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古市 尊(西武)捕手のルーキー回顧へ







古市 尊(19歳・徳島ID)捕手 178/70 右/右 (高松南出身) 





「だいぶ良くなっている」 





 昨年から香川でも注目だった 古市 尊 。プロ合同練習会に参加してアピールしていたが、結局指名されることなく四国アイランドリーグの徳島に進むことになった。しかし、この一年で、だいぶ欠点が改善されていることに気がつかされた。


(ディフェンス面)

 ゼスチャーを交えながら、投手と対話しながら試合を作って行ける捕手です。ミットをしっかり示してから地面に降ろすことがないので、ワンバウンドするような球にも素早く対応できます。高校時代から、フットワークの身軽さやキャッチングは安定していました。しかし、座ったまま投手に返球する時に、その球が乱れることが多く雑な印象を受けていました。座ったまま返球するのは変わっていませんでしたが、送球が乱れるという部分は改善され丁寧に。また走者がいるときは、ちゃんと立ち上がってボールを返してます。

 捕ってから投げるまでの動作の切り返しも早く・型もしっかり作ってから投げられるようになり球筋も安定するようになっています。タイムも、1.8秒台中盤~1.9秒台中盤ぐらいと、送球に関してはプロに混ぜても 中の上以上 はあると思いますし、地肩自体もまずまず強い。特にショート側に流れることもあった送球が、走者の滑り込んでくる方へ安定して決まるようになりました。

 プレーに丁寧さが出てきたところと、送球がだいぶ改善されてきたこと。そういったディフェンス面での成長は、素直に評価しても良いポイントなのでは。こと守りに関しては、プロでやって行けるレベルに到達したような気がします。


(打撃内容)

 その一方で、打撃の弱さは感じます。今シーズンは、41試合 0ほん 4点 3盗 打率.231厘 と、けして独立リーグの中でも際立つ成績ではありません。基本的には、内野の間を抜けたり、外野手の前にはじき返す単打が多いタイプだと言えるでしょう。高校時代は引っ張りが多かった打撃も、センターから右に左へと幅広く打ち返すようにはなっています。

<構え> ☆☆☆ 3.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的も捕手側に引いて構えます。腰の据わりぐらい、全体のバランス、両眼で前を見据える姿勢はそれなりといった感じです。

<仕掛け> 平均的

 投手の重心が下がりきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備え、中距離打者や勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」そこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。踏み込んだ前の足はしっかり止まっており、逃げてゆく球や低めの球に対しても食らいつくことができています。

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 あらかじめ捕手方向にグリップを添えているものの、「トップ」の形ができるのは自然体。そのため、力みなくボールは呼び込めています。バットの振り出しの際に、少し遠回りに出てくるのでロスを感じます。それでもインパクトの際にヘッドを立てる意識があり、フェアゾーンにはボールを飛びやすい形じになっています。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはそれなりで、目線の上下動は少なめ。身体の開きも我慢できていますが、少し足元が窮屈に見えます。構えた時からスタンスが狭めで、バットもインサイドアウトで出てこないので、内角へのさばきは少し窮屈になっているのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 高校時代は引っ張り中心だった打撃ですが、今は右に左にセンターへと様々な方向弾き返します。特に技術的に大きな欠点があるということはありませんが、まだまだドラフト指名される野手としては弱いと言えるでしょう。打撃に関しては、捕手と言うポジション柄でもありますが時間はかかりそうです。


(最後に)

 プレースタイルも丁寧になっていますし、ショート方向に流れていた送球も改善されてきました。打撃でも、どの方向にも打ち返せるようになり、打撃の幅は広がっています。 を付けるほどの魅力はまだ感じられませんでしたが、育成枠での指名ならばありの選手になってきたのではないのでしょうか。


(2021年 アイランドリーグ戦)