヘッドスピードと、BB/K 4.75という驚異的な選球眼を併せ持つ。2年夏の甲子園・豊橋中央戦で見せた「第1打席の凡退から、第2打席で即座に修正して本塁打を放つ」修正能力の高さは、プロのスカウトも高く評価しそうなポイントだ。 本質的には「中距離・ポイントゲッター」なのかもしれないが、高校野球におけるスタッツ(IsoP .363)は紛れもなくスラッガーのそれである。上のレベルで「打てる捕手」として勝負できれば、一気にドラフト候補としての価値が跳ね上がるだろう。最終学年で、捕手としてのディフェンス面がどこまで磨かれるか、その進化を注視して行きたい。 (2025年秋 東京都大会) |