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星野 真生(中日)内野手のルーキー回顧へ







星野 真生(豊橋中央3年)遊撃 176/77 右/右 
 




 「飛距離が出る」





 この夏の東邦戦では、先頭打者としてレフトスタンド最深部に特大のホームランを放ってみせた 星野 真生 。この試合の他にも本塁打を放っており、最後の夏は 4試合で 2本塁打・5打点 打率.529厘 と打ちまくった。


走塁面:☆☆☆★ 3.5


 残念ながら一塁までの到達タイムは計測できなかったが、確認した二本の三塁打ではいずれも12秒前後と驚くほどのタイムではなかった。チームの1番打者で、50メートル6秒2 とのこと。実際のプレーをみている限り、そこそこ動ける選手だが、プロで足を売りにするほどかと言われると微妙な印象は受けました。走力としては、中の上 ぐらいなのではと見ています。

守備面:☆☆☆ 3.0

 一歩目の反応や動き出しはいいなと思ったのですが、結構送球ミスなどもあったり、それほど細かいステップが刻めるといった感じでもありませんでした。プロでもショートができないわけではないと思いますが、将来的にはセカンドやサード向きの人材ではないかと思います。肩は、プロでも基準を満たすだけのものはありそうでしたが。





(打撃内容)

 広角に打ち返すイメージはあったのですが、実際はセンターからレフト方向への打球が多いタイプかと。けして長距離砲だとは思わないのですが、うまく巻き込めた時には抜群の飛距離を誇ります。そういった、身体の強さは感じさせる選手です。

<構え> ☆☆★ 2.5

 前の足を軽く引いて、グリップは高めに捕手側に引いて添えています。背筋を伸ばしつつ、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらい。あらかじめグリップを後ろに引いているせいもあるかもしれませんが、少し柔軟性に欠ける印象は受けます。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈み始める時には動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この始動のタイミングは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる仕掛けです。

<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 足を引き上げて回し込んで、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」は取れているので、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすそう。インステップして来るということは、外角への意識が強そうです。

 気になるのは、踏み込んだ前の足元が少し動いたり、地面から離れるのが早いこと。そのため、逃げてゆく球や低めの球に対しては、開きが充分に我慢できないタイプなのではないかと。またクロスに踏み込んでくるのは、腰が早めに開くのを抑えるためという意味合いも彼の場合はありそうです。外角の球を好む傾向が強い割に、引っ張りにかかることも多いので、調子が悪くなると引っ掛けてゴロになることも多そうです。それだけ打てるコースの幅は、限られているのではないのでしょうか?

<リストワーク> ☆☆☆ 3.0

 あらかじめ捕手方向にグリップを添えている割に、打撃の準備である「トップ」の形をつくるのは自然体というか遅い傾向にあります。バットの振り出しも、少し腰が早く開いて遠回りに出がち。それでもバットの先端であるヘッドは下がって来ないので、うまく拾ってフェアゾーンに飛ばすことはできています。基本的に右方向に長打を放つというよりは、引っ張ってうまく巻き込めた時に長打が生まれるタイプ。ライト方向への打球は多くはなく、引っ張らないで打ち返そうという時はセンター方向に飛びます。

 それほどスイングの弧が大きいとか、フォロースルーでうまく打球を運ぶというよりも、強くしっかり叩いてくるタイプで、強烈な打球が野手の間を抜けてゆくというのが、基本的なスタイルではないかと。

<軸> ☆☆☆ 3.0

 足の上げ下げはそれなりにあるので、目線の上下動は並ぐらい。足元は多少動くものの、クロスに踏み込むことである程度のところ開きは抑えられています。軸足に関しては、少し前に傾いているので、身体がツッコまないように注意したいところはあります。

(打撃のまとめ)

 技術的には、まだまだ粗いところがあり精度としては高く無さそう。むしろ振り出しの良さを活かして、甘い球を逃さないというところに、彼の良さがあるのではないのでしょうか。今後は、打てるポイントを広げたり、打ち損じしないための精度を高めてゆくことが求められそうです。


(最後に)

 右打ちの強打の遊撃手ということで、今年の候補でも稀少価値が高かったのは確かです。しかし実際は、プロでショートを担えるほどなのかは微妙なのと、打撃もパワフルではあるものの、精度の意味では課題も少なくありません。個人的には、育成あたりならば有りかもと思う部分はありますが、  を付けるほどの魅力は感じませんでした。そもそも今年の中日は、育成枠での指名をしなかったので、こういう形になったのかもしれません。


(2021年夏 愛知大会)