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高田 竜星(巨人)投手のルーキー回顧へ







高田 竜星(19歳・BC石川)投手  175/75 右/右 (遊学館出身) 
 




「悲願のプロ入り」 





 遊学館時代に、プロ志望合同練習会にも参加していた 高田 竜星 。そこではパンチ不足な部分もあり、結局ドラフトで指名されることなくBCリーグに進んだ。しかしBC石川では、高卒ルーキーながら先発の一員としてシーズンを全うした。その頑張りも認められ、一年越しでのプロ入りを実現する。


(投球内容)

中背の体格から、セットポジションから投げ込む正統派。

ストレート 140キロ前後~中盤ぐらいか? ☆☆★ 2.5

 合同練習会の時も140キロ台を出していたものの、球威や特徴という意味では平凡でした。そのときに比べると、力を入れた時のボールの勢いはワンランク上がっているように思えます。今や、最速では150キロに到達する時もあると言います。打者の両サイドに、ボールを適度に散らすこともできていました。

変化球 スライダー・チェンジアップなど ☆☆☆ 3.0

 曲がりながら沈むスライダーでしっかりカウントを整えられますし、チェンジアップも打者を腰砕けにするなど効果的に使えていました。打者の空振りを誘えるほど絶対的な球種には欠けるかもしれませんが、変化球の一つ一つのレベルは低くありません。

その他

 牽制やフィールディングは確認できなかったのですが、クィックは1.1秒~1.15秒とまずまず。マウンドさばきを見ていてもセンスを感じさせる選手で、高校時代からの好投手ぶりの片鱗が見え隠れしています。

(投球のまとめ)

 まだ本会議で指名されるほどの絶対的なものは感じられませんが、高卒一年目だということを考えれば合格ラインです。今の内容ならば、育成会議で指名されたのも納得のところでしょうか。特に一年間先発ローテーションとして、投げ続けられただけの丈夫な身体と基礎体力があった点は評価できます。それだけ次の段階にも、入って行きやすいわけですから。





(成績から考える)

 今度は、BCリーグで残した実績を元に、どんな選手なのか改めて考えてみましょう。21年度のシーズン成績は、

14試合 3勝7敗1S 98回1/3 76安 40四死 87三 防 2.93

 またリーグ戦の他にも、プロ・アマ交流戦や、BCリーグ選抜などでもNPBチームとの登板経験をしている。

1,被安打は投球回数の70%台 ○

 被安打率は、77.3% 。基準である、70%台はクリアできている。このぐらいの数字ならば、ある程度二軍などでも投げて行ける能力はあるのではないのだろうか。

2,四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 ☓

 投球の内容を見ていると、そこまでコントロールがアバウトには見えなかった。しかし、リーグ戦の四死球率は 40.7% とかなりアバウト。独立リーグの打者相手でこのぐらいだと、打力の上がるNPBの打者相手だと、さらに四死球率が増す可能性がある。まだ、本当の制球力は身についていない可能性があるということ。けして、ストライクが入らず四苦八苦するといったタイプではないのだろうが。

3,奪三振は1イニングあたり0.8個以上 ○

 1イニングあたりの奪三振は、0.88個 。先発での起用がほとんどなので、先発でのファクターである0.8個以上を採用。リリーフの基準である0.9個にも近い数であり、この点は評価できます。これといった武器が無いようには見えましたが、BCリーグの打者相手では結構三振が奪えていました。

4,防御率は1点台以内 ☓

 リーグ全体では、11位の成績と平凡。ただし、1位の選手でも 2.24 であることを考えると、2.90 はそれなりには評価しても良いのかもしれない。ただし、現時点では勝ち星と負け星の数や防御率からも、けしてリーグで上位の成績とまでは言えないだろう。

(成績からわかること)

 実際の投球を見ていると、もう少し四死球が少なくコントロールが良くて、奪三振が少なく決め手に欠けるのかなと思っていました。被安打の少なさはある程度の総合力があることを伺わせますが、まだリーグでは突出した存在ではないことがわかります。高卒一年目にしてはよく投げていたということも加味して、将来性を期待しての指名だったことが伺えます。


(最後に)

 すでに一年間戦えるだけの体力・筋力があることが証明されたので、どんどんプロ入り後には新たな技術や球種の習得に取り組める段階にあることは明るい材料かと。そういった中で、いかに一軍で通用するだけの武器を身につけて行けるかだと思います。現状は育成枠の域を脱してはいませんが、このタイミングでのプロ入りが吉と出るのか見守りたいところです。それでも昨年見たときに比べると、ワンランクレベルは上がってきていたのは確かなようです。


(2021年 BCリーグ戦)