21ky-5
吉野 創士(昌平3年)中堅 185/79 右/右 | |
21年度の関東を代表するスラッガーとして注目されている 吉野 創士 。昨夏の模様をみても、イマイチよくわからなかったというのが率直な感想だった。そのため春季大会に足を趣き、直にそのプレーをみてきた。 (守備・走塁面) 残念ながら、昨夏に引き続き正確な一塁到達タイムは計測できず。二塁打を放った時のタイムは、8.05秒で到達。積極的に二塁を陥れるなど、盗塁技術があるかは別にしても、走塁への意欲は低く無さそうだ。ただし春季大会でも、出塁するとさかさず盗塁を試みるも刺される場面を目撃。走力・走塁技術ともに、現時点では 中の上 ぐらいなのかなといった印象は受けた。 昨年は右翼手だったが、この春は中堅手を担っていた。余裕を持ってキャッチングをしており、打球への反応や勘は平均的なのかなと。地肩は圧倒的なものは感じられなかったものの、それなりに強そうで 中の上 レベルはありそう。 結局生で観ても、守備・走力の能力は掴みきれなかったのですが、守備は並ぐらい。走力・地肩 に関しては、ドラフト候補としては中の上 ぐらいなのかなといった印象を持ちました。このへんは、最後の夏にもう少ししっかり把握したいポイントでした。 (打撃内容) 右方向にも大きな打球を飛ばすようになったと訊いていたのですが、観戦した試合では2本のレフトフライと死球など引っ張りを好む打撃はあまり変わっていないのかと。特に、外角に逃げてゆく球へのタイミングが取れていなかったのは少し気になりました。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 前の足を少しだけ引いて、グリップを高めに添えた強打者スタイル。背筋をしっかり伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしてはそれなりといった感じ。打席での集中力は感じさせるものの、まだまだ線の細さは否めないといった感じはしました。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた、中距離打者やポイントゲッターに多く観られる始動です。しかし昨夏は、「早めの仕掛け」だったのに比べると、ボールをひきつけて叩けるようにしているのかもしれません。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて回し込み、ベース側に踏み込んで来るインステップを採用。始動~着地までの「間」はそこそこ取れていて、速球でも変化球でもそれなりに対応。ベース側に踏み込むように、外角への意識が強い選手です。 踏み込んだ前の足も、なんとか我慢できるタイプ。そのため、逃げてゆく球や低めの球にもついて行けると思いますが、元来引っ張りたいタイプなので引っ掛けることも多いかもしれません。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。ただし、ボールを呼び込む時に肩が内に入るので、そのへんは正直に気になります。それでも内角の球はインステップして窮屈に見えるのですが、肘を上手くたたんで抜くことができ、引っ張って巻き込むことを得意としています。 バットが遠回りに出てくるのは気になるのですが、インパクトの際にはヘッドは下がらず甘い球はしっかり捉えてきます。ヘッドスピードが凄く速いとか打球が強いという迫力は感じませんが、フォロースルーを使って上手く巻き込んだ時には見事な打球を飛ばします。その飛距離には、見るべきものがある選手です。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが静かなので、目線の上下動が小さいのは好いところ。身体の開きも我慢できていますし、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて、軸を起点にキレイに回転できています。軸足の内モモの筋肉に強さが感じられるとかいうことがないので、この辺の内転筋を鍛えられると、打球にも凄みが出てくるのではないのでしょうか。 (打撃のまとめ) 内角が窮屈そうに見える打ち方なのですが、実は肘の抜き方が上手く、むしろ苦手な外角球をしっかり拾うためにインステップして踏み込んで来ることがわかりました。特に自分のツボというものを持っており、そこに来たをスタンドインできる能力を持っています。むしろ気になったのは、外角に逃げる変化球に全然タイミングが合っていなかったことでしょうか。 まだ線も細く、筋力不足は否めません。ボールを呼び込む感覚にも好いものがあるので、今後肉体のパワーアップと右方向への打撃も磨けば将来大化けをしても不思議ではないのかなと。ただし現時点では、それほど凄みとか特別なものは感じられませんでした。 (最後に) 打席に入るまでは、投手の動きにタイミングをあわせるなど試合には入れている印象。また、実際に打席での集中力も感じられます。ただし、まだ足場をしっかり慣らしたり、軸足をしっかり掘って足場を固めるなどの強打者としてのこだわりは薄く、プロ入りしても意識が変わるまでには少し時間がかかるのかなといった感じです。見た感じでは、普通の高校生といった気がします。 持っているものは好いので、それをいかに引き出してあげられる環境なのか? それでも本当の意味で危機感を持つまでには、それなりに時間がかかりそうな気がしました。けして不真面目な選手だとは思いませんが、プロで飯を食ってゆくんだという覚悟が何処まであるのかには疑問を持ちました。 上手くゆけば、天性のホームランアーチストに化ける可能性はあると思いますが、特徴を見出だせず伸び悩む危険性も感じなくもありません。上位指名云々というよりは、一ドラフト候補の一人といった印象で、夏まで追いかけてその可能性を見定めて行きたい選手でした。 蔵の評価:☆☆ (中位指名級) (2021年 春季埼玉大会) |
吉野 創士(昌平2年)右翼 185/78 右/右 | |
夏の埼玉大会の模様を観たが、まだあまり能力が把握できなかった 吉野 創士 。21年度の関東を代表する強打者だという話だが、私自身まだ彼のことを充分に掴めていない気がする。そんな中でも、わかる範囲でこの選手のことを考えてみたい。 (守備・走塁面) 一塁までの到達タイムを計測する機会はなかったが、細身のスラッとした体格で動きは悪くない。当たりによって、躊躇することなくセカンドを陥れるなど積極的な走塁は光る。50メートル6秒1とのことで、どのレベルかまではわからないが、動ける走力はあるとみて良さそうだ。 右翼手としても、難しい打球を処理しているところは観られなく無難にフライをさばいていた。ただし、転がって来るボールを捕球する際に、あまり腰を落とさず捕るなど、その点は少し気になった。遠投も108メートルと、かなり強いとの話ではあるが、実際にどのような送球をするのかまではわからなかった。 肩・足の能力はありそうなのだが、それがプロレベルにおいてどのレベルなのかはわからない。ただし、適度に三拍子バランスのとれた選手というのは間違い無さそうだ。 (打撃内容) 打球の多くが引っ張って巻き込んだものが多く、細身でも通算35本塁打を放つようにツボというものを持っている感じがする。私の見た打席ではセンターから右方向への打球は見たことがないが、流しても強い打球を飛ばすことができるのだという。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられている。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと取れており、打席での集中力も感じられる良い構えではないのだろうか。 <仕掛け> 早め 投手の重心が下がりはじめると動き出す、「早めの仕掛け」を採用。確実性を重視した、アベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足はあまり高く上げないが、長い時間上げてベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応できそう。ベース側に踏み込むように、外角への意識が高い。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にもブレずに止まっている。そのため逃げてゆく球や低めの球にもついて行けるタイプだと思うが、2年夏の大会の模様を見る限り、引っ張れる球は巻き込む打撃を好む傾向が強いように見えた。しかし話を訊く限りは、右方向への意識もあれば、強く流すこともできるとのこと。踏み込む分、内角のさばきは少し窮屈そうではあったのだが。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を早めに作れており、速い球に立ち遅れない形は作れていた。ただしグリップがが内側にかなり入るので、内角はバットが出にくい印象を受けます。 また振り出しもかなり遠回りに出てくるので、インパクまでのロスは大きいように感じます。それでもインパクトの際にヘッドは下がって来ないので、広い面ではボールは捉えられます。タイミングさえ合えば、打ち損じが少なくフェアゾーンに飛ぶ確率は高いのではないのでしょうか。 それほどスイングの弧が大きいとかフォロースルーを使って運ぶという感じは受けず、しっかり鋭く振り抜くイメージです。現状は、上手く引っ張った時にタイミングが合えば、ライトスタンドに大きなのが飛ぶイメージでしょうか。ただし、そういった打球を飛ばせるツボみたいのものがありそうです。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げはあり、目線の動きは平均的。しかし足元はブレなので開きが我慢できているのと、軸足は地面から真っ直ぐ伸びてキレイに回転できています。調子の波は少なそうですが、強打者の割には軸足の内モモの筋肉に強さがあまり感じられないのは物足りません。 (打撃のまとめ) タイミングのとり方やインパクトの際にヘッドが下がらないなどの部分は悪くないのですが、ボールを呼び込む際にかなりグリップが中に入り込んでしまうのとスイング軌道が遠回りなのは気になります。自分のツボみたいなものは持っており、そこにくれば高い確率でスタンドに持って行ける打撃には興味深いものはありそうです。 (最後に) この選手の場合は、圧倒的な長打力で魅了するというよりも、走力・守備力も含めて総合力で評価されるべきタイプなのかなと感じます。ただし、その走力や肩の強さなどが充分把握できていないので、私自身は力量を掴めておりません。ぜひその辺は、春季大会で生でみて、能力を確かめてみたいと思わせてくれる選手でした。関東においては、代表的な強打者であるのは間違いないところなのでしょうから。 (2020年 埼玉大会) |