21sy-16
豊田 寛(24歳・日立製作所)右翼 177/85 右/右 (東海大相模-国際武道大出身) | |
東海大相模時代からチームで4番を任されるなど、いずれはプロにゆくのではないかと思っていた 豊田 寛 。確実性よりも、爆発力を秘めた核弾頭として、今年の都市対抗でもホームランを放って魅せた。特にこの選手の打球を見ていると、右方向への長打が目立つ。 走塁面:☆☆☆☆ 4.0 一塁までの到達タイムは、速いときで右打席から4.1秒前後で到達。これを左打者に換算すると、3.85秒前後に相当するので、脚力だけで言えばプロでも上位レベルだとわかる。国際武道大時代は、毎シーズン5個前後の盗塁を記録していた。プロで売りにできるほど圧倒的なのかは微妙だが、走力的には足を武器にして行ける資質は秘めている。 守備面:☆☆☆ 3.0 打球への反応、落下点までの入り方をみていると、それほど上手い外野手には見えなかった。肩はそれなりに強いと思うのだが、都市対抗では中継への送球を乱して失策を記録している。そういった細かい部分は、プロでもう少し追求した方が良いのでは? (打撃内容) 上記にも記したように、確実性よりも爆発力のある打撃が魅力です。打撃は、一皮向けてなにかを掴みかけているのかもしれないという期待感はあります。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を引いて後ろ足に重心を預けつつ、グリップはやや下げて構えています。全体のバランスとしては癖はありますが、両眼で前を見据える姿勢や腰の据わりという意味では悪く有りません。特に打席では、リラックスして構えられているところは良いことかと。 <仕掛け> 遅すぎ 一度カカトを浮かして立ち、そこからリリース直前に動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人のヘッドスピードや筋力を考えると、プロレベルの真っ直ぐを木製バットで打ち返すのには遅すぎるのではないかという気はしています。しかし、彼の場合、以前は足を引き上げて回し込んでいたので、いまのスタイルの方がしっくりくるのかもしれない。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 小さくステップして、ベース側に離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動~着地までの「間」が取れないので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を打ち損じない「鋭さ」が求められる打ち方です。アウトステップするように、内角への意識が強いタイプなのではないのでしょうか。 また踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに我慢。アウトステップな分、逃げてゆく球や低めの球は遠くなって辛いはずなのですが、甘めの外角球や高めの球ならば充分に対処できると考えられます。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めています。ただし、始動が遅い分バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出しは、少し遠回りに遠心力を使ったスイングです。そのため確実性は乏しいのですが、少しポイントも後ろにあり、右方向への打球が伸びるものと考えられます。 これでも内角の球には適度に脇を閉じて対処できていましたし、インパクトの際にもバットの先端であるヘッドも下がらないでボールは捉えられていました。またスイングの後ろを大きくとり、フォロースルーも生かしてボールを運ぶこともできています。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますし、軸足にも適度な強さが感じられます。 (打撃のまとめ) けして長距離砲ではないと思うのですが、ボールを飛ばす術を持っていて右方向に長打を放つ特徴があります。確実性やプロの球にすぐに対応できるのかという疑問は残りますが、最近の豊田は何かを掴んだ感もあり、その点では楽しみです。秋口にそういった感じで指名された 糸原 健斗(阪神)が、プロで活躍をしているのをみると、期待を抱きたくなります。 (最後に) 個人的には、中々面白い指名だと思っています。確実にモノになるとは言えませんが、順位以上に活躍できる、そういった可能性秘めた素材ではないのでしょうか。東海大相模での全国制覇やジャパンなどの経験もあり、気持ちも強くプロ向きのマインドの選手ではないかと思う部分もあります。チャンスに恵まれれば、一気にブレイクするかもしれません。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2021年 都市対抗) |